経済なんでも研究会

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賛?否? ジョンソン首相の“人体実験”

2021-07-27 08:27:13 | イギリス
◇ 規制解除で沸き上がるイギリス = イギリス政府は先週19日、コロナの流行を防止するための規制を全面的に解除した。店舗の営業からイベントの開催、3密を避けるためのソーシャル・ディスタンス、さらにマスクの着用に関してまで。いっさいの規制を取り払った。サッカー場では6万の大観衆が大声で応援、ナイトクラブは立錐の余地もないほど若者で埋め尽くされた。それから1週間、賛成の声は圧倒的に強いが、批判的な見方も決して少なくはない。

イギリスのコロナ感染者は、目立って増えている。たとえば1日の感染者は5万人、最近1週間では33万人を超えた。イギリス政府も「近く1日10万人に達するだろう」と予想している。にもかかわらず規制を全面解除したのは、重症者や死亡者があまり増えていないからだ。最近1週間の死亡者数は385人にとどまっている。これはワクチン接種率が、成人の68%に達したためと考えられている。

死亡者が少なければ、普通のインフルエンザと変わらない。だから規制を全面解除して、社会・経済をコロナ前の状態に戻す。こう決断したのはジョンソン首相であり、ロンドンのマスコミは「ジョンソンの大きな賭け」と論評した。それから1週間、街は活況を取り戻したから、評判はそこそこいい。だが一部では「危険な賭け」という見方も広まっている。

概して高齢者には、評判が悪い。若者が街を占領しているので「恐ろしくて地下鉄にも乗れない」という嘆き。医療関係者の間でも「感染者が増えると、新たな変異ウイルスが発生する」という警告。さらに死亡者も増えざるをえないが、その人たちはジョンソン政策によって命を落とすことになる。だから今回の規制解除は、ある意味では大規模な“人体実験”ではないのか。厳しい批判も出ているが、賭けの結末は10月になれば判明するだろう。

        ≪26日の日経平均 = 上げ +285.29円≫

        ≪27日の日経平均は? 予想 = 上げ≫


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