きのうのことだ。 -とかげ初めてあらわる-
べつに、二十四節気や七十二候ではない。我が家でことし初めて蜥蜴を見た日がきのうだった。うちには蜥蜴が住んでいる。
デューラーの銅版画にでも出てきそうなオオトカゲではない。体長12センチくらいのかわいい蜥蜴である。去年は5センチくらいのこどもを連れていた。
はじめは、爬虫類だから気味わるく、ワニにそっくりでおそるおそる見ていた。
近づくと、じっと固まった。 緊張!! 体中で伝える。こちらをうかがう様子だ。蜥蜴から見れば、さながらバベルの塔か、ガリバーか。おどろかせてごめん!いつも謝っている。よくよく見ればかわいらしい。かしこそうな目つきに愛しささえ覚える。
マンスフィールドの手紙には、「とかげは目で物音に聞きいっている」とあるが、ほんとうにそんな感じだ。日だまりの石のうえで手を結んだり開いたりしながら温まっているのをよく見かける。まるで「かくのごと閑かなる日ざしありや」(北原白秋 「日なた」)
といった趣である。
今年もようやく会えたね。記念のお写真を…と言いかけたとたん、花韮のかげにかくれてしまった。おとなしい彼の声を聞いたためしがない。冬が来るまで仲良くしようよ。
奥さんやこどもさんは どうした?