全く春だ!草木が一斉に芽吹いている。百合、紫陽花、チューリップなどクロッカスは咲いた。桜は早いな!
金沢の今冬の最大積雪は7㎝、過去二番目に少ないらしい。
先ごろ花粉症の薬を貰いに行くと、今年の飛散量は昨年の5倍と言うのでビックリ!。帰ってママにその事を話すと例年の倍らしい。ビックリさせやがって!と思った次第。気象関係者によると昨冬も今冬も異常気象だったらしい。異常気象ばかりで異常が通常の昨今だ。
とうとう読んでしまった。この本が数冊出品されて価格も大幅に下がったのだ。
「北帰行」作詞作曲者がどんな環境下でどんな思いでこの曲を作ったのか知りたかった。
(小林旭が歌ってヒットした歌詞とは殆ど違う)
同級生が旅順高等学校を卒業したのは1945年頃今から74年前の昭和20年頃だ。終戦の年だ。しかし著者は2年の時に退学処分になっている。
1年の時に河合英治郎の「トーマスヒルグリーンの思想体系」を読んでいるその中から自由の部分だけを取り出して自分に都合よく解釈していたようである。
当時高校生の必読書は○西田幾多郎、善の研究○倉田百三、愛と認識との出発○阿部次郎、三太郎の日記だ、今では青空文庫で無料で読めますが読んだ人は少ないと思います。当時の学制は六・五・三・三制だったので当時の高校生は今の人よりも二歳老けていた。旧制高等学校は今なら大学の教養学部、私なんか「善の研究」などは数ページ読んで投げ出してしまいました、当然他の二冊も読んでいません。
著者が2年生のS16年に太平洋戦争が始まっている。授業には代返(名前を呼ばれたら代わりに返事)込みで最低線をまもり軍事教練にも参加していたとある。
本文より
さてありがたい「自由」を見つけたとなると「自由人」を気取りたくなるのは、いつもの癖である消極的、目立ちたがり屋であり、外見にもこだわる。私は行動や言葉遣いを少しずつ投げやりにした。規則を嫌って、気のむくままふるまう、一匹狼と言う姿勢を装った。大方の目がそのように見てくれるようになると、その期待に沿うようにますます図にのって禁酒も門限も、あからさまに無視した。
時代はまさに太平洋戦争開始の年である。同級生の間にも国家主義、軍国主義の風潮はたかまっていく。「私」をすてて、「公」に尽くす滅私奉公の精神が学校内でもしだいに幅を聞かせるようになる。国が栄えるか滅びるかの、せとぎわに立っているとき、酔っ払って門限を忘れたり、やたらに授業をさぼったりするやつは、ゆるせないというぐあいに、理屈が飛躍する。
ある昼休み時間、同じクラスの西村という男を中心にした七、八人に、とりかこまれたことがあった。校庭の藤棚の横である。
「きみは、自由主義者たろう?」西村の声は、うわずっている。
「いや、そんな主義者じゃない」
「うそォつけ!」
「うそじゃない」
「じゃ、個人主義者だ」
「さあ、どうかな。個人主義についての勉強はまだしていない、よく知らんよ」
「私利私欲のガリガリ亡者だ!」
「それが個人主義か?利己主義と言うのじゃないか?」
「うるさい!」
「大きな声をだすなよ、みっともない。もし、かりにぼくが個人主義者だとしても、きみたちになにか、迷惑をかけたか?」
「この非常時をなんだと心得てるんだ。全国民が一致団結して、鬼畜米英にあたらねばならんときに、個人主義がゆるされると思うのか!」両手をにぎりしめ、ニキビの目だつ顔は、まっさおだ。
「校長のお説教と同じだな」
「なにィ」
私はなぐられるかと思った。彼らはかろうじて思いとどまっているらしい。このとき、どうしたことか、変な考えがひらめいた。こいつら童貞だな。
「西村よ。僕が個人主義なら、きみは権威主義だ。命令されたがる傾向がある。そのほうが「自由」よりは楽だからな。自分の判断を、上の者にまかせる。まあそれもひとつのいきかただ。悪いとはいわん。しかし、上の権威に従わないものを非国民だと決めつけ、暴力をふるってでも、したがわせようとする。それは、フェアじゃないな」
「そういう考えかたが、個人主義なんだ。反省しろ!」
本文以上
退学が決定的になったのは交際相手と手を繋いでいるところを生活指導教員に見られたからだ、その前から目をつけられている。[飲む打つ買う]の[飲む買う]はあったようだ、今なら大学1回生だ。
宇田が退学処分になった年の12月に真珠湾攻撃があり、日中戦争はその3年前から続いていた。
著者は、多くの仲間から見送られ大連に向かう、その前に「北帰行」の作詞作曲を終え仲間たちに伝えた。それが自然、旅順高等学校の寮歌的存在になった。
後年、著作権問題が発生した時、この時友人に贈った本の背表紙に書いた歌詞により証明された。
原詞(旅順高等学校寮歌)
作詞・作曲:宇田 博
1 窓は夜露に濡れて 都すでに遠のく北へ帰る旅人一人 涙流れてやまず
2 建大 一高 旅高 追われ闇を旅ゆく汲めど酔わぬ恨みの苦杯 嗟嘆(さたん)干すに由なし
3 富も名誉も恋も 遠きあくがれの日ぞ淡きのぞみ はかなき心 恩愛我を去りぬ
4 我が身容(い)るるに狭き 国を去らむとすれば せめて名残りの花の小枝(さえだ) 尽きぬ未練の色か
5 今は黙して行かむ 何をまた語るべきさらば祖国 わがふるさとよ 明日は異郷の旅路 明日は異郷の旅路"