巻頭写真 : 「サルテ(サルテンヌ)」
地中海からいきなり切り立った高山コルシカ島は
海の国であり山の国
地球の自然がそのまま残って「イル・ド・ラ・ボーテ 美の島」と呼ばれる
「ボニファチゥ」から西に4kmほど行くとキリスト教の聖地がある
『Ermitage de la Trinité』
天辺に十字架の立つ巨岩が遠くからでも見える
それが目印
イエスが処刑されてまだ400年の時代に
イエスが実践した「砂漠での断食」その他の苦難を追体験しよう
と志す隠者たちが住み始めた場所
その静寂と無垢の地に12世紀に「ベネディクト会「の修道会ができ
その後
「フランシスコ会」が受け継ぎ「キャプシーヌ会」へと受け継がれていった
その間
北アフリカ現アルジェリア北部の「Tibhirine」での修道僧の殉教事件の聖遺物
がもたらされ
その地の大聖人「聖アウグスティヌス」や「トラップの聖女フランソワーズ」
などの関係で中世以後近世近代と巡礼者が訪れた
現在は「Notre-Dame de la Trinité」という礼拝堂が残るのみだが
標高200mのこの地から「ボニファチゥ」の遠景が見晴らせる
その辺りを過ぎると『ファガーリ』という自治体の圏域にはいる
「フィガーリ」には空港があり二大都市「アジャクシオ」「バスティア」以外で
夏の間はパリその他の都市から定期便が飛んでくる
空港は「ボニファチゥ」から北西に18kmほど
町は山里だがほんの少しだけ海岸線も市域に入っている
ダムがあり島の南端の水瓶の役割を持つ
『Barrage de Talza de Figari フィガーリのタルザ・ダム』
海岸近くを通る「ボニファチゥ」からの東西に走る国道から
北に入る「フィガーリ」に向かう県道を挟んで
東側に「タルザ湖」西側に空港
その空港から3kmほど下ると南北に細長い「フィガーリ湾」に至る
その湾の始まる辺りにある「ピアノットリ」村のジェノヴァ時代の塔が
『Torra di Cardalellu』
市域には
湾以外外海に向かった海岸線はそれほど長くはないが
幾つか美しい海岸線を持つ
そのまま海から離れた国道を15kmほど進むとまた海の前に出る
その辺りには大きな岩が露出した奇観が続き
『ロッカピーナ湾』という名の小さな湾沿いに『ムトーリ』という岩とマキだけの
人の住まない数10haの海岸地帯で
「ライオン岩」と呼ばれる岩や「Megalithes メガィット(巨石文明遺跡)」がある
『Lion de Roccapina ロッァピーナのライオン』
これがなぜライオンかというと
ほらアップで見ると体温でしょ
しかも頭に王冠を載せたような姿
その王冠もジェノヴァ時代の塔の残骸
メガリットといえば
『Dolmen de Cauria (カウリアのドルメン)』
ドルメンだけではない
『Alignement de Palaggiu パラッジゥの列柱』
線刻画のあるものも
「カウリア」はすぐ横にある標高380m程の山の名前
この国道はライオン岩辺りで急に直角に曲がって北上すること15kmで
『サルテンヌ』に至る
『Sartène』
小さな川「ロレト川」にかかる橋を渡ると山肌にへばりつくように広がる
「サルテ(仏語表記サルテンヌ)」の町に入る
町の中心は教会前の広いテラスの広場
『Piazza Porta ポルタ広場』
正面に見える教会は別の教会で「聖ドメニコ」
コルシカ独立運動の父「パスカル・パオリ」
『Ghjesgia Santa-Maria Assunta 受胎告知の聖マリア教会』
『Hôtel de Ville 市役所』
この市役所の向かって右の大きいアーチが旧市街に入る門
市役所のをくぐり抜けて旧市街に入ってすぐが一番広い通り
ちなみに市役所の左側のアーチは物産店
コルシカ特産の蜂蜜やチーズ
ドライソーセージ等が並ぶ
一番広い通りも奥まで行くと狭くなり
あとは路地のような階段ばかりの旧市街
実は中世のある時期この町の有力二家系が常に抗争状態にあり
これらの狭い通りを挟んで
相窓から銃撃戦を行ったりした時代があるという
そして内部の一角の壁にかけられた怪しげな十字架と鉄鎖
そしてこれこそが
この教会をコルシカで一番有名にしているものなのです
実はこの「サルテンヌの受胎告知の聖マリア教会」が
島で一番期限が古く
もっとも名高い「贖罪の十字架の道行き」の贖罪行進を行っているのです
『U Catenaccio』
時は春
毎年の聖金曜日(イエスが処刑された日)に
「Le Pénitant Rouge (le Grand Pénitant 大贖罪者)」が足に鉄鎖を巻きつけ十字架を背負って
「Le Pénitant Blanc (白の贖罪者)」に解除されながら
8人の「Les Pénitants Noirs (黒い贖罪者)」をを引き連れ
1,8kmの行進をするのです
儀式の開始まで紫の布に覆われて祭壇上に飾られている十字架は
高さ3,5mで重量35kg
革ベルトで足首につける鉄の鎖は18kg
「Le Grand Pénitant (大贖罪者)」は自発的希望者で毎年1名
教区司祭と本人以外「誰」であるか知らない
目の部分だけ小さく穿垂れた穴だけの三角頭巾と貫頭衣は真っ赤
「Pénitant Rouge(赤い贖罪者)」と呼ばれる
「Pénitant Blanc(白い贖罪者)」は
ゴルゴダの丘を自分が架けられる十字架を背負って登るイエスが
力つき始めた時に
ローマ兵に介助を命じられた近くの見物人を表す
今でも「ペニタン・ブラン会」という修道会がある
「ペニタン・ルージュ」の代わりに時たま十字架を背負って助ける役目
「Penitant Noir」は
ローマ総督ピタトにイエスの有罪を申告した「イルラエル立法会」の面々を表す
街中の更新の際は黒い天蓋を捧げて従がう
いよいよ教会から外に向かう
この「赤い贖罪者」は一生に一度しか行うことができない
志願が通れば大変な名誉とみなされている
イエスと同じ様に途中で3回転ぶ
その度に「白い贖罪者」が解除する
「黒い贖罪者」達が「十字架降架後のイエス」を乗せた台と天蓋を捧げもつ
夕刻に教会を出た「十字架の道行き」の贖罪行列は途中で夜になる
コルシカ各地で行われているこの行事『U Catenacciu ウ・カテナッチゥ』の中で
ここ「サルテ」のそれが最も古く最も名高く最も格式がある
この日から翌々日の日曜日「復活の日」まで行事が続くのです
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