ダニエル指揮イングリッシュ・ノーザン・フィル(naxos)CD
戦時中戦意高揚映画に精を出した結果えらく名声が高まったウォルトン第二次出世作で、映画の音楽に注目が集まることはあまりなかった時代に、演奏会用ピースにまとめコンサートにかけることになったことで知られる。ジョン・ウィリアムズの映画音楽を聴いてる気になる人もいるだろうし、ヴォーン・ウィリアムズの映画音楽と似たもの(本来作風にはないもの)を見出す人もいるかもしれない。完全なるオーダーメイド作品なので、前奏曲のとくに第二主題はエルガーを意識した戴冠式行進曲と似通っているし、フーガは「注文通り」細かく書き込まれ、また劇伴として甘甘のメロディも要素に入れながら、うまくまとめている。書法の熟達ぶりはわかるが私はこの曲は空疎で戦前ないし戦後のいずれのウォルトンらしさも少なく、あまり好きではない。演奏はとてもうまく紹介盤として向いている。