経済なんでも研究会

激動する経済を斬新な視点で斬るブログ。学生さんの就職準備に最適、若手の営業マンが読めば、周囲の人と差が付きます。

株主優待に走る 経営者たち (上)

2019-06-19 07:25:40 | 利益
◇ 配当総額は14兆3000億円に = 企業経営者の多くが、いま株主優待の充実に精を出している。その手段は、配当の増額と自社株買いの2つ。いずれも結果的には、株価の下支えに役立っている。世界経済の先行きに注意信号が灯っているにもかかわらず、株価がそれほど下落しない原因の1つになっているようだ。経営者はなぜ株主優待を重視するのだろうか。この傾向は、いつまで続くのだろうか。

野村証券が上場企業3700社を対象に集計したところ、18年度の株主配当総額は14兆3000億円だった。前年より10.1%増加しており、これで過去最大の記録を6年連続で更新した。個別の企業でみると、トヨタの支払い総額が3400億円で最大。次いでソフトバンクとNTTがともに1800億円となっている。なかにはホンダや富士通のように、減益でも増配した企業も少なくない。

投資家にとって、配当率が高いことは大きな魅力。したがって高配当の銘柄には、買いが入りやすく、売りが出にくい。また機関投資家の多くは、配当金ですぐに株式を買い増す傾向が強い。このため配当率が高い銘柄は、比較的に下がりにくい。もっとも専門家によると、世界経済に不安が見え始めた現状では、個人投資家はすぐに再投資せず様子見に向かうだろうという。

経営者が株主優待を重視するのは、長期保有の株主を増やして経営の安定化を図るため。特に海外投資家の強い要望に応える必要もあったといわれる。また会社の役員は、大量の自社株を保有しているのがふつうだ。そこで配当率を高くすれば、株主総会で問題視されずに、自分たちの収入を増やすことが出来る。企業の利益が高水準を維持する限り、株主優待の傾向は続くだろう。

                               (続きは明日)  

       ≪18日の日経平均 = 下げ -151.29円≫

       ≪19日の日経平均は? = 上げ≫

ホルムズ海峡の 謎 : タンカー攻撃

2019-06-18 07:35:07 | 原油
◇ 犯人はどこの誰なんだ? = まるで名探偵ポワロが活躍する推理小説のようだ、安倍首相がイランを訪問中に起こった、タンカー攻撃事件。アメリカはいち早く「イランの革命防衛隊による犯行」と決めつけたが、イラン側は完全に否定した。たしかにイランがこの時点でこんな事件を起こして、どんな得があるのか。ちょっと理解に苦しむ。そのイランは「敵対する周辺国か、アメリカのでっち上げ」だと主張する。

事実関係にも、不明な点が多い。魚雷や機雷が爆発したようだが、飛翔体が直撃したという船員の証言もある。いずれにしても、これらの爆発物はどこから発射されたのか。正確に着弾しているところからみて、おそらくは近くにいた船舶あるいは潜水艦から発射された公算が大きい。それなら衛星写真で、特定できるのではないだろうか。

アメリカはイランが関与した証拠として、イランの革命防衛隊が不発だった機雷を回収する動画を公表した。だが、この動画はだれが、どうやって撮影したのか。これだけの写真を撮ることができれば、その小舟が回収した機雷をどこに運んだかを追跡できたのではないか。運んだ先が判れば、犯人の特定につながるはずだ。

この海域では、しばしば海賊による襲撃が発生している。だが今回の攻撃は大掛かりな近代兵器を使用したもので、海賊レベルの襲撃を超えている。そこで国際的にも大きな反響を呼んだわけだが、実は5月12日にもサウジアラビアのタンカーが同様の攻撃を受けていた。しかし日本の新聞、テレビでは報じられなかった。この点にも、?を付けておきたい。

       ≪17日の日経平均 = 上げ +7.11円≫

       ≪18日の日経平均は? 予想 = 上げ≫

今週のポイント

2019-06-17 07:17:25 | 株価
◇ 穏やかになった株式市場 = ダウ平均は先週106ドルの値上がり。日経平均も232円の上昇だった。これで日米の株価は、ともに6月に入ってから連騰。5月の5週続落に比べれば、様変わりの状況となった。だが、この変化は数字の上だけのこと。市場からは活気が消え失せている。値動きは小幅になり、出来高は減少した。というのも世界経済の先行き不安が強まるなかで、当面の買い材料は乏しいからだ。

先々週はパウエルFRB議長の利下げ容認発言が出て、ニューヨーク市場は活況に推移した。だが1週間たつと、この材料も生気を失う。先週の市場では「利下げは7月」の声が圧倒的に強まり、さらに「年内2回説」も常識のようになった。FRBがこうした市場の催促にどう応えるか。下手をすると、失望売りを誘いかねない。

