漱石や白秋をうならせた
平福百穗ヒラフクヒャクスイの
「七面鳥」 1914(大正3年)
紙本墨画淡彩 6曲1双
1隻165.9㎝×358.4㎝ (写真は画集より部分)
アララギ派の歌人としても名高い百穗の迫力のある描写は
輪郭をとらず 墨の濃淡だけで七面鳥そのものに迫った。 子供のころ怖いとおもった大きな鳥が美しくさえ見える。 今にも動き出しそうである。
滲み、 ぼかし、 たらしこみの技。 頭も足も羽も、 ふわふわした感じも七面鳥そのものである。 自宅で水鳥や七面鳥を飼って観察していた画家。 その庭を訪れた斎藤茂吉も歌にしたことがあるそうだ。 白秋は写真にすると七面鳥らしくない と断言している。
自分が描いた拙い画の方が却てそれらしいと人が云ってくれるから不思議である。 墨でブルブルと描いて頭に碧と朱をちょいちょいなすっただけのものである。
厳正な写生では案外にその気稟がでない。 よく観て、いったん頭の中に収めて、 それから坐って 両手を張って見て、 ブルブルぶうと唸って見て画くことだ。
できあがる絵から 鳴き声もたたらも聞こえてきそうだ。 ブルブルぶうと唸って… とは いかにも白秋らしい。 よく見て! さらに、もう一度よく見て… いくら頑張って描いても それらしくはならないのだから。
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お忙しいのに 毎日覗いて下さいましてありがとうございます 本年は これにて店じまいいたします。 来春も どうぞお元気でお越しくださいませ。
boa!さんのは振り向いた瞬間の狐、目が合いました。実際、前に坐らせて描かれたのですか。ふかふかの毛並みもすばらしく、昔見た襟巻きを思い出しました。 スタスタと帰ってゆく後ろ姿も浮かびました。 咳をしながら描いたとか…
やはり消化してからと言うことで消化 力んでもはじまらないと思いました。 楽しみながら描きましょう。こちらこそありがとうございました。
初めて拝見しました。力があって凛とした気品すら漂っています。この迫力、今の日本画はどこに置き忘れてしまったのでしょう。
”厳正な写生では案外にその気稟がでない。 よく観て、いったん頭の中に収めて、 それから坐って 両手を張って見て、 ブルブルぶうと唸って見て画くことだ。”
いい示唆をいただきました。今後の実践課題にします。具体的でいいですね。結果はともかく、過程でも楽しんで描けそうです。
油彩でも同じでしょうね。来る年にもいい作品と、良いお話を沢山期待しています。
一年の感謝をこめて、ありがとうございました。