計算気象予報士の「知のテーパ」

旧名の「こんなの解けるかーっ!?」から改名しました。

知のテーパ

2021年03月29日 | オピニオン・コメント
 学びには大きく分けて2種類の形があります。それは「広く浅く」学ぶか、それとも「狭く深く」学ぶか、です。この両者を円柱のイメージで表すと、次のように描くことができます。



 さて、あらゆる分野の学問を「広く深く」学ぶには、人生の時間は短いものです。しかしながら、あらゆる分野の学問を「広く浅く」学ぶだけでは、「自らの核となる強み=コア・コンピタンス」を確立することはできません。そこで、現実的には「様々な広さと深さを組合わせた」学びに落ち着くことでしょう。



 まずは、自らの「専門分野」を軸として、これを最も深く突き詰めようとします。そしてその範囲は自ずと狭く限られてきます。円柱も細長いものになります。ただ、それだけでは不十分なので、専門分野に隣接する「関連分野」にも関心を広げていきます。専門分野ほどの深入りはしないものの、ある程度は深く掘り下げます。

 さらに、視野を広げる=幅広い教養と言う意味で「周辺分野」にも目を向けていきます。こちらは深く専門性を突き詰めるというよりも、広く基礎基本をしっかり学ぶイメージです。この円柱は平らに広がるような様相を呈します。

 上図の左側は、専門分野・関連分野・周辺分野の円柱を重ね合わせた状態です。階段状に凹凸が現れています。この凹凸は、学びを続けていくうちに、自ずと埋められていくので、最後は右側のような綺麗なテーパの形に仕上がります。私はこれを「知のテーパ(Taper of knowledge)」と呼んでいます。

 どのような分野を組み合わせて、どのような形の「知のテーパ」を構築するのかは人それぞれです。人間は学び続けることを通して、自らの「知のテーパ」を構築し続けているのです。
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