ドアの向こう

日々のメモ書き 

冬の薔薇

2007-12-21 | 自然や花など

 

  色濃く咲いた冬の薔薇、 エミール・ガレの薔薇に似て、 夏の花とは明らかに違う。 花数も少ないが、 木枯らしに耐え、 葉も赤みをさして強さをみせる。 初夏の軽やかさにくらべ、  凝縮された芳香を放つ。  
  静かな風情だが  大いなるものを秘めているようだ。  薔薇の下で… 何かが起きる。 
  …偽善の花よ、 無言の花よ… (グールモン)

   薫りだけ残し… て。 


  旅先で買った薔薇のポプリは、 半分だけ容器にあける。 いつもの習わし。 のこりは何年も飾り棚の 上段に置かれ、いつまでも袋の中。  口をわざと緩くして、扉を開けるたびにふわり、 香りが飛ぶ。 古びた思い出の懐かしい雰囲気までたちのぼらせ、 袋の中で熟成し、 黴びるはずの風景も刺激も、 純度を増している。

  忙しい冬の日に、 なんども開け閉めをして、 風圧に流れ出るカオリをそっと愛でる。 乾燥しても失わない植物の匂い。 褪せた色のトウヒも混じって、 アンの物語りまで運んでくる。  

       

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