数奇な人生

明け方に見た夢のせいで、最悪な気分で休日を過ごしました。
すこし寝不足のまま、今日も今日とて、幾つかの書類を片付けました。論文、実験プロトコール、研究助成の申請書、留学助成の申請書、報告書など、書類は留まるところを知りません。臨床関係の書類がない分だけまだマシですが、日本に居ようが、ヨーロッパに居ようが、研究者の生活なんて、そんなものです。

パーカーで歩いていたら、知人のインド人女性から「髪の毛切ったから、もうスクールボーイにしか見えないね」と笑われました。（アラサーの男に向かって何を言っているのだろう……）と思いながらも、「実は、俺はベンジャミン・バトンなんだよ」と言ったら、ウケたので良かったです。ベンジャミン・バトンとは、フィッツジェラルドの小説に登場し、『ベンジャミン・バトン 数奇な人生（The Curious Case of Benjamin Button）』というタイトルで映画化までされた、若返り続ける男性キャラクターです。

最近、私とほぼ同年代の知り合い２人が研究グループのリーダーに抜擢されたと伺いました。
30歳前後で自分の研究室を持つのはやはり凄いと思います。分野が異なる２人に共通するのはNatureに論文を発表したことがある点でしょうか。ただし、良い実験助手が良いグループリーダーになれるとは限りません。野球の名選手が必ずしも名監督にならないように。
私もいずれは自分の研究グループを持ちたいと思いますが、今は実力を蓄える時だろうと考えています。色々な体験を経て、遂にここまで来ました。ベンジャミン・バトンほどではありませんが、私もちょっぴり数奇な人生を歩んでいる気がしています。