小平市の松見病院で、PSWを募集しています。
この夏から、勤務できる人を求めているとのこと。
現在、PSWは二人体制ですが、今回一人増員することになったそうです。
PSWの古川玲衣さんは、僕の分担だった厚労省の委託研究班に参加してくれていました。
この病院のことは、以前、このブログで触れたことがあります。
昨年9月5日に掲載した「退院支援に向けての胎動」という記事です。
社会復帰に向けた取り組みは、お世辞にも活発とは言えない病院でした。
長期に療養している入院患者さんが、圧倒的に多かった病院といえます。
その病院で、PSWはコツコツと、患者さんに寄り添いながら頑張って来ました。
医師や看護、地域生活支援センターと協働しながら、退院支援に取り組んで来ました。
最近では、従来からのOTに加え、院内でSSTや服薬教室も始めています。
訪問看護も開始し、入院中心から地域医療型の病院へ、大きく転換しつつあります。
退院・地域移行支援等に関心のある方には、非常にやりがいのある職場といえるでしょう。
新しい精神医療の形を創っていく、意欲あるPSWの応募が期待されています。
応募の概要は下記の通りですが、詳しくはお問い合わせ下さい。
以前載せた、松見病院についての記事を再掲しておきますので、ご参照下さい。
◆松見病院 PSW急募◆
職 種:精神保健福祉士有資格者
採用人数:1人
業務内容:病院における相談業務全般
雇用形態:正職員
就業時間: 月~金 9:00~17:00
第1・3・5土 9:00~12:00
賃 金:月給20万円~ 賞与年2回 交通費支給
問い合わせ先:医療法人十字会 松見病院 採用担当まで
〒187-0031 小平市小川東町2-11-1 042-341-3211(代)
★ ☆ 以下「退院支援に向けての胎動」より抜粋 ☆ ★
ひとつは、「病院からの卒業~松見病院での退院支援事例を通して」。
ひとりの男性の事例(50歳)について、関わってきた4人の報告がありました。
小平市にある松見病院から、副看護部長の實籐さんとPSWの古川さん、あさやけの花形さんと、ふれあいの郷の矢野さんです。
パワポの資料も良くまとめられており、4人の女性が一体化して自然に話していたのが、とても印象的でした。
事例の男性は、21年間幻聴に従い、この8年間、病棟内でいつも日中布団をかぶっていて、人との接触がまったく無かったそうです。
当初は、退院支援を病棟で進めても、逆に病状悪化を来たし、支援は4ヶ月で中断されたとのこと。
スタッフが調整を先行してしまい、本人の気持ちの変化、不安を受け止め切れていなかったという反省が残ったそうです。
仕切り直しの退院支援が、地道に粘り強く開始されました。
病棟内カンファレンスに地域のスタッフが参加したり、病棟スタッフが積極的に話しかけて関係を構築したり、医師は新薬の調整をしたり。
「退院」を禁句にして、「ひとり暮らし」のイメージ作りを、繰り返し外出したり、色々なツールを使いながら行ったり。
病院と地域が、進捗情報とスケジュール、見立てを共有するために密にコミュニケーションを図ったり。
ひとりの男性の8年ぶりの退院に向けて、スタッフたちが本当に手を携えて支援を組んできた様子が、よく伝わる報告でした。
最後に、退院日に撮ったという、ご本人とスタッフたちの記念写真が写されました。
ご本人のメッセージが読み上げられました。
「支援センターの方たちの手助けで、退院することができました。
今は、夜更かししてしまったり、何もすることなかったり、寂しいこともあります。
でも、今、誰にも拘束されることのない自由な生活は、とても楽しいです。
今後は、昼間どう過ごすか、考えたいと思います」と。
質疑応答では、
病院側と地域生活支援センターの連携の工夫や、病院からだけでなく地域から歩み寄ってくれることで、本人も安心感を得られること。
病院看護師からすると、外部の人が入ってきて初めてのカンファレンス体験の新鮮さや、地域スタッフとの関わりで看護スタッフの関わりが展開しだしたこと。
見立ての統一がとても重要で、病棟スタッフと地域スタッフが共同歩調を取り、外出の実体験を通して本人が変わっていったこと、
などが話されました。
参加していたある患者さんは、
「自分が退院してから10年たって、今はこんなに違うのかとビックリした。
自分が退院する時には、病院スタッフも誰も助けてくれなかった。
こんなに様々なスタッフが、細やかに関わってくれるのかと感動した。
今後、できることがあれば、この事業に協力していきたい」
と話していました。
このエリアの取り組みは、まだまだ始まったばかりで、とても未熟かも知れません。
7万2千人の「退院可能精神障害者」の地域移行に至るには、余りにも遠い現実があるのは確かです。
この事業に対しては、「病院と地域に対する啓発事業の域を出ない」という批判もあります。
それでも、今ここで蓄積されつつある経験は、これから大きな力になるはずです。
退院を果たし、地域で元気になっている人がいるという成功体験は、病院と地域、双方のスタッフの、モチベーションとノウハウとスキルを確実に上げていきます。
問題点をあげつらうのではなく、やれたこと、できたことを確実に積み上げ、伝えていくことが、希望を生んでいくのだと思います。
そういう意味では、精神病院の地域社会参加に向けたリハビリテーションが、ようやく始まったと言えるかも知れません。
※画像は、松見病院のホームページからお借りしました。