1956年
十三日の東映対高橋八回戦で高橋を二安打に完封した東映の福島郁夫投手(20)は今年でプロ二年生。非力ながら速球、シュートとすばらしい出来ばえでこれからの公式戦にも大いに米川を助けそうだ。昨年熊谷高から入団、今シーズンの登板はこれで五度目だが、この日初の完投勝利投手となり三勝一敗。東映ではエース米川に続いての勝星をあげている。さる六日の対高橋六回戦にも勝利投手となったが、七回で海野にバトンを渡しているので、この日も「七回になったときこの辺が限界かと思った」そうだが、それまでの彼はスピードも豊かにインコーナーへ鋭く落ちるシュートをきめ、六回一死佐々木に中前へ打たれただけの一安打である。「真ん中をやや高目へ入ってしまって・・。打たれたのは当然です」この佐々木に九回にもふたたび安打されているが結局許した安打はこの二本だけ。「六回までノーヒット・とは知りませんでした。はじめから力を配分しようというつもりなどなく、投げられるまで投げるつもりでした。きょうは涼しかったので疲れは感じませんでしたが、暑いのはニガ手です」とこれから夏場に向かってうんざりしているという。しかし彦根での対大映六回戦に「盲腸のあたりが痛んだが投げてるうちに治ってしまった」というように細い体(五尺六寸、十七貫)に似合わぬタフなところがある。入団当初は生まれ故郷の秩父からはるばるバスで後援会が球場にくりこんできたものだが、今シーズンはこの後援会の人達の期待に十分こたえられそうだ。
十三日の東映対高橋八回戦で高橋を二安打に完封した東映の福島郁夫投手(20)は今年でプロ二年生。非力ながら速球、シュートとすばらしい出来ばえでこれからの公式戦にも大いに米川を助けそうだ。昨年熊谷高から入団、今シーズンの登板はこれで五度目だが、この日初の完投勝利投手となり三勝一敗。東映ではエース米川に続いての勝星をあげている。さる六日の対高橋六回戦にも勝利投手となったが、七回で海野にバトンを渡しているので、この日も「七回になったときこの辺が限界かと思った」そうだが、それまでの彼はスピードも豊かにインコーナーへ鋭く落ちるシュートをきめ、六回一死佐々木に中前へ打たれただけの一安打である。「真ん中をやや高目へ入ってしまって・・。打たれたのは当然です」この佐々木に九回にもふたたび安打されているが結局許した安打はこの二本だけ。「六回までノーヒット・とは知りませんでした。はじめから力を配分しようというつもりなどなく、投げられるまで投げるつもりでした。きょうは涼しかったので疲れは感じませんでしたが、暑いのはニガ手です」とこれから夏場に向かってうんざりしているという。しかし彦根での対大映六回戦に「盲腸のあたりが痛んだが投げてるうちに治ってしまった」というように細い体(五尺六寸、十七貫)に似合わぬタフなところがある。入団当初は生まれ故郷の秩父からはるばるバスで後援会が球場にくりこんできたものだが、今シーズンはこの後援会の人達の期待に十分こたえられそうだ。