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今は四高記念文化交流館。
そして運動場、講堂、寮などがあった跡地は今は四高記念公園として緑の多いイベント開催もする空間になっています。
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10年前から旧制高校の魅力にはまってしまいました。戦前の教育制度において旧制高校は旧帝大の予科として存在し、旧帝大の定員は旧制高校の卒業生数とほぼ同数の為、卒業生は学科を選り好みしなければほとんど無試験で各地の帝大に進学できる特権がありました。従って受験勉強に青春時代を費やす必要が無く、有り余る時間とエネルギーを全て精神的・肉体的成長の為に注ぎ込む事ができたようです。
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教科書の「しろばんば」の著者、井上靖が卒業生と知ったのは随分後のことでした。
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下記は碑文です。
流星
高等学校の学生の頃、日本海
の砂丘の上で、ひとりマント
に身を包み、仰向けに横たわ
って、星の流れるのを見たこ
とがある。十一月の凍った星
座から、一條の青光をひらめ
かし、忽焉とかき消えたその
星の孤独な所行ほど、強く私
の青春の魂をゆり動かしたも
のはなかった。
それから半世紀、命あって、
若き日と同じように、十一月
の日本海の砂丘の上に横たわ
って、長く尾を曳いて疾走す
る星を見る。併し心うたれる
のは、その孤独な所行ではな
く、ひとり恒星群から、脱落
し、天体を落下する星という
ものの終焉のみごとさ、その
おどろくべき清潔さであった。
井上靖
[碑陰]
一人の四高生があった。三年間
彼の日々は柔道着で、無声堂の道
場に明け暮れた。
やがてわが青春を律したものと
の訣別の時が来た。心虚ろなるま
まに、北海の砂丘に身を横たえ、
天上の星の流れに驚嘆、その存在
の悠久にわが心の孤獨を重ねた。
その時忽然として身内に湧き出て、
その魂をとくとくと充たしたもの、
それは星のように清冽にして芳醇
の時であった。
半世紀前の、詩神誕生の神話、
その学生の名は、井上靖、同窓、
有志、相図り、縁りのこの地に永
くその名を留める。
昭和丙寅十月
山本健吉
(丙寅=六十一年)