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足繁く通う演奏会の感想等でクラシック音楽を追求/面白すぎる台湾/イタリアやドイツの旅日記/「ドイツ留学相談室」併設

上野学園中学校・高等学校 第112回桜鏡祭より

2016年10月01日 | pocknのコンサート感想録2016
9月25日(土)
上野学園中学校・高等学校
第112回 より



身内が通っている上野学園中高の学園祭「桜鏡祭」を短時間ながら訪れた。クラスと部活の部屋、その近くの他のサークルの部屋をいくつか見学して、残りの時間は音楽科の発表を聴いた。

もう30年以上も前のことだが、一度ここの学生(短大)の卒業記念演奏会を、旧石橋メモリアルホールに聴きに行ったことがあり、「もう少ししっかりさらったらどうなんだろう・・・」と思ってしまう演奏が少なからずあった。それがやけに印象に残っていたので、大学生よりも更に経験の浅い高校生から素晴らしい演奏が聴ける確信はなかったが、あれは大昔の話だし、最近は大学から辻井伸行さんなどの世界的な演奏家も輩出しているので、期待も込めて聴いたところ、どの生徒の演奏もびっくりするほどかなりのハイレベルだった。時間の都合でゆっくりは聴けなかったが、とても楽しませてもらった。

聴いたのは、石橋メモリアルホールで行われた高3生の演奏会からと、8階の教室で行われていた演奏会の一部。フルート、ヴァイオリン、ビアノのそれぞれソロと、ピアノ連弾などを聴いた。どの生徒も、「もう少ししっかりさらった方がいい」などというレベルは完全にクリアして、テクニックをキチンと身に付けた上で、それぞれの表現をしようとしていた。

聴いていて何度も感じたのは、音楽を演奏する上で大切な要素のなかで、「歌うこと」、「明確な意思を訴えること」、それから特に若い演奏家に欲しい「小さな殻に閉じこもらず、失敗を恐れずに挑みかかる思い切りの良さ」を示すこと。そんな積極的な働きかけを、実際の音で伝えてくるだけでなく、体の動きや顔の表情でも伝えようとする姿が印象に残った。彼らが先生から、音楽を表現する上で大切なことをしっかり学びとり、何よりも音楽の楽しさを伝えてもらえていることがはっきりと窺える。

これがわかって技術がついてくれば、人の心に訴える演奏ができる。音程が多少甘かったり、多少粗削りに感じることなどもあったが、演奏の基礎はキチンと備わっていて、あとは本人の努力でいくらでも向上していける大きな可能性を感じた。

感心したのは、石橋メモリアルホールでの選ばれた(恐らく)生徒だけでなく、いくつもの教室で行われていた生徒の演奏からもそうしたアクティブな姿勢が感じられたこと。呼び込みのために、エレベーターホールや廊下で聴こえてきた生徒達による元気いっぱいでキレイにハモるアカペラのボーカルアンサンブルなんかからも、生徒達の生き生きとした様子が伝わってきてよかった。

今年はあまり長く居られなかったが、来年はキチンと予定を空けておいて、ゆっくりじっくりと演奏を楽しみたい。
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