Belfastに到着してから3日が経ち、大学関連の手続きは概ね終了しつつありますが、研究所への出入りに必要なカード認証やインターネット環境の利用への反映はもうすこしかかりそうです。だから、今のところ、学内にいてもほとんど何も出来ない状態です。
この種の事務手続きがそれなりに時間がかかるのは世界共通なのでしょうか、もはや仕方ないと思って諦めています。
大学のIDカードをひとまず取得して在籍証明書の発行も可能になったので、早速ですが「よし、銀行口座を開設しよう」と思いました。
研究所でお世話になっているKarlからも「銀行口座の開設と携帯電話の購入は早めにね」と言われていました(しかし、とくに困っていないし、携帯電話をまだ買う気にはなれませんが)。
やはり、長期滞在する上で、銀行口座開設は避けて通れません。
以前、英国ダンディー大学遺伝子発現制御研究センターにサマースチューデントとして滞在した時も、銀行口座は作りました。ただ、前回は研究所の事務スタッフが一緒に銀行までついてきてくれて、ちゃちゃっと開設してくれたのでした(私はぼ~っとそれを見ていただけw)。ということで、独力で海外で口座を開設するのは初めてで、すこし緊張しました。在籍証明書やパスポートなど、必要になりそうな書類をもって、Student Guidance Centreと同じ建物にあるUlster Bank(アルスター銀行)に突撃しました。
しかし、早口で「無理、ムリ、むり」と捲し立てられ、敢え無く転進(撤退ではない)。
ほとんど何を言っているのか判りませんでしたが、要は「PhDコースだから、駄目」ということのようでした。PhDコースの人は、Masterコースと違って、長期滞在だし、収入あったりするし、Ulster Bankとしては口座開設には色々な書類が必要なのだとか。ちょっとごねてみましたが、やはり駄目。
大学の留学生相談窓口まで転進(撤退ではない)して、「口座が開設出来ないと困るのですが、どうしたらいいのでしょうか」と相談したところ、「Ulsterなんてやめて、Santanderにしたらいいんですよ、Students' Unionにあるから」とのこと。地元Belfast発祥のUlsterをあっさりと切り捨てた窓口のおばちゃんに勧められるがままに、Santander Bank(サンタンデール銀行)に行くと、あっさり銀行口座開設の手続きが出来ました。
Santandar Bankは、留学生への銀行口座開設の説明なども親切で、まさに大学関係者にとって頼もしい味方といっても過言ではないかもしれません。Santanderは実は前回も英国で口座を作った時に利用した銀行であり、私はいつもこのスペインの赤い銀行に助けられていることになります。かつてFIレースでアロンソ選手への巨額の支援などを見て、「Santanderって、なんか金にモノを言わせている輩だよね~」とか言って、ホント、申し訳なかったです。
Students' Unionは、他にも本屋、ショップ、カフェなどがあり、便利な環境が整備されています。仙台の自宅周辺の利便性とは比べものになりませんが、なんとか生きていけそうな気がしました。
午後に研究所でのセミナーに初めて参加しました。「Circulating Tumor Cells(いわゆるCTCs、日本語に訳すと血中循環腫瘍細胞)」に関する最新の研究動向の発表で、なかなか興味深かったです。
進行したがんでは、がん細胞が血液やリンパ液の流れに乗って、遠隔臓器にまで転移します。このように血液中に循環している(と思われる)がん細胞がCTCsであり、現在、乳がんや前立腺がんなどの症例において治療効果の判定や予後予測因子に使われることがあります。
私も母校の臨床腫瘍学部門に出入りして勉強していた頃はCTCs研究にもとても興味をもっていたのですが、相馬、仙台では残念ながら最新のがん治療に携わる機会に乏しく(相馬ではそもそもCTCsの臨床検査なんて出来ませんでした)、最近のCTCs研究の動向は不勉強でした。
CTCsはセロゲートマーカー(臨床指標となるバイオマーカー)としては幾つか気になる問題点もあるのですが、演者(オーストラリアの研究者、失礼ながら名前を失念してしまいました)は概ね公平に評価していたように感じました。
「腫瘍に対して低線量(不十分な線量)の放射線を浴びせると、CTCsが血中内で増加することから、むしろ転移の可能性を高めてしまうのではないか?」と演者が述べていましたが、私もその推測には概ね同意でした。放射線治療の局所制御は線量の加減が難しいのです。正常組織へのダメージを極力減らしたいが、低線量では腫瘍に対する効果がイマイチというジレンマがあります。私のように放射線感受性の研究をしている者からすると、放射線治療の線量分布は実は色々と思うところがあるのです。
がんの制御はやはり難しい―――臨床を知れば知るほど、研究を知れば知るほど、そう思います。
日本語で可能であればぜひ色々と質問してみたかったのですが、残念ながら、研究所の大先生たちのあとに続けて質問するには私の語学力はしょぼすぎたので、今回は質問を断念しました。しかし、いずれは質疑応答がちゃんと出来るようになりたいものです。
昨日の自分よりも今日の自分が1歩でも前へ進むように。
何のために英国まで来たのか、心に刻みながら。
研究所からの帰り道、近くのスーパーで買ってきた醤油です。
