第9作
寅さんの部屋を貸し出そうとした事に寅さんが怒るところで、寅さんが、博さん画家を建てたいと思っていることを馬鹿にするんです。
博さんが「お兄さんはひどいことを言うなあ・・・・」と、力なく、悲しい目をしながらつぶやくんですね。
そして、サクラさんは、「なんで一生懸命働いてためたお金でいえを立てようとしていることを馬鹿にするの?」・・・っていう感じで寅さんに対して泣きながら話すんですが、そこがすごく泣けてしまって・・・・
寅さんもそれを聞いて、その場にいられなくなりまた旅にでてしまうんですが・・
まあ、そんなこんなで吉永小百合さんが登場します。ウサギさんみたいです。
ちょうどこのころの吉永さんは、結婚のことで悩んでいたそうで、そういう意味では、このお話は、そんな吉永さんの本心が出てたりするのかもしれません。
そして、そんな悩んでいる吉永さんへの山田洋次さんからの応援でだったのかもしれません。
寅さんは結局ふられてしまいました。自分にとっても、ふられた時の寅さんの表情がつらくて・・・流れ星を見ながら2人が別の方向を向いているのは名場面だと思いました。
2008-01-09
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このころの寅さんはめちゃくちゃで、博さんとさくらさんの一生懸命働いて、家を建てたいという思いを傷つけてしまいます。あんなこといわなきゃいいのに・・・ということがぽんぽんぽんぽん出てくるからね。それがまたすごいところだけれども。
「バター」であれだけ笑いをひっぱれるか・・というのはあるけれど、ああいう、おかしくておかしくてもうどうにかなっちゃいそうな感じってほんと、たまに・・・何年に一回とかかもしれないけれど、ありますよね。その瞬間って・・・本当に幸せなのかもしれないですねえ・・・
それで思い出したけど、古今亭志ん橋さんがやっていた抜け雀がおもしろくっておもしろくって・・・貧乏のお侍さん・・画家?と、ぼろい宿屋の主人とのやり取りがおかしくって・・・おおわらいしちゃったなあ・・・笑いにのると、ちょっとしたきっかけでまたどっとなるんですよね。
まあ、そんな魅力が寅さんにはあるんでしょうね。残念ながら、観ているほうにはちょっと伝わりづらかったかもしれませんが。
見ている側も笑っちゃうといえば、ハイビスカスの花で病室でおばあちゃんに「リリーこんなにしわくちゃになって・・・町であってもわからねえ・・・」みたいなところは本当におもしろかったですね。わかっていても思わずおかしくなっちゃうのってあるけど、あそこのシーンは本当にそうでした。
いやいや、柴又慕情の話だけどね・・・「またふられたかあ・・・」のせりふは本当に切ないですね。ほんと、またふられたか・・・・だよね。
結婚を決意した歌子さんとのやり取り。とらさんのつらさ・・・わかるなああ・・・・
寅さんの立ち位置ってわかるんだよなあ・・・
けっきょく、寅さんは「良い人」だったり、「おもしろい人」だったり・・・
相手の女の子が自分との会話で楽しそうにしていたり、ちょっと自分に気を使ってくれたり・・・そんなことが気になって、だんだん好きになっちゃって・・・そうすると、その子の反応というか対応を勝手に良いように解釈し始めちゃって・・・それで、またまた勝手に盛り上がっちゃって・・・
それでふたを開けてみたら、「え!?私のことが好き!?」「困ったわ・・・」ってなもんだもんね。「いやいやあなたのことを嫌いではないけれど・・」「あんたを男としてみるとか考えられませんから」ってことだもんね。あれ?寅さんから自分のことに・・・(笑)・・・(いや・・・笑えないでしょ・・・)
ああ・・・書いててつらいけど・・・
寅さん!気持ちわかりますよ。
でも、今回、歌子さんが結婚を決心したことを寅さんに打ち明けるときに急に涙があふれだしましたが・・・そこがまたいいところで、今まで色々悩んできたことが、自分が決心したことで前向きになって・・・そんな決心した自分に感動したのかもしれないし・・・なんにしても、それまでのつらさが報われる涙というのはああまで美しいのかと思いましたね。
