タミアのおもしろ日記

食文化・食育のお役立ちの話題、トンデモ食育、都市伝説、フードファディズムなどを分析して解説します!(^.^)

衝撃!日経が陰謀論の本をおすすめしちゃった!

2023年05月22日 | Weblog
今朝(2023年5月22日)の日経朝刊で、なんと陰謀論の本がおすすめ本として紹介されてしまいました。陰謀論とは、事実ではないのに「あれはアメリカの陰謀で」「あれは宇宙人が人類に仕掛けた壮大な陰謀で」などと大げさに言って読者を洗脳するアレです。
「読むヒント!」という毎週月曜日に掲載される若者向けおすすめ本のコーナーです。紹介されてしまった陰謀論本は、鈴木猛夫氏の「「アメリカ小麦戦略」と日本人の食生活」という、20年くらい前に出版された本です。
 この本はこういう陰謀論です。「アメリカの小麦団体が小麦粉を使った欧米風料理を日本に紹介した。それで日本人の食生活を変えてしまい欧米型の病気や成人病(生活習慣病)が増えてしまった。そこにはアメリカの陰謀があった。」この鈴木氏の説がでたらめだらけだということは、2013年にこちらのリンク先の論文で発表されてます。
生活改良普及員の昭和20~30年代の栄養指導の意義と功績
https://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/2030870944

 読むと鈴木猛夫氏の大間違いをこれでもかと指摘しまくりで、論文ってこんなに笑えていいのかしらと思う内容です。おすすめポイントを列挙します。
小麦の一人当たり消費量は昭和40年頃から現在までほとんど変化ない。
・米を食べると頭が悪くなる説はアメリカの陰謀ではなく、戦前から日本人が唱えていて、戦前の人気小説「細雪」に描かれるほど一般国民によく知られていた説。
食が欧米化したのはパンではなくお米が原因。日本人は洋風おかずをパンの代わりにごはんを中心において食べるようになった。ごはんに肉と油のおかずが合うことに気がついたため。その結果、日本型食生活が成立して世界一の長寿国になった。
キッチンカーは洋食だけでなく日本の伝統食や中華料理などを指導した

なぜ鈴木氏はでたらめを書いたかについても、2019年発表論文「自給運動と地産地消の歴史」にさらっと指摘してます。実は鈴木猛夫氏の本業は南大塚の商店主で、昔は精米機を扱っていた。その頃共産党系の雑誌の「読者の投稿欄」に、身体に良いお米は自宅でつかないと手に入らないから小型精米機をお売りしますと投稿していた、と。
 共産党ねえ。アメリカが嫌いだから陰謀論をながしたんでしょうね。ついでに精米機販売でもうけるつもりだったんだ。なるほどね。
日経さん、若い方々、陰謀論にはくれぐれもご用心!

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牛のゲップは温室効果ガス増加の主因では無かった

2023年05月17日 | Weblog
タイトルの件についてはこのブログで繰り返し訴えてきたことですが、やっと公益的な雑誌もこの問題を正面で扱ってくれるようになって、うれしいです。日本政策金融公庫が広報AFCforum(2023年春1号)で、牛のゲップは日本の温室効果ガス全体でみると非常に小さいことを指摘してくれました。指摘してくださったのは協同組合日本飼料工業会業務部長兼安全プロセス推進室長の石川巧先生です。
 先生も、最近「牛のげっぷは環境を破壊している」という言説を見かけて疑問に思ったそうです。そこで事実から検証したところ、日本全体の温室効果ガス総排出量(二酸化炭素換算で」約12億トン)のうち、畜産由来は1%程度だと計算されたそうです。畜産由来の約半分がげっぷ、残りが排泄物由来だそうです。つまりげっぷ由来はおよそ0.5%程度ですね。

そもそも論として、農林水産分野に話を絞った時でさえ、牛のゲップ由来のメタンより稲作由来のメタンの方が多いのです(農林水産分野の排出量全体を100%とした時、げっぷは15%、稲作は25%です)。

それに、牛のゲップを抑制するエサも開発・販売されており今後ますます牛のゲップは減るということです。それを考えると、人間には食べられない草を畜産物に変えてくれる牛のありがたさの方が温暖化効果を上回る。

地球温暖化は待ったなしの問題です。私たちも、車の運転の際に無駄なガソリンを使わない、公共交通機関で行けるところは、自家用車より公共交通機関を使う、お風呂やシャワーなどの無駄を見直す、など様々な行動をしましょう。牛のゲップを批判するより遙かに効果的で確実です。

食育は誤解して大げさな説を広める人がたくさん居るのが実情です。当ブログは今後も、食育で勘違いしやすいポイントを指摘し、科学的に正確で史実に基づく食育を紹介します。

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