ホルムズ海峡でのタンカー攻撃事件は、ショッキングなニュースだった。しかし謎が多すぎて、市場も消化難。今週以降の展開を見守るしかなさそうだ。ただ、この問題が与える影響は、アメリカよりも日本の方がずっと大きい。また東京市場の場合は、今週あたりから参院選に関する情報ラッシュに見舞われる。

今週は19日に、5月の貿易統計と訪日外国人客数。20日に、4月の全産業活動指数。21日に、5月の消費者物価。アメリカでは18日に、5月の住宅着工戸数。20日に、5月のカンファレンス・ボード景気先行指数。21日に、5月の中古住宅販売と6月の製造業PMIが発表される。なお19日には、パウエルFRB議長が所見を表明する予定。

       ≪17日の日経平均は? 予想 = 下げ≫

不毛な 国会論争 : 老後「2000万円」

2019-06-15 07:34:25 | 年金
◇ 与党も野党も国民の方を向いていない = 「老後の生活には2000万円が不足」という金融庁の報告書をめぐって、国会では激しい論戦が続いている。まず野党側は、安倍内閣の言う“年金100年あんしん”は嘘だったのかと追及。安倍首相は「平均2000万円という数字が独り歩きして、国民全体に心配をかけた」と弁明。最後は麻生財務相が「政府としては、この報告書を受け取らない」と言明。報告書そのものを抹殺してしまった。何も生み出さない、まことに無意味な論戦である。

2000万円という数字が正しいかどうかは別として、国民は「老後の生活が厳しいことは、よく知っている。だから、この報告書の言わんとすることも、よく理解できる。また2000万円という数字は平均値であって、誰もが2000万円不足するなどと考える人はいない。たとえば平均寿命が85歳になったからといって「みんな85歳まで生きる」と思わないのと同じだ。

要するに、国民の感じはこの報告書に近い。それなのに与野党は論戦の末に、この報告書を葬り去ってしまった。野党側はとにかく、政府に頭を下げさせることしか考えていない。政府側も参院選を前に、臭いモノには蓋をすることに専念した。テレビで見ていた国民の多くは、苦々しい感じをぬぐえなかったろう。

野党側は政府・与党に、この報告書を認めさせるよう誘導すべきだった。その結果、2000万円は大変だから、不足額を少しでも減らすために、どんな政策をとったらいいか。そこへ議論を持って行くべきだった。そういう姿勢がないから、野党の支持率は上がらない。そればかりか、各省庁が“政府に都合の悪いような報告書”は出しにくいような雰囲気を作ってしまった。

       ≪14日の日経平均 = 上げ +84.89円≫

       【今週の日経平均予想 = 5勝0敗】     

エネルギー無策 (下)

2019-06-14 07:17:36 | エネルギー
◇ 触らぬ神の原子力 = 政府は原子力発電を、将来にわたっての“基幹電源”と位置付けている。にもかかわらず、エネルギー政策の責任官庁である経産省・資源エネルギー庁は、原発に対しては一貫して「触らぬ神に祟りなし」の姿勢。たしかに原発問題は、政治的にも社会的にも難しい側面を持っている。だが主管官庁がこんな姿勢だから、原子力発電の将来像はだれにも描けなくなってしまった。

東日本大震災の前、日本では54基の原発が稼働していた。その電源比率は25.1%で、全体の約4分の1を占めていた。それから現在までに20基が廃炉に。残る34基のうち、原子力規制委員会の審査に合格して再稼働しているのは9基。電源比率は3.1%に急落した。しかも規制委員会は、テロ対策の不備を理由に稼働中の9基についても停止を求める方向だという。

経産省といえども、規制委員会に圧力をかけるわけにはいかない。しかし規制委員会の動きを察知し、電力会社に早めの対策を講じるよう指導することは出来たはずだ。さらに福島原発の事故で生じた汚染土や汚染水の処理、放射性物質の最終処理など問題は山積しているが、経産省・資源エネルギー庁は何一つ積極的には行動していない。そこからは、問題を先送りする姿勢しか見えてこない。

要するに、経産省のエネルギー政策は失敗の連続。その結果、太陽光発電では①最初に参入した業者だけに大儲けさせ②企業と家庭の電気料金を高騰させ③再生可能エネルギーの普及を挫折させた。また原子力でも④見通しを真っ暗にした。このため⑤重要な電源比率の将来図を描けず⑥CO₂の排出を減らせず⑦貿易の赤字要因を温存した。白書では、これらの点に全く触れず、改善方策も示していない。やはり“世界史に残る無策”である。

       ≪13日の日経平均 = 下げ -97.72円≫

       ≪14日の日経平均は? 予想 = 上げ≫

Zenback

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