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映画・演劇のレビュー

『ベクシル 2077日本鎖国』

2007-08-10 20:51:18 | 映画
 前半はなかなか面白かった。10年間誰も足を踏み入れたことのない鎖国下の日本に潜入して、そこにあっと驚く風景を見てしまう、というところまでは、ドキドキする。しかし、そこまでだ。それから先は全くつまらなくなり、ラストに至っては、ただの勧善懲悪かよ、というくらいに低レベルな映画になってしまい、がっかりである。

 しかも、「お前は『トランスフォーマー』か!」と怒鳴りたくなるくらいのいつまでも続く戦闘シーンのオン・パレード。こういうのはあの映画だけでもう充分だ。あれだけでも食傷気味なのに、またかよ、と思った。

 ロボット技術が進化を遂げ人間とロボットの識別が不可能になった世界で、人間がさらなる進化の一貫として、機械と融合していく、なんてお話はもう散々今までで繰り返されてきた。だから、もういい。しかし、この映画はそれを政治問題として捉えなおそうとしているところは新しい。だからこそ、鎖国下にある日本と世界との関係性や、アメリカを中心とする国際社会の対応をもう少しリアルに描いて欲しかったのだ。この映画における世界観が、緻密に描かれたなら、このお話もまた、新鮮なものとなり、リアルなものにもなったはずなのだ。

 なのに、話自体は抑圧された人々による単なるレジスタンスで終わり。これではあまりに陳腐ではないか。もう少し話に奥行きが欲しかった。しっかり練られたストーリーとこの素晴らしいフルCGによる映像が一体化できたなら、もう少しは面白い映画が出来たはずである。

 

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