経済なんでも研究会

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日米で世界の脱炭素をリード : 共同声明 (下)

2021-04-21 08:04:24 | 環境
◇ エネルギー計画がない日本 = 2050年にカーボン・ニュートラル(実質的に温暖化ガスの排出をゼロ)を実現するという理想を掲げた。しかし30年も先のことだから、そこへ至るまでの中間的な目標として、2030年の姿を描き出そう。世界でこの考え方が強まったため、日米首脳会談でも「30年までに確固とした行動をとる」ことが合意された。では、日本は“30年の目標”をどのように作り上げるのだろうか。

そこで最も重要なのが、電気をどんな方法で造るかを決める電源構成だ。いま日本の電源構成は、30年度に「原子力20-22%、再生可能エネルギー22-24%、石炭26%、天然ガス27%、石油3%」という内容。6年も前の15年に作成された。だが現状は原子力が6%、再生エネルギーが18%で、この目標の達成は明かに不可能だ。にもかかわらず、政府は新しい電源構成を作れずにいる。実現できない電源構成のままということは、エネルギー計画がないと言うに等しい。

新しい電源構成を作成できないのは、責任官庁である経産省がこの10年間、失敗を繰り返したことが大きい。東日本大震災の前には54基あった原発は、災害対策を強化したため、現在は9基しか再稼働できない。太陽光発電は強制買い取り価格を高く設定しすぎて、電気料金の高騰を招く。慌てて引き下げたため、こんどは普及しなくなってしまった。それならと洋上風力発電に力を入れ出したが、これもコスト高で見通しが立たない。

こうした状態での日米共同声明。経産省は本当に実現性のある電源構成計画を作れるのだろうか。ヨーロッパ諸国の半分にも満たない再生エネルギーの比率を高めるため、たとえば‟50%”などという数字を並べることは簡単だ。しかし実効性がなければ、全く意味がない。菅首相が約束した「環境サミットまでに提案する」の内容が、全世界からも注目されているのはこのためだ。

       ≪20日の日経平均 =  下げ -584.99円≫

       ≪21日の日経平均は? 予想 = 下げ≫ 


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