毒舌の会話術―引きつける・説得する・ウケる (幻冬舎新書)梶原 しげる幻冬舎このアイテムの詳細を見る |
フリーアナウンサーである著者が、毒舌の効用について説いた本。
この本がイマイチ面白くないのは、世の毒舌家を称賛するばかりで、この本自体にまったく”毒”が無いからだと思う。
あとがきに自ら書いている通り、著者自身は他人の悪口を言えない生真面目な人物なんだろう。
だからこそ毒舌家に対する憧れも強いのかもしれません。
芸能人を中心に、毒舌家の”技”が数多く紹介されますが、どうも単なる羅列になってしまっている感が拭えない。
著者自身はコミュニケーションの論文なども結構読み込んでいるようなので、もう少し衒学的に毒舌の分類などしてほしかった。
綾小路きみまろの「持ち上げて、落とす」技術の解説はなかなか参考になると思ったし、毒蝮三太夫の口の悪さの中に相手への配慮が絶妙に込められていることの指摘は鋭いと感じましたが、セルジオ越後のような本質を衝いていないスタイルだけの”辛口”や、日刊ゲンダイの中身のない反体制的論調まで十把一絡げで「毒舌」とまとめてしまっているのはいただけない。
まあ暇つぶし程度に読むにはいいかもしれません。