今回のテーマは、地方自治体における「同一労働同一賃金」をどう考えるか、です。
「同一『価値』労働同一賃金」と呼ぶこともあります。
一物一価の法則とは、
「同一の財は同じ価格で取引される」
という経済学の考え方です。
同じ物、似たような物を、わざわざ高い所から買う人はそうそういないでしょう。
取引が繰り返される中で、この商品やサービスならだいたいこんなもんだろうという値段の相場が成立していきます。
取引が自由で流動性が保たれた環境であれば、長期的には、似たような商品・サービスには同じ位の価格が成立する傾向にあります。
ただ実際には、同じ商品やサービスであっても、輸送コストや立地条件、情報の非対称性などによって違う価格が付くことが多々あります。
取引の中で一物一価の法則が成り立っていない分野はいくつかあるわけですが、労働市場、特に日本におけるそれは顕著であると言われます。
同じような仕事をしている人に対し、支払われる給料に大きな差がある状態が、至る所で見られます。
日本の労働市場は規制が過剰で流動性に乏しく、労働における一物一価、すなわち同一労働同一賃金とは縁遠い状態にありました。
非正規職員が半数以上の自治体「ボーナス支給も月給減」懸念、実情とは 1/14(火) 7:30配信 京都新聞
======【引用ここから】======
京都府南部(山城地域)の12市町村のうち7市町で、全職員数に占める非正規職員の割合が5割を超えている。この大半が、「同一労働同一賃金」の実現を目指して2020年度に新設される「会計年度任用職員」の身分に移行する。非正規職員である嘱託職員と臨時職員なしには住民サービスが成り立たないのが実情で、期末手当(ボーナス)の支給など待遇改善が進む見通しだが、正規職員の給料との差が埋まるのか懸念する声が上がっている。
======【引用ここまで】======
「正規職員の給料との差が埋まるのか懸念する声」とあるように、正規職員と非正規職員とでは、同じような事務仕事でも賃金や手当の面で格差があります。
同じような事務仕事でも、非正規職員では昇給なしでいつまでも最低賃金付近。
正規職員は、仕事の出来の良し悪しを問わず勤務年数の経過によって賃金は上昇していきます。
年齢高めの正規職員(ヒラ・事務職)と、事務補助で採用された非正規職員とでは、責任も業務内容も大差ないにも関わらず年収で4~5倍の差がある・・・なんて自治体はざら。
具体的な額については、こちら↓を参照。
時給900円の非正規公務員が増加の訳 正規職員を増やす負担は若年層へ - ライブドアニュース
2020年1月10日
======【引用ここから】======
例えば、「一般職非常勤職員」として事務補助に就いている職員の平均時給は919円、「臨時的任用職員」だと845円だ。その時点での最低賃金は全国加重平均で798円(東京都は907円)だから、最低賃金並みの報酬だ。
しかも、全体の3分の1である20万2764人はフルタイム、さらに20万5118人は正規の4分の3以上の時間、勤務している。公務員の所定の労働時間は年間1850時間程度とされているから、フルタイムで働いたとして、臨時的任用職員だと平均で160万円程度の年収にしかならない計算になる。
一方、総務省の調べでは全自治体の平均給与月額は40万円余りなので、ボーナスを含めると660万円になる。その格差たるや歴然としている。しかも、仕事の内容は正規の職員と大きく変わらないケースもある。
======【引用ここまで】======
(余談ですが、年齢高めのヒラ正規職員と若い管理職との間では、年功賃金によって責任の軽いヒラの方が給料が高くなってしまう逆転現象も生じています。これも全国的に見られる問題であり、解消するために取り組んだ自治体はごく少数です。有名なところでは大阪府箕面市が挙げられます)
○【箕面市長 倉田哲郎氏:第4話】平社員の給与が部長を上回るケースが存在する
正規職員に対し、能力不足を理由とする解雇(分限免職)は一応存在しています。
制度上は。
ただ、分限免職の実施に至るまで長期間を要すること、また、裁判所が自治体の判断を覆し処分を無効とする例もあって、実質的には、正規職員には、犯罪行為をしない限り定年まで解雇されず定期的に昇給していくという身分が保障されています。
※参考
「仕事ができない」公務員、クビにならないのはなぜ? 分限免職の仕組みと裁判例 - 弁護士ドットコム
正規職員には身分保障があります。
簡単にはクビにできません。
では、部署の中で人員が余剰になった場合はどうなるでしょう。
例えば。
A課:正規職員5人
という構成の課があったとします。
A課の業務が3人で足りるようになったため、組織改編をして課の人数を減らすとしましょう。
この余った正規職員2人を直ちにクビにできるