近所を歩いていたら、虫が鳴いているお庭とセミが鳴いているお庭が。ちょうど夏と秋の境目なんですね!
さて、今日はちょっと長文です。
ちょっと古い話ですが、去年の5月、「患者様」を「患者さん」に戻す病院が出てきた、という報道がありました。先日も、富士吉田市立病院で、患者の呼称「さま」から「さん」に変更したというニュースが。
昔は、そんな呼ばれ方しなかったなぁと思って調べたら、始まりは、厚生労働省の「医療サービス向上委員会」が2001年に「国立病院等における医療サービスの質の向上に関する指針」を打ち出し当時の国立病院に患者の呼称の際、原則として姓(名)に『さま』を付する」としたあたりのようです。そして、国立病院の動きに、他の病院がつづいた、ということみたい。
元はといえば、今の聖路加看護大学学長の井部俊子先生が外来婦長をされていたころ、患者さんを○○様と呼んだことだという説もあるそうで。でも、患者様ではないようですね。
もともと、漢字の「患」も、英語の「Patient」も、我慢するという意味があって、そういう「耐え忍ぶ」感じはなんとかならないかなぁと思うのですが、かといって、「患者様」は、「お客様」のように見えて、「お客様は神様です」というイメージが。
そんなことを思いながら、ネットでいろいろ見ていたら、三省堂「デイリー 新語辞典」に「患者満足」という項目があることを発見!知らなかったです!ひっくり返りました。
…サービス業の「顧客満足」そのままですね。
でも、これって、よりよいサービスは高い、という話です。豪華な病院で出産!というようなことが、一般の治療でも起きるってことです。価格差があるアメリカの医療ならともかく、保険診療=どこでも同じ医療費が前提の日本の医療で、医療サービス業という考えは成り立たないように思うんですけど。
「患者満足度」のために、差額ベッド代みたいな価格差を請求でないなら、誰が何のためにがんばるんでしょう???心意気のため?
ショックを受けていたら、「医療消費者」という項目までありました。
えっと…、医療はお買い物じゃない…ですよね!?
患者は、医療やお医者さんを消費しに病院に行くわけではありません。お医者さんの医療の技に助けてもらって、自分の病気を治していくんだと思いますけど。
武道の師匠みたいとまでは言わないけれど、ホテルで快適さを提供してもらったり、弁護士さんに弁護してもらったり、というサービス業とは、ちょっと違う気がするんです。
「患者」「患者の皆様」「患者としてご来院の方」「患者さん」「○○さん」…いろんな表現はできると思うのですが、患者に消費者みたいな誤解をさせる表現は、もうそろそろやめた方がいいような気がしてなりません…。
←参加中!ポチッをありがとうございます!
※追記: 冒頭に書いた報道を、最後に引用しておきます♪
「患者様」ちょっと違和感 「患者さん」に戻す病院も
(朝日新聞 2007年5月2日)
「患者様」という呼び方が病院ですっかり定着した。しかし、好きで病気になったわけでもないのに、違和感を感じる人もいる。もともと患者の立場を尊重した医療の実現などを意識して使われ始めた言葉だが、「日本語としておかしい」という指摘もあり、「患者さん」に戻す病院が出てきた。
京都大学病院(京都市)では、昨年末から掲示物やホームページなどの「患者様」という表現を「患者さん」や「患者の皆さま」に改める作業を進めている。院内放送を録音し直し、看板はすべて取り換えた。
呼称の変更は病院の幹部会議で決め、2000人余りの職員に文書やメールで周知した。「様」をつけていいのは「田中様」といった姓の後だけ。一山(いちやま)智・副院長は「院内で違和感があるという声は以前からあったが、患者自身からも『馬鹿にされている感じがする』という意見があった」と言う。
さらに変更の理由の一つに、院内で医療スタッフへの暴力や暴言が多発していることを挙げる。「『患者様』と呼ぶことが直接の原因ではないが、一部の人に誤った意識を助長しているような気がする」と一山副院長は話す。
「患者様」という言葉は、患者本位の医療やサービス向上を意識して一部の病院で使われ始めた。01年に厚生労働省が出した国立病院のサービスに関する指針に、「患者の呼称の際、原則として姓(名)に『さま』を付する」という内容があり、広まったらしい。
