1994/4 刊 村上春樹9冊目の長編
本文より
「人にはそれぞれ、あるとくべつな年代にしか手にすることのできないとくべつなものごとがある。それはささやかな炎のようなものだ。注意深く幸運な人はそれを大事に保ち、大きく育て、松明としてかざして生きていくことができる。でもひとたび失われてしまえば、その炎はもう永遠に取り戻せない。僕が失ったのはすみれだけではなかった。彼女と一緒に僕はその貴重な炎までも見失っててしまったのだ。」
村上春樹さんの面白いところは日常の中に非日常があって、注意深く観察すれば非日常がある。
そんな様なことを何処かで読んだ。
この物語はその様な事なのだろうと思う。