平均視聴率20%超を連発し、25日の放送で大団円を迎えるNHK朝の連続テレビ小説「ゲゲゲの女房」(月-土曜午前8時)。
原作の武良布枝さん(78)の生家、島根県安来市大塚町で今も酒店を営む武良さんの実兄、飯塚藤兵衛さん(81)は夕刊フジの取材に「よく研究されている。だいたい、あの調子だった」と現実味あふれるドラマだったと振り返った。伝統家屋の隅から隅まで図面に写すなど、制作サイドの徹底した下調べで当時を忠実に再現したことが、ドラマ成功につながったようだ。
ドラマは今週、松下奈緒(25)演じる村井布美枝が、父の急病で生家の「飯田家」に戻るシーンが映し出された。
モデルとなった島根県安来市大塚町にある武良さんの生家は、ドラマのセットと間取りや雰囲気がよく似ている。当主の飯塚さんは「ドラマが始まる前、NHKが何度も来た。頼まれて、今はない味噌部屋(漬物を保存する部屋)まで図面を描いたが、その通りのものがテレビに出ましたね」と感心する。
また、「大正時代の古い帳面を出し、写真を撮っていかれた。『何と書いてあるか、読んでください』とも言われたが、私も読めない物もあった」と、制作サイドは小道具まで綿密に調査するこだわりようだったという。
さらに飯塚さんが評価するのは松下の演技。「布枝の性格をよく勉強している。不平不満を言わず、付いていく。それは母親の性格からきている。夫婦げんかしたのを見たことがない。親父は威張っておりましてね。『教員になれ』『嫁に行け』という具合。そういう所をよく研究しています」と、“当事者”が褒めるほど、ドラマはリアルに描かれた。
飯塚さんは「想像するに、左様に確かなところをドラマで再現するのは、現存しているもの、今も生きて生活している所を映し出していくからだと思う。現存しない時代劇などと違って、厄介だっただろう」と、制作スタッフの苦労をねぎらった。
その半面、リアルだったことが地元に効用をもたらした。飯塚さんの酒店や古い町並みが残る大塚地区は、ドラマのロケ地には使われなかったものの「ゲゲゲの女房の世界観が楽しめる」と、観光客が殺到。「ドラマ以前は、観光客はゼロだった」(地元観光協会)が、布枝さんゆかりの品が古民家の中で展示されている「ゲゲゲの女房のふるさと展」は今月、来場者の累計が6万人を突破。11月20日には吹石一恵(27)主演の映画版公開も迫り、普段は静かな集落に降ってわいた活気は、しばらく続きそうだ。