湯・つれづれ雑記録(旧20世紀ウラ・クラシック!)

※旧ブログの一部コラム・記事、全画像は移植していません。こちらのコンテンツとして残します。

☆ヴォーン・ウィリアムズ:あげひばり

2018年02月11日 | ヴォーン・ウィリアムズ
○諏訪内(Vn)メルッキ指揮フィルハーモニア管弦楽団(BBC)2008/8/27プロムスLIVE

この曲を初めてラジオで聴いたとき、何と美しい曲かと思った。譜面を見たとき、何と自由な曲かと思った。小節線の取り払われた長大な独奏部は舞い上がっては降下を繰り返す雲雀を象徴するトリルとアルペジオで彩られ、気まぐれな旋律がやっと参入したオケから提示され変容する中で微妙に音形を変えながら民謡ふうの主題を雲雀の描写により展開させるソロ。独奏は三部分におよびカデンツァふうに終結する。柔軟ながらも細かい音程を正確に示す鋭い音、それだけがこの曲の要求するソリストへのテクニックなのだが、諏訪内は全く異なるアプローチをもって曲の抽象性に挑んでいる。いわばヴィルトーゾスタイルで一切弱みを見せず、深く太い音でけして余裕しゃくしゃくとではない真摯な演奏を堂々と提示している。これは曲を知らない、ないし苦手な聴衆には実に向いている。RVWの一種極北の抒情を、シンプルであればこその独自性をしっかり意識させることで深層に迫る。バックの女性指揮者ははっきり言って粗くて弱く諏訪内の強靭で磨き上げられた表現とはミスマッチ。だが聴衆反応のよさは諏訪内のレベルがもはや世界で比類無い域に達していることを証明している。これは一つの見識だ。ただ、最近アナリーゼのみに専念し具象性を無視した演奏を提示する演奏家は多いな。。感動はしなかった、感心に○ひとつ。

※2012-11-15 23:29:02の記事です
Comment    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ブラームス:悲劇的序曲 | TOP | ☆アイヴズ:管弦楽組曲第2番 »
最新の画像もっと見る

post a comment

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

Recent Entries | ヴォーン・ウィリアムズ