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映画・演劇のレビュー

浪花グランドロマン『シンデレラ』

2013-04-15 21:03:05 | 演劇
 これは結構大変な芝居なのだ。それをNGRのアトリエの、あの小空間でやろうとするのは画期的な挑戦だと思う。むちゃを承知でそれを楽しみ、押し通すのは浦部さんの少年っぽさゆえで、それが今回いい方向に発揮された作品になったのがうれしい。

 5人のNGRの女優たちも、この狭い空間で、ドタバタあり、ダンスありで大忙しのこの芝居をよく乗り切った。繰り返される衣装替えもあって、体力勝負のこの芝居を、必ずしも若くない(失礼!)メンバーも含むバラエティー豊かなキャストが総力戦で挑む。

 今、この作品をやることの意味ってどこにあるのだろうか、なんて難しいことはあまり考えず、ただ、この子供っぽい世界を満喫するだけでいい。それだけで十分と信じ、深く考えずに見せてくれた。そのほうが今はいい。へんに理屈をこねまわしても、芝居はおもしろくならない。それより、体力勝負で、そこに示されたものを、がむしゃらに演じるだけでいい。結果や意味は後から付いてくるのだから。

 ひきこもりのシンデレラが失踪する。魔法がとけたのに、まだ魔法がかかったままのガラスの靴にこだわり、待ち続けることの無意味さ。ここからどこに行けばいいのか、なんて考えなくていい。ただ、台本に書かれたまま、あの時代、青い鳥の彼女たちが感じたことが書かれた台本を忠実になぞっていく。それだけで、あの時代の何かがちゃんと伝わってくる。へんなアレンジはいらない、という浦部さんの判断は正しい。


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