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映画・舞台の感想や俳優さん情報等。基本各種メディア込みのレ・ミゼラブル廃。近頃は「ただの日記」多し。

『ラブ・ネバー・ダイ』2025感想・その2

2025-02-26 09:07:37 | 演劇・ミュージカル
さる2/24日比谷の日生劇場にて、息子と共にミュージカル『ラブ・ネバー・ダイ』を観ました。千穐楽にして今季2回目の観劇ですが、やはりあまりポジティブな感想は上げられそうにありません。感想「その1」はこちら
舞台以外の当日の出来事はここに記してあります。

トップ画像は当日のキャスティングボード。それを撮るため、開場早々から長蛇の列ができていました。



この駐車場脇看板もちょっとしたフォトスポットになっています。



本日千穐楽のおしらせ。複雑な舞台機構を用いた演出が必須の作品ゆえ、地方公演は行われず、この日生劇場のみで大千穐楽を迎えます。
何か見苦しいものがバッチリ写り込んでいる気もしますが……





ともに劇場内に掲示されていたおしらせです。

しかし息子にわざわざ上京してもらってまで見せる舞台がこれか……と、いささか気が重い観劇となりましたが、息子の初見の感想は
「装置と演出がすごい!音楽もカッコいい!素晴らしい!感動した!ところで脚本は、書きながらその時思いついたことを書き連ねて作ったの?」
でした。
脚本が不評という噂は聞いていたらしいですが、それにしても……しかしその疑惑も否定しきれませんねぇ。

ファントム先生の言動の矛盾点、1幕終わりと2幕とで言ってることが全く違うじゃないか!という問題については、漫画『スーパーくいしん坊』のネットミーム化したページのようだと……



更に「立ち合いは強く当たって、あとは流れでお願いします」みたいな話だとも……もちろん八百長という意味ではなく。

…………なんだか、真面目に精神的ダメージを被って真面目に批判していた娘より、むしろヒドいことを言っているような…………

とは言え、こうしてネタにして笑わせてもらったおかげで、娘と共に虚無感情とその後遺症に苦しんでいた気持ちも随分軽くなり、息子には感謝しています。どんな形にせよ楽しんでもらえたのなら良かったです。

真面目な感想も少しは書くと──
この日のクリスティーヌ役は真彩希帆さんでしたが、エリックと再会した直後の、どこか少女めいた動きや仕草が良かったです。その束の間、オペラ座時代の少女だった「あのころ」に引き戻されたことが感じられて。真彩さんは、同じく石丸幹二さんと共演した『ジキル&ハイド』のルーシーも幼い少女のようで、それが彼女の哀れさを際立たせていたのが印象的でした。

しかし終盤の悪い意味での「2時間サスペンス」展開は、何度観ても愚劣の極みです。
朝ドラや大河ドラマ視聴者の間では「××(キャラクター)を○○川(または海)に投げ込め」という術語があります。これまでの例で言うと、鴨川とか淀川とか道頓堀とか大川(隅田川)とか。
それに倣って、ラウルもエリックをその橋から海に投げ込んでも許されると思いますよ。または「貴様ぁ!」と一発や二発殴っても許されると。

そんな苦痛に満ちた時間の後のカーテンコール。エリックとは打って変わり、いつもの穏やかでスマートな貴公子っぷりを見せてくれる石丸さんにホッとしました。
二度目の引込みではクリスティーヌとではなく、ラウルの田代万里生さんと腕を組んで退場。三度目はクリスティーヌ、グスタフと組んで退場し、その傍らで涙にくれるラウルという小芝居付き。こういう形での昇華もあるのがカーテンコールの楽しいところです。
最後に真彩さんと並んでの投げキッスで退場。通常はこれで終わるところ、千穐楽とあって、送り出しのオーケストラ演奏(プレイアウト)の後も、終了を告げる場内アナウンスがあってもスタンディングオベーションの拍手が鳴りやまず、最後にもう一度、石丸さん一人で登場しての投げキッスで、お客さんたちもやっと帰り支度を始めました。
石丸さんファンの間で、この最後の投げキッスが終演の合図みたいになったのは、『ジキル&ハイド』再演くらいからだったでしょうか。
座長がこうして最後を盛り上げてくれたことで、作品の内容はさておき、少しは明るい気持ちで帰途に着くことができたのはありがたいです。

しかし、前回の主催貸切公演後のご挨拶で再々々演への期待を語ってくださった石丸さんですが、たとえまた石丸さんがご出演されても、自分はもうこの作品を観ることはないでしょう。
逆に、オーストラリア公演の主演ベン・ルイス氏に見た目や雰囲気が似ている橋本さとしさんファントムで観ていれば、こんな気持ちにはならなかったのかもしれないとも思います。
または、劇団四季の『オペラ座の怪人』の初演ファントムである市村正親さんと、このLND初演がミュージカルデビューだった平原綾香さんの組み合わせで観ていれば──等々、思わなくもないですが、そこまでしてチケットを足すほどの熱意や愛着は、今作品に対しては持っていません。

残念ながら、この『ラブ・ネバー・ダイ』という作品については、作者アンドリュー・ロイド=ウェバー卿自身による悪質な二次創作であるという評価が揺らぐことはありませんでした。
または原作『オペラ座の怪人』の重要人物である「ペルシャ人(ダロガ)」に、エリックが「こんな妄想…いや、構想の新作ができたんだ」と嬉々として語り聞かせた「お話」であるとでも思った方がマシです。これからもそう思うことにします。

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