PLUTO 8 豪華版―鉄腕アトム「地上最大のロボット」より (ビッグコミックススペシャル)浦沢 直樹,手塚 治虫小学館このアイテムの詳細を見る |
お久しぶりです。何とか騙し騙しPCを使っての更新です。
夏至の日は今年も雨でしたが、今日はうって変わって真夏日。いや暑かったです。洗濯物がよく乾いたのは良かったけれど。
さて、この19日に、手塚治虫・作、鉄腕アトム『地上最大のロボット』を原作とした浦沢直樹『PLUTO』最終第8集の豪華版が出ました。
プルートーとアトムの戦いのゆくえは?アブラー博士の目的は?天馬博士は何をしたのか?トラキア共和国とテディベアことマザーコンピュータの真の狙いは?そして、アトムに託されたゲジヒトの想いとは……
というわけで、最終巻では全ての答えが明らかになります。回収されていない伏線も幾つかある気がしますが、とにかく完結して良かったです。もっとも原作がある以上、やはりここに辿り着くしかないわけで。
人間に利用されながらも、それぞれの思いを抱いて「生」を全うしたロボットたちと、彼らを取り巻く人間たちの愚かさや悲しさ──それを描く過程で、人間ロボット双方の「憎しみ」を強調するのが浦沢さんらしいところでしょうか。
まあ原作ファンとしては、アトムがあの「アトムポーズ」で飛ぶ姿が見られたり、ラストを原作通りのあの構図で締めてくれただけでも嬉しくなってしまうんですが、原作を知らない読者からの評価は、もう少し厳しくなるかも知れません。
そして、そのラストシーンの後に、映画で言うと「エンドクレジット後のおまけ」に相当するページがありますが……あれも賛否あると思います。
おまけと言えば、この豪華版では、何と最終2話が「別冊ふろく」の1、2として収められているのです!
うーん……昔の少年誌みたいな感じを(表紙の構図、色彩ともに)狙ったのだと思いますが、正直言って凝りすぎの感があります。うちみたいに雑然とした環境では紛失必至です。やはり通常版も買うべきか……
それにしても、ノース2号のくだりは独立したエピソードとして本当に素晴らしかったです。雑誌掲載時はもちろん、その後しばらく、思い出すたびに滂沱の涙を流していました。思い返せば、あれも「憎しみ」が昇華される話でしたね。あれからあの老作曲家がどうなったのか、ちょっとくらい触れてほしかった気もします。