風の生まれる場所

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言葉へ置き換えていけたら・・・

マグネット・ホスピタル

2008年07月11日 07時21分14秒 | 医療




研修医を惹きつける病院の条件とは?
勤務医の過酷な労働条件を、私たち患者は意外と知らない。
医師は悠々自適で、快適で、贅沢で、派手な生活をしていると想像してしまうが、
もちろん、そうした医師もいるだろう。
が、多くの医師は過労に耐えながら、自分の命を削りながら、仕事をしているのが現状だ。
他人の命を救うために、朝から晩まで、ときには眠れない夜を何度も過ごしながら。

そうした現状を知る機会を与えてくれたのは、前主治医であった若い脳外科医の存在だった。
と同時に、現主治医である心療内科医から“医師の現状”を知り、
医局や病院の狭間に苦しみながらも、あなたを引き受けて、
精一杯の、最善を尽くそうと努力しているのでしょう、と言われたことがあった。

通常、脳外科医では手術できない(必要としない)患者は別科に移されるのが普通だ。
が、前主治医はそうした院内の圧力にも屈せず、最後まで私を見続けた。
結果、病院側の情報漏えいが発覚した。
それと同時期に別科の医者に「医療に依存するな、医療の限界だ」と言われて、
今後、診察をしない旨を突きつけられたのだった。

が、確かに前主治医は点滴中の私のベッドまで様子を診にきたり、
日曜日の休日も点滴ができるように手配してくれた。
それは、手厚い対応だったし、それで救われてきた部分が非常に大きい。

さて、マグネット・ホスピタルという呼称は、研修制度が変わって4年、
地方の、僻地にもかかわらず、研修医が募集数よりも応募数が上回る病院がある。
そして、勤務医たちも研修医たちに責任を負わせることで(もちろん指導医はついている)
若い時期、つまり、教科書ではない“臨床現場”での経験を蓄積することで
わからないという不安を払拭させ、医者を育てるという手法をとっている。

私が4年にもわたり、医師や病院と関わらず負えない状況を経験してきた中で、
“わからない”という恐怖、それを言える勇気は、誰しもが持ち合わせていないと知った。
特に勉強ができ、エリートといわれる人たちにとって、
医師に限定することなく、“自分の知らないこと”を自覚・認知することは、
想像以上に勇気のいることで、なかなかできるものではない、と。

病院も他企業も、調整役が必要なのだろうと感じる。
今のままではなにも解決できない問題が、
新たな、多大な損失につながっていくと思えてならないからだ。
そこにはそれを味わい、苦味や苦しみを知り、“わからない”といえない人たちの苦悩も
理解した者でしか、適任ではない。

一方にとってのみ利益が生じる経済の仕組みや世の中の流れはシフトした。
共存できる道こそ、今後の、あしたの希望を誰しもがみることが可能なのだろう。







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