11月2日(水)山下一史 指揮 愛知室内オーケストラ
~愛知室内オーケストラ東京特別公演~
サントリーホール
【曲目】
1.山本準/ディガンマ~オーケストラのための
2.小坂直敏/ピアノ協奏曲第3番 Pf:小坂紘未
3.鈴木理恵子/あゆちの鐘、そして風が- ヴァイオリンソロと室内オーケストラのための Vn:大谷康子
4.高嶋みどり/Baby Universe Ⅳ ピアノと管弦楽のための Pf:藤原亜美
新しいオーケストラ作品を世に問うプロジェクトとして毎年開催されている「オーケストラ・プロジェクト」の室内オケ版が、愛知室内オーケストラの東京特別公演として開催された。演奏されたのは4人の作曲家による4作品。オーケストラ・プロジェクトでもお馴染みの作曲家、山内雅弘氏の司会進行で各作曲家へのインタビューを交えながら初演作を聴いた。
山本準氏の「ディガンマ」は、規則的で調子のいいビートに乗って繰り広げられるジャズのテイストが心地よい。次第にオケが複雑なテクスチュアとなり、管楽器も技巧的なソロを披露する。愛知室内オケのメンバーはこれらを鮮やかにこなし、作品の聴かせどころを高いクオリティーで示した。最終盤のテンションの高まりと、最後の決まり方もカッコよく、聴きやすくてノリのいいショートピースだった。
小坂直敏氏のピアノ協奏曲は12音技法を用いたというが、音楽としてはトラディショナルで全体の構成も緻密。ロマンチックな印象を受け、調性を与えられたらロマン派の音楽になりそう。充実した響きのオケと、作曲者の娘さんの小坂紘未さんのクリアで鮮烈なピアノのバトルが緊迫感を高めた。第2楽章終盤のたゆたうような穏やかな部分からは新鮮な響きの世界も感じられた。
鈴木恵理子氏の「あゆちの鐘、そして風が」は、和と洋のテイストがエモーショナルな熱気を帯びて融合したような作品。様々なシーンが登場し、そこからは民族的な匂いが感じられた。大谷康子さんのヴァイオリンはデリケートで美しく訴えてきたが、もう少し技巧的なパッセージが作品に入っていると音楽が更に盛り上がったのでは?浮遊感のある最終場面が不思議な魅力を放っていた。
高嶋みどり氏の「Baby Universe Ⅳ」は、4つの作品のなかで最も独創性が感じられ、高いテンションで煌めいていた。ピアノの藤原亜美さんの輝きのある冴えたピアノがオケと一体となり、底知れぬエネルギーを放出した。山下一史/愛知室内オケも熱気を帯び、スリリングで壮大なドラマをダイナミックに描いた。モールス信号のようなリズムがSF的な詩情も滲ませていた。
4作品とも異なる個性が光り、内容も多彩で楽しめた。「オーケストラ・プロジェクト」の室内オケ版ということで、作曲ではフルオーケストラとは異なる魅力を目指したということだが、ホルン4本、トロンボーン3本を揃える作品もあり、フルオケを聴いている気分だった。
終演後、ホールを出た辺りでおじさん2人の会話:
「全然わかんなかったなぁ、、、」
「口直しに古関裕而が聴きたいなあ」
「おれはラ・カンパネラがいいかな」
う~む、これが現代音楽の宿命か
オーケストラ・プロジェクト 2018 2018.9.5 東京オペラシティコンサートホール
オーケストラ・プロジェクト 2016 2016.9.7 東京オペラシティコンサートホール
一年近く前のブログでの訴えが何も変わっていないことに愕然。。その感染対策、本気???
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3.鈴木理恵子/あゆちの鐘、そして風が- ヴァイオリンソロと室内オーケストラのための Vn:大谷康子
4.高嶋みどり/Baby Universe Ⅳ ピアノと管弦楽のための Pf:藤原亜美
新しいオーケストラ作品を世に問うプロジェクトとして毎年開催されている「オーケストラ・プロジェクト」の室内オケ版が、愛知室内オーケストラの東京特別公演として開催された。演奏されたのは4人の作曲家による4作品。オーケストラ・プロジェクトでもお馴染みの作曲家、山内雅弘氏の司会進行で各作曲家へのインタビューを交えながら初演作を聴いた。
山本準氏の「ディガンマ」は、規則的で調子のいいビートに乗って繰り広げられるジャズのテイストが心地よい。次第にオケが複雑なテクスチュアとなり、管楽器も技巧的なソロを披露する。愛知室内オケのメンバーはこれらを鮮やかにこなし、作品の聴かせどころを高いクオリティーで示した。最終盤のテンションの高まりと、最後の決まり方もカッコよく、聴きやすくてノリのいいショートピースだった。
小坂直敏氏のピアノ協奏曲は12音技法を用いたというが、音楽としてはトラディショナルで全体の構成も緻密。ロマンチックな印象を受け、調性を与えられたらロマン派の音楽になりそう。充実した響きのオケと、作曲者の娘さんの小坂紘未さんのクリアで鮮烈なピアノのバトルが緊迫感を高めた。第2楽章終盤のたゆたうような穏やかな部分からは新鮮な響きの世界も感じられた。
鈴木恵理子氏の「あゆちの鐘、そして風が」は、和と洋のテイストがエモーショナルな熱気を帯びて融合したような作品。様々なシーンが登場し、そこからは民族的な匂いが感じられた。大谷康子さんのヴァイオリンはデリケートで美しく訴えてきたが、もう少し技巧的なパッセージが作品に入っていると音楽が更に盛り上がったのでは?浮遊感のある最終場面が不思議な魅力を放っていた。
高嶋みどり氏の「Baby Universe Ⅳ」は、4つの作品のなかで最も独創性が感じられ、高いテンションで煌めいていた。ピアノの藤原亜美さんの輝きのある冴えたピアノがオケと一体となり、底知れぬエネルギーを放出した。山下一史/愛知室内オケも熱気を帯び、スリリングで壮大なドラマをダイナミックに描いた。モールス信号のようなリズムがSF的な詩情も滲ませていた。
4作品とも異なる個性が光り、内容も多彩で楽しめた。「オーケストラ・プロジェクト」の室内オケ版ということで、作曲ではフルオーケストラとは異なる魅力を目指したということだが、ホルン4本、トロンボーン3本を揃える作品もあり、フルオケを聴いている気分だった。
終演後、ホールを出た辺りでおじさん2人の会話:
「全然わかんなかったなぁ、、、」
「口直しに古関裕而が聴きたいなあ」
「おれはラ・カンパネラがいいかな」
う~む、これが現代音楽の宿命か
オーケストラ・プロジェクト 2018 2018.9.5 東京オペラシティコンサートホール
オーケストラ・プロジェクト 2016 2016.9.7 東京オペラシティコンサートホール
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