ぺこちゃんには中度の知的障害がある。
IQのみの判定では重度の部類らしいが、独特の舌っ足らずな喋り方ながら根っからのお喋り好きで、人とのコミュニケーションは聞き手が慣れてしまえば、簡単な話ならほとんど差し障りなく取れている。
何より、一見して彼女に障害がある事は同じ障害を持っている方々のご家族でもない限り分からない程だ。
全寮制の施設を卒業して、16歳からこれまた全寮制の工場で働いていた為か、生きる事に関して、殊に人間関係に関しては鋭く観察して上下関係を察し、それぞれにそれなりの対応をする技は私以上かもしれない・・・という事は我が家で生活し始めて半年くらい経ってから、ようやく分かった。
至る所で私は鈍感に出来ているらしい、
身の回りの事は完全ではないが一応できるし、返事もはきはきと可愛らしい。
ただ、共に生活するには困った事がやはり、どうしても出てきてしまう。
細かく挙げればきりがないが、一番困っている事は彼女が家庭生活の経験がないためにプライベートと公的な境目を持たない事だ。
その上、お喋り好きなのが幸いして・・・いや災いして、我が家で起きる様々な事をディサービスや私の知人との集まりの場で意気揚々と話してしまう事だ。
しかも、私達の会話を黙って聞いていて自分の理解できる範囲内に曲解して喋るものだから事実と大きく食い違っている事の方が多い。
当初は留守番させるのが可哀相で可能な限り連れて歩いていたし、食事も極力家族と共にするようにしていたが、その事が原因で他人様からあらぬ誤解を受ける事も度々あり、弁解して回るのにほとほと疲れてしまったので、大切な話をする時には彼女に聞えないようあちらこちらの扉を閉めてまわるという、私にとっては非常に苦手な事をせざるを得ない。
何だか意地悪をしているようで自己嫌悪に陥る事もしばしばだが奇麗事ばかり言ってもいられない。
ところが・・・である。私たちが扉を閉めると彼女の部屋の引き戸がするすると開くのだ。おそらく仲間はずれにされているように感じているんだろうなぁ・・・。
けど、やはりしっかり聞いていて、デイサービスの職員さんに我が家の内情がかなり違った形で伝わっているのにはただただ閉口するばかり。
「あら・・・まぁ、大変・・・。」まるで家政婦は見た!状態なのだ。
たまりかねて以前に一度だけ「家の事をあんまり外で喋っちゃ駄目だよ。」と言ったら事があるが、その時も「は~い。わかりました。」と返事は元気に愛らしく。
しかしそれ以後「~さんが言っていた。」と責任転嫁してしまうようになってしまい、これではもっとマズイので改めて注意はしないようにした。
職員さんに聞いて見ると、喋る事がストレスを溜めないために彼女には必要なので気にしないで喋らせてあげて・・・との事。
むむむ・・・。しかし、どうにもこうにも「いや~ん!!」なのである。
ぺこちゃんはただ、お喋りのネタを集めるのに一生懸命で悪気がないのは分かっているのだが、私の精神的にはかなりキツイ。
しかし、この所一人で留守番ばかりさせている毎日なのでそういうストレスを発散する場所はどうしても必要だとも思う。
だもんで、今日も話を聞きたいぺこちゃんと、話を聞かせたくない私との攻防戦を繰り広げている。
撃っては撃たれの繰り返しなのだが、しかしこれも慣れれば一種のコミュニケーションの形としては面白い。
ヤバイ!と思った時には当たり障りのない話を馬鹿笑いしながら、面と向って話すという錯乱作戦に、彼女は取り合えず満足してくれているらしい。
時には思いも寄らぬ反撃を被るのだが、それはあまりに面白すぎるので又の機会に話す事にしよ~っと。
IQのみの判定では重度の部類らしいが、独特の舌っ足らずな喋り方ながら根っからのお喋り好きで、人とのコミュニケーションは聞き手が慣れてしまえば、簡単な話ならほとんど差し障りなく取れている。
何より、一見して彼女に障害がある事は同じ障害を持っている方々のご家族でもない限り分からない程だ。
全寮制の施設を卒業して、16歳からこれまた全寮制の工場で働いていた為か、生きる事に関して、殊に人間関係に関しては鋭く観察して上下関係を察し、それぞれにそれなりの対応をする技は私以上かもしれない・・・という事は我が家で生活し始めて半年くらい経ってから、ようやく分かった。
至る所で私は鈍感に出来ているらしい、
身の回りの事は完全ではないが一応できるし、返事もはきはきと可愛らしい。
ただ、共に生活するには困った事がやはり、どうしても出てきてしまう。
細かく挙げればきりがないが、一番困っている事は彼女が家庭生活の経験がないためにプライベートと公的な境目を持たない事だ。
その上、お喋り好きなのが幸いして・・・いや災いして、我が家で起きる様々な事をディサービスや私の知人との集まりの場で意気揚々と話してしまう事だ。
しかも、私達の会話を黙って聞いていて自分の理解できる範囲内に曲解して喋るものだから事実と大きく食い違っている事の方が多い。
当初は留守番させるのが可哀相で可能な限り連れて歩いていたし、食事も極力家族と共にするようにしていたが、その事が原因で他人様からあらぬ誤解を受ける事も度々あり、弁解して回るのにほとほと疲れてしまったので、大切な話をする時には彼女に聞えないようあちらこちらの扉を閉めてまわるという、私にとっては非常に苦手な事をせざるを得ない。
何だか意地悪をしているようで自己嫌悪に陥る事もしばしばだが奇麗事ばかり言ってもいられない。
ところが・・・である。私たちが扉を閉めると彼女の部屋の引き戸がするすると開くのだ。おそらく仲間はずれにされているように感じているんだろうなぁ・・・。
けど、やはりしっかり聞いていて、デイサービスの職員さんに我が家の内情がかなり違った形で伝わっているのにはただただ閉口するばかり。
「あら・・・まぁ、大変・・・。」まるで家政婦は見た!状態なのだ。
たまりかねて以前に一度だけ「家の事をあんまり外で喋っちゃ駄目だよ。」と言ったら事があるが、その時も「は~い。わかりました。」と返事は元気に愛らしく。
しかしそれ以後「~さんが言っていた。」と責任転嫁してしまうようになってしまい、これではもっとマズイので改めて注意はしないようにした。
職員さんに聞いて見ると、喋る事がストレスを溜めないために彼女には必要なので気にしないで喋らせてあげて・・・との事。
むむむ・・・。しかし、どうにもこうにも「いや~ん!!」なのである。
ぺこちゃんはただ、お喋りのネタを集めるのに一生懸命で悪気がないのは分かっているのだが、私の精神的にはかなりキツイ。
しかし、この所一人で留守番ばかりさせている毎日なのでそういうストレスを発散する場所はどうしても必要だとも思う。
だもんで、今日も話を聞きたいぺこちゃんと、話を聞かせたくない私との攻防戦を繰り広げている。
撃っては撃たれの繰り返しなのだが、しかしこれも慣れれば一種のコミュニケーションの形としては面白い。
ヤバイ!と思った時には当たり障りのない話を馬鹿笑いしながら、面と向って話すという錯乱作戦に、彼女は取り合えず満足してくれているらしい。
時には思いも寄らぬ反撃を被るのだが、それはあまりに面白すぎるので又の機会に話す事にしよ~っと。