ドアの向こう

日々のメモ書き 

グレーの憂鬱

2008-11-27 | アートな時間

  休息

  小雨模様、  後ろ姿が気になって上野に出た。 「背を向けた若い女性のいる室内」 モデルをよく知っている… 

  絵の正面に向かい、 というより 背後から鑑賞することになるけれど。 この人物になりきった。 目にしたその日からこのうなじは私自身。 赤い猫毛の髪をアップにすれば、 そっくりなのだった。 彼女に呼吸を合わせ、 ついでに思考も重ねて。 意識が及ばない分、 後ろ姿こそ雄弁だ、 真実をみせるとおもう。

  無理な姿勢、 後れ毛、 袖の皺、 背もたれの波形、 皿のウエーブ。 静まる室内、 音がしない。 沈鬱な空気を、 やわらかな筆致で。 抑えた色。 セピアいろ、銀色。 落ちついた赤。
  ほか 人気ない風景。  フェルメールのようなひかり、グレーの詩情、 メランコリー。 部屋に落ちる陽光、 窓枠の翳、 浮遊する光りなど ワイエスにも。
 描いたのは ヴィルヘルム・ハンマースホイ(1864~1916)。デンマーク。

   筆致や色あい グウェン・ジョンに 似てる。 ロダンのモデル。 女流画家。 ホイッスラーに師事。           

 

                        

  

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