いや、あのときのふられた寅さんの見えない涙・・・見せなかった涙だって・・・美しいんだけどね。あの落ち込みようは・・・・
何で寅さんばっかりみてるのか・・・
それは、またいつものあれだよ・・・あれ・・・
まあ、私が恋をしなくなったらただの造糞機だからね。
それで、前にも書いたけど、2人で夜空を眺めれいるシーン。寅さんには涙で星なんてみえやしません。歌子さんは未来を見つめるように、流れ星を見つめます。
そして・・・お互い・・・別の方向を向いているんですねえ・・・・
美しいシーンです。
同じ道を歩いていても・・・見ている景色は違うのです。
彼女は上を向き、私は下を向く・・・
彼女は前を向き、私は後を向く・・・
同じ道でも地獄道だね。あの道は。
寅さんには勉強させられます。
2009-02-10
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今回の驚きはなんといっても吉永小百合さんですね。
このまえ、「おとうと」を見たけれど、なんか、声とか全く変わってない気がします。
最初の柴又での大騒ぎは面白いですね。
貸し部屋ありの札を見て怒った寅さんが不動産屋さんで見つけてもらった部屋がとらやの自分の部屋だったというのが面白いですね。今回はじめて気がついたんだけど、「ふーん、やらと屋さんか…」と、さりげなく言うところがとても面白かったです。
3人娘と一緒に大笑いしながら旅を続けて、パーっと明るい感じになって、次の別れのシーンで、夕暮れ時の寂しい駅のホームになるんですけど、あのへんの祭りの後の寂しさみたいな感じがとてもいいです。そして、歌子さんから鈴をもらったお礼に何かあげなくちゃっていうんで、お金をあげちゃうんだけど、そのあと、3人を見送った後の財布の中身をみるところから、もらった鈴を鳴らしながら駅のホームを後にするまでのところなんかも遊子哀しむって感じでいいですね。
諏訪家で歌子さんに博が話をするところもとてもいいです。あの時の博さんはとてもかっこよかったです。後押しのしかたがなんかいい感じがしました。
最悪だったのは、食べ物を吹きだすところです。サンドラブロックのように、上と下の2冠をあげたい気分です。
歌子さんたちと出会ったお店のおばさんとお話しするところの寅さんのしゃべり方がいいです。力を入れないですらっと流れるような語り口調がとてもかっこよかったですね。
30年帰ってないと嘘を言われてた女の子2人と寅さんの会話がかみ合ってなくて面白いです。娘たちが「30年たつと変わってるでしょう」って言ってるのに寅さんは「20年」って言ってたような気がしたけど・・・。あれも少しでも真実に近づけようとした寅さんの努力なのでしょうか…娘たちにあっさりまた「30年だもんねえ…」と、打ち消されちゃいましたけど…ききちがえだったらすいません。
そのままとらやに入った時が面白いです。
寅さんにはまると、寅さんから抜け出せなくなります。
山田洋次監督も、寅さんをつくって、自分で作った世界から、抜け出せなくなってしまったのかもしれませんね。おとうとでもテレビで寅さんのシーンが出てたと思うんだけど…これからもずっと寅さんを引きづりながら、映画を撮り続けて行くのでしょう。・・というか、ひきづり続けてほしいです。
2010-03-13
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きっかけは寅さんなんだけど、なんだかんだでとらやが居心地がいいということなんでしょうね。
とらさんのいいところは、マドンナが結婚しちゃったりしても、ちゃんと気にして会いに行ったりするところですよね。
映画になっていないところで、いろんな人のところに会いに行ってるとかんがえると、それだけでまた違う物語がありそうで、面白くなります。