すこしでも醤油の味がすればいいのですが……。
まだ渡英して数日しか経っていませんが、日本が恋しくないと言えば、嘘になるでしょう。
この種の事務手続きがそれなりに時間がかかるのは世界共通なのでしょうか、もはや仕方ないと思って諦めています。
大学のIDカードをひとまず取得して在籍証明書の発行も可能になったので、早速ですが「よし、銀行口座を開設しよう」と思いました。
研究所でお世話になっているKarlからも「銀行口座の開設と携帯電話の購入は早めにね」と言われていました(しかし、とくに困っていないし、携帯電話をまだ買う気にはなれませんが)。
やはり、長期滞在する上で、銀行口座開設は避けて通れません。
以前、英国ダンディー大学遺伝子発現制御研究センターにサマースチューデントとして滞在した時も、銀行口座は作りました。ただ、前回は研究所の事務スタッフが一緒に銀行までついてきてくれて、ちゃちゃっと開設してくれたのでした(私はぼ~っとそれを見ていただけw)。ということで、独力で海外で口座を開設するのは初めてで、すこし緊張しました。在籍証明書やパスポートなど、必要になりそうな書類をもって、Student Guidance Centreと同じ建物にあるUlster Bank(アルスター銀行)に突撃しました。
しかし、早口で「無理、ムリ、むり」と捲し立てられ、敢え無く転進(撤退ではない)。
ほとんど何を言っているのか判りませんでしたが、要は「PhDコースだから、駄目」ということのようでした。PhDコースの人は、Masterコースと違って、長期滞在だし、収入あったりするし、Ulster Bankとしては口座開設には色々な書類が必要なのだとか。ちょっとごねてみましたが、やはり駄目。
大学の留学生相談窓口まで転進(撤退ではない)して、「口座が開設出来ないと困るのですが、どうしたらいいのでしょうか」と相談したところ、「Ulsterなんてやめて、Santanderにしたらいいんですよ、Students' Unionにあるから」とのこと。地元Belfast発祥のUlsterをあっさりと切り捨てた窓口のおばちゃんに勧められるがままに、Santander Bank(サンタンデール銀行)に行くと、あっさり銀行口座開設の手続きが出来ました。
Santandar Bankは、留学生への銀行口座開設の説明なども親切で、まさに大学関係者にとって頼もしい味方といっても過言ではないかもしれません。Santanderは実は前回も英国で口座を作った時に利用した銀行であり、私はいつもこのスペインの赤い銀行に助けられていることになります。かつてFIレースでアロンソ選手への巨額の支援などを見て、「Santanderって、なんか金にモノを言わせている輩だよね~」とか言って、ホント、申し訳なかったです。
Students' Unionは、他にも本屋、ショップ、カフェなどがあり、便利な環境が整備されています。仙台の自宅周辺の利便性とは比べものになりませんが、なんとか生きていけそうな気がしました。
午後に研究所でのセミナーに初めて参加しました。「Circulating Tumor Cells(いわゆるCTCs、日本語に訳すと血中循環腫瘍細胞)」に関する最新の研究動向の発表で、なかなか興味深かったです。
進行したがんでは、がん細胞が血液やリンパ液の流れに乗って、遠隔臓器にまで転移します。このように血液中に循環している(と思われる)がん細胞がCTCsであり、現在、乳がんや前立腺がんなどの症例において治療効果の判定や予後予測因子に使われることがあります。
私も母校の臨床腫瘍学部門に出入りして勉強していた頃はCTCs研究にもとても興味をもっていたのですが、相馬、仙台では残念ながら最新のがん治療に携わる機会に乏しく(相馬ではそもそもCTCsの臨床検査なんて出来ませんでした)、最近のCTCs研究の動向は不勉強でした。
CTCsはセロゲートマーカー(臨床指標となるバイオマーカー)としては幾つか気になる問題点もあるのですが、演者(オーストラリアの研究者、失礼ながら名前を失念してしまいました)は概ね公平に評価していたように感じました。
「腫瘍に対して低線量(不十分な線量)の放射線を浴びせると、CTCsが血中内で増加することから、むしろ転移の可能性を高めてしまうのではないか?」と演者が述べていましたが、私もその推測には概ね同意でした。放射線治療の局所制御は線量の加減が難しいのです。正常組織へのダメージを極力減らしたいが、低線量では腫瘍に対する効果がイマイチというジレンマがあります。私のように放射線感受性の研究をしている者からすると、放射線治療の線量分布は実は色々と思うところがあるのです。
がんの制御はやはり難しい―――臨床を知れば知るほど、研究を知れば知るほど、そう思います。
日本語で可能であればぜひ色々と質問してみたかったのですが、残念ながら、研究所の大先生たちのあとに続けて質問するには私の語学力はしょぼすぎたので、今回は質問を断念しました。しかし、いずれは質疑応答がちゃんと出来るようになりたいものです。
昨日の自分よりも今日の自分が1歩でも前へ進むように。
何のために英国まで来たのか、心に刻みながら。
研究所からの帰り道、近くのスーパーで買ってきた醤油です。
すこしでも醤油の味がすればいいのですが……。
まだ渡英して数日しか経っていませんが、日本が恋しくないと言えば、嘘になるでしょう。