まちかど逍遥

私ぷにょがまちなかで遭遇したモノや考えたコトなどを綴ります。

石の対馬 下島その4 ~椎根の石屋根

2016-07-30 23:48:35 | 建物・まちなみ
対馬の続き。

久根田舎から少し走って海沿いの集落に出てきたときに、また目を引く風景が。
これもまた石屋根だ!いや、「石乗せ屋根」かな。瓦屋根の軒近くに両手大の石がずらりと並べて
置かれている。地図で見ると上槻という集落。


前に石垣を築いてあり、佐田岬半島の井野浦で見た納屋に似ているな。


場所がら、直接吹き付ける海風が屋根瓦をめくり上げるのを防ぐためだろうが、これらの小屋が
石屋根ならこんなことをする必要もないのだ。これはもともと石屋根ではなかったのだろうか。


これまでに見た石屋根の小屋はいずれも内陸にあり、もっぱら農産物を入れるための建物だと
いうことであったが、ここにある小屋は他の海沿いの集落で見かける小屋と同様に妻側を道路に面して
建てられていて、高床でもなく深い軒先空間もないので、あの小屋とは全く別物である。

しかし石屋根から建て替えた小屋の瓦屋根の上にもしばしば同様に石が載せられているのを見かけた。
これはこれでまた独特の景観である。





山を越えて椎根の集落に出たら、集落の中央に小屋群があった。
久根田舎のおじいちゃんが、小屋は母屋から離してかためて造ったと話していた通り、集落から川を挟んだ
向かい側に、小屋がたくさん並んでいる。壮観!


1ヶ所に集めて移築したのかと思ったが、石屋根だけでなく瓦葺の比較的新しいものも
混ざっていたり、実際に使われているものもあるので、元からこの場所なのだろう。


立派なものは旗原家及び西山家のもので、補修済みと見える。まちづくり景観資産のプレートが
つけられていたが、農産物小屋としてはすでに現役ではなさそうだ。


石は比較的厚く整形された石板が使われ、軒の線は揃い、積み方もきれいだ。やはり石の厚みは
ステイタスであったのだろうか。


しかし、やっぱり使われている小屋の美しさにはかなわない。




軒下に干された玉ねぎ・・・なんて美しい日本の風景なのだろう。。。ここでも何枚も何枚も
写真を撮った。




少し離れた田んぼの真ん中に、ひときわ立派な石屋根の小屋があった。観光パンフレットにも
載っている写真の小屋だ。大正15年に建てられたものだとか。青々とした田んぼに囲まれ
とても絵になるなぁ!


小屋建築紀念の石碑には「大正十五年旧四月・・・」「起工者・・・」「石工・・・」「大工・・・」と
彫られていた。90年前の小屋ということだな。この小屋は椎根集落で最初に造られ、これをお手本に
各家がそれぞれ小屋を造っていったのだろうかと想像する。


使われている石の厚みはやはりこれまで見たどの石屋根小屋よりも厚い。
棟の部分には高々と積み重ねられているが、こんな風に積むほど雨を防ぐ性能が増すとも思えないので
この高さもステータスなのだろうか。。。


説明板によると、柱は椎、壁・床・天井は松材が使われ、屋根材は「島山石」が使われているという。
後から調べると、島山とは浅茅湾に浮かぶ島で、今はパールブリッジで結ばれている。行き損ねたな・・・

このほかにも集落の端にかなり老朽化してはいたが石屋根の小屋がいくつかあった。


しかし、今のタイミングで何とかギリギリ間に合ったという感じ。数年後にはこれらの現役小屋は
どうなっているか分からない。貴重な石屋根を見れて興奮しっぱなしの半日だった。


続く


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