2020年7月 刊
全編著者の青春時代を思い起こすような形をとっている。
感覚がとんがっていた青春時代
著者と自分の青春時代を重ねあわせ
そこにキラキラしたものをみる。
そしてキラキラがどんどん増幅される。
短歌がいくつも出てくる、その短歌にドキっとする。
会えるのか/ただこのままに/おわるのか
光にさそわれ/影に踏まれ
午後をとおし/この降りしきる/雨にまぎれ
名もなき斧が/たそがれを斬首
たち切るも/たち切られるも/石のまくら
うなじつければ/ほら、塵となる
-クリーム
-チャーリー・パーカー・フレイズ・ボサノヴァ
-ウィズ・ザ・ビートルズ
中学・高校で出会った彼女たちの20年後は?
-「ヤクルトスワローズ詩集」
金沢にはプロのフランチャイズチームが無かった。それで球場での空気感が分からない、そして贔屓のチームは無い。
-謝肉祭
人生の一瞬を共に過ごした人、二度と会うことが無かった人、過ぎ去って行ってしまった人たち、その人たちは消え去ってはいない。
著者は書いている。
「それらは僕の些細な人生の中で起こった、一対のささやかな出来事に過ぎない。今となってみれば、ちょっとした寄り道のようなエピソードだ。もしそんなことが起こらなかったとしても、僕の人生は今ここにあるものとほとんど変わらなかっただろう。しかしそれらの記憶はあるとき、おそらく遠く長い通路を抜けて、僕のもとに訪れる。そして僕の心を不思議なほどの強さで揺さぶることになる。森の木の葉を巻き上げ、薄の野原を一様にひれ伏させ、家々の扉を激しく叩いてまわる、秋の終わりの風のように。」
-品川猿
木賃宿で猿と話す。
-一人称単数