風の生まれる場所

海藍のような言ノ葉の世界

空や雲や海や星や月や風との語らいを
言葉へ置き換えていけたら・・・

娘と彼氏と彼らのあした

2007年08月21日 09時19分35秒 | エッセイ、随筆、小説








男って甘えん坊だね。

すると、娘はうふっと声を出して笑う。

どう? 手をつないで街を歩くようになった?と聞くと、

ときどき、手をつなごうって言うと満面の笑みを浮かべるからこっちが照れる。

あんなに幸せそうな顔をされると、ますます好きになっちゃうし、

私が自然体でいられる人の存在に16歳で気付くとは思わなかったよ、と娘。









娘はマイペース、彼は娘が大好きでたまらない様子。

2日と会えない日が続くと、いつ会えるのか?とそればかりの連絡をして、

風邪もはしかも彼にとっては悪の枢軸でしかない闘いになるらしい。

彼の両親は会社を経営しているため、

娘が彼の家に行っても食事ができない。

だからサンドイッチやチャーハンやタコスライスのお弁当をふたつつくって、

お菓子でもなく、ファーストフードでもなく、

ちゃんとしたものを口にして、心身の健康を維持して欲しいと私は願うのだ。









ときどき、高校生にもなった娘の扱いに異議を耳にすることがある。

けれど・・・・・・なのだ、私には。

手をかけることと自立を阻害することは相違し、

また、子供の性格によっても、愛情の感じ方は違ってくる。

私は彼女にとって完全受身に徹している。

そして、彼女もそれを理解しているため、

すべてを受け止めてもらえる者がいる安心で

心身の安定をはかることができるのだ、と私には理解できる。

甘やかしていることと、親の過保護と、その他の愛情は類が違う。

厳しさの中に愛情を溶かしているつもりになり、

その溶かした愛情だと思っているものが実は親の欠如や偏りだとしたら、

これほど子供にとって不幸なことはない、と私には思えてしまうのだ。








このふたりにはずっと仲良くいて欲しい。

このふたりをみていると、今の若者が、とか、高校生が、とかいう批判が

あてはまらないことがよくわかる。

私までもが幸せな気分に包まれる。

応援したくなる。

もっとふたりには笑顔で、優しく、思いやりのある、

慈悲深い人間に成長できるとあした(将来)をみてしまうためだろう。









日本を離れる間、娘をよろしくね、と彼に言うと、

任せておいてください、と

彼の笑顔が水面に反射する太陽の光のように輝いて

眩しくて、私まで愛おしくなる。

このふたりをみていると、人と付き合う恐怖が和らぎ、

私の欠如した部分の処方のように、穏やかな気持ちで暮らすことができる。









いつまでも幸せに・・・・・ね、と娘へ伝えると、

氷ミルクにさらにミルクをトッピングしたかき氷を口に運びながら、

今度は彼をトッピングしてここに来ようね、と照れ笑いを浮かべる。
































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