00年に「様」を導入した長野県東御(とうみ)市の東御市民病院では03年、「サンさま再検討委員会」が作られた。アンケートの結果、職員、患者とも「『さん』の方が身近で親しみを感じる」という意見が多かったことから、「さん」に戻している。委員長を務めた薬剤師の中山孝子さんは「患者と対等な立場になることが重視される中で、医療はサービスと称してへりくだった態度をよしとする思い違いをしてきたような気がする」と振り返る。ただ、公的性格の強い文書や掲示物では「様」という表現を残しているという。
一方、近畿地方のある大学病院の教授は「教授会で議論して『さん』が良いという結論にはなったが院内で徹底するのは難しい。医師と窓口の職員とでは考え方が違うようだ」と話した。
◇
「患者様という言葉はおかしい」との指摘は、国語学者の故金田一春彦さんも自著でしている。「日本語を反省してみませんか」(角川書店)で、「『患者』という言葉自体がすでに悪い印象を与えるため、いくら『さま』をつけてもらってもうれしくない。(中略)いくら頑張っても敬うことにはならないのである」と書いており、医療関係者が見直しをするきっかけにもなった。
◇
〈95年に全国に先駆けて「患者様」という言葉を取り入れた亀田総合病院(千葉県鴨川市)の亀田信介院長の話〉 言葉の使い方は本質的なことでない。病院ごとに決めれば良いと思う。うちはホスピタリティー(もてなしの心)の一環で「患者様」という言葉を使っているが、これは公的な場のことで、患者が知り合いの漁師なら、「どう、元気?」と切り出すこともある。状況に応じたパートナーシップを築けるのがプロの仕事だと思う。
さて、今日はちょっと長文です。
ちょっと古い話ですが、去年の5月、「患者様」を「患者さん」に戻す病院が出てきた、という報道がありました。先日も、富士吉田市立病院で、患者の呼称「さま」から「さん」に変更したというニュースが。
昔は、そんな呼ばれ方しなかったなぁと思って調べたら、始まりは、厚生労働省の「医療サービス向上委員会」が2001年に「国立病院等における医療サービスの質の向上に関する指針」を打ち出し当時の国立病院に患者の呼称の際、原則として姓(名)に『さま』を付する」としたあたりのようです。そして、国立病院の動きに、他の病院がつづいた、ということみたい。
元はといえば、今の聖路加看護大学学長の井部俊子先生が外来婦長をされていたころ、患者さんを○○様と呼んだことだという説もあるそうで。でも、患者様ではないようですね。
もともと、漢字の「患」も、英語の「Patient」も、我慢するという意味があって、そういう「耐え忍ぶ」感じはなんとかならないかなぁと思うのですが、かといって、「患者様」は、「お客様」のように見えて、「お客様は神様です」というイメージが。
そんなことを思いながら、ネットでいろいろ見ていたら、三省堂「デイリー 新語辞典」に「患者満足」という項目があることを発見!知らなかったです!ひっくり返りました。
患者満足〔patient satisfaction〕
医療における顧客満足(CS)のこと。患者のことを,一般的なサービスにおける顧客と同様に捉(とら)え,患者本位のサービスを拡充するもの。PS。
…サービス業の「顧客満足」そのままですね。
でも、これって、よりよいサービスは高い、という話です。豪華な病院で出産!というようなことが、一般の治療でも起きるってことです。価格差があるアメリカの医療ならともかく、保険診療=どこでも同じ医療費が前提の日本の医療で、医療サービス業という考えは成り立たないように思うんですけど。
「患者満足度」のために、差額ベッド代みたいな価格差を請求でないなら、誰が何のためにがんばるんでしょう???心意気のため?
ショックを受けていたら、「医療消費者」という項目までありました。
医療消費者:患者を医療サービスを受ける消費者としてとらえた語。医療に関する患者の権利を,消費者の権利として確立させようとする考え方から生まれた。
えっと…、医療はお買い物じゃない…ですよね!?
医療:医術で病気を治すこと。
医術:病気や傷を治療する技術。
患者は、医療やお医者さんを消費しに病院に行くわけではありません。お医者さんの医療の技に助けてもらって、自分の病気を治していくんだと思いますけど。
武道の師匠みたいとまでは言わないけれど、ホテルで快適さを提供してもらったり、弁護士さんに弁護してもらったり、というサービス業とは、ちょっと違う気がするんです。
「患者」「患者の皆様」「患者としてご来院の方」「患者さん」「○○さん」…いろんな表現はできると思うのですが、患者に消費者みたいな誤解をさせる表現は、もうそろそろやめた方がいいような気がしてなりません…。
←参加中!ポチッをありがとうございます!
※追記: 冒頭に書いた報道を、最後に引用しておきます♪
「患者様」ちょっと違和感 「患者さん」に戻す病院も
(朝日新聞 2007年5月2日)
「患者様」という呼び方が病院ですっかり定着した。しかし、好きで病気になったわけでもないのに、違和感を感じる人もいる。もともと患者の立場を尊重した医療の実現などを意識して使われ始めた言葉だが、「日本語としておかしい」という指摘もあり、「患者さん」に戻す病院が出てきた。
京都大学病院(京都市)では、昨年末から掲示物やホームページなどの「患者様」という表現を「患者さん」や「患者の皆さま」に改める作業を進めている。院内放送を録音し直し、看板はすべて取り換えた。
呼称の変更は病院の幹部会議で決め、2000人余りの職員に文書やメールで周知した。「様」をつけていいのは「田中様」といった姓の後だけ。一山(いちやま)智・副院長は「院内で違和感があるという声は以前からあったが、患者自身からも『馬鹿にされている感じがする』という意見があった」と言う。
さらに変更の理由の一つに、院内で医療スタッフへの暴力や暴言が多発していることを挙げる。「『患者様』と呼ぶことが直接の原因ではないが、一部の人に誤った意識を助長しているような気がする」と一山副院長は話す。
「患者様」という言葉は、患者本位の医療やサービス向上を意識して一部の病院で使われ始めた。01年に厚生労働省が出した国立病院のサービスに関する指針に、「患者の呼称の際、原則として姓(名)に『さま』を付する」という内容があり、広まったらしい。
00年に「様」を導入した長野県東御(とうみ)市の東御市民病院では03年、「サンさま再検討委員会」が作られた。アンケートの結果、職員、患者とも「『さん』の方が身近で親しみを感じる」という意見が多かったことから、「さん」に戻している。委員長を務めた薬剤師の中山孝子さんは「患者と対等な立場になることが重視される中で、医療はサービスと称してへりくだった態度をよしとする思い違いをしてきたような気がする」と振り返る。ただ、公的性格の強い文書や掲示物では「様」という表現を残しているという。
一方、近畿地方のある大学病院の教授は「教授会で議論して『さん』が良いという結論にはなったが院内で徹底するのは難しい。医師と窓口の職員とでは考え方が違うようだ」と話した。
◇
「患者様という言葉はおかしい」との指摘は、国語学者の故金田一春彦さんも自著でしている。「日本語を反省してみませんか」(角川書店)で、「『患者』という言葉自体がすでに悪い印象を与えるため、いくら『さま』をつけてもらってもうれしくない。(中略)いくら頑張っても敬うことにはならないのである」と書いており、医療関係者が見直しをするきっかけにもなった。
◇
〈95年に全国に先駆けて「患者様」という言葉を取り入れた亀田総合病院(千葉県鴨川市)の亀田信介院長の話〉 言葉の使い方は本質的なことでない。病院ごとに決めれば良いと思う。うちはホスピタリティー(もてなしの心)の一環で「患者様」という言葉を使っているが、これは公的な場のことで、患者が知り合いの漁師なら、「どう、元気?」と切り出すこともある。状況に応じたパートナーシップを築けるのがプロの仕事だと思う。
驚きです。
患者=お客様
これは確かに考え物ですよね。
それが職業となっているといえばそれはそうですが、目的が接待ではありませんからね、そういう考え事態が間違っていますよねー。
それに加えて医療消費者なんて言葉まで存在しているなんて・・・
ショック
それは直さなければ、病院が病院として成り立たなくなりそうです。
ほんとに驚きです。
どっちかというと、お医者さんより事務方が「患者さま」という考えを打ち出すことが多いようで、それはそれで「患者さんを顧客扱いするのもどうなの?」ってことなのかもしれませんね。
あんまりサービス業(=営利)を追及されると、急性期には夜中に急変したりする膠原病のような病気を診てくれる科は撤退しそうで、困ります(;o;)
びっくりです ∑(゜ω゜ノ)ノ
そーいや。みどぴぃが通ってる病院ってどうだっけ??
ある程度知ってる医師や看護師さんからはみどぴぃちゃんとかみどぴぃさんとか下の名前で呼ばれてるしなぁ???
気にしたこともなかったかも
昔のように患者が医師を神様のように敬うのもどうかと思いますけど、患者=お客様も考えものですね。
患者と医師は対等な関係がイイと思う患者さんもいるでしょうし、高齢者の患者さんの中には昔のような上下関係で接されることを希望する患者さんもいるでしょうし、柔軟性が持てれば一番イイ気がしますね~
まぁ。難しいのでしょうが
みどぴぃさんの先生たちは、「みどぴぃちゃん」「みどぴぃさん」なんですね!
もしかして、ボケもつっこみも、どんどんしている?(笑)
何と言うか、叱ることは叱る、人として敬意を払うところは払うという、普通のことができる関係を一番なんだろうと思うのですが、長期で何度も入院する病気でないと、なかなか、そういう関係を作るのが難しいんでしょうか・・・。
何度も入院してるからできるんだろうなぁと思います
確かに他の科に行って知らない先生に診てもらうときは緊張しますね~
ある程度の信頼関係がなければ、より良い関係を作るのは難しいのかもしれないですね
ある程度、コミュニケーションを重ねて、冗談がどれくらい通じるかわかったり(笑)しながら、信頼関係ができてくると、本当に安心して、いい関係ができていきますね。
先生も人間だから、関係作りが得意な先生と苦手な先生もいるんですけどね!