テートブリテンのフランシス・ベーコン展へ。
イギリスの誇る画家の一人、とあって、日曜日の午前中ながら、かなりの人出があった。
「ニューアカ」に憧れた世代には、ベーコンは懐かしい。大江健三郎や浅田彰が高く評価していたことが彼を知るきっかけだった。それにしても、これだけの作品数を一度に見るのは初めてである。
『法王インノケンティウス10世』(英語では「イノセント」なのだ。。。)の習作がいくつか。「紫と黄」あるいは「赤と緑」といった補色を用いた色使いと法王の表情が印象的な絵画。中でも今日目が離せなかったのはRoom7にあった赤と緑バージョン。特に緑青のような床の色がとても美しい(絵を覆うガラスはきちんと磨こう!)。左手のメモ(ベラスケスの原画では)がまるで仮面のように見えなくもない。破壊された顔は何を言わんとしているのか。ちなみにこの絵は個人蔵。もう二度と見ることはないかもしれない、と思うと、名残惜しくて、なかなか絵の前から離れられない。
また、Room8は彼のpartnerだったGeorge Dyerを追悼して描かれた作品が置かれていた。Paris Grand Palaisでのベーコンの展覧会の2日前に自ら命を絶ったDyer。ベーコンは「喪失と罪の意識」によってこれらの作品を描いたとある。何と壮絶な人間関係なのだろう。彼のような情熱は無いにしても、思わず、自分が大切な人を失くしたら、何をするだろうか、と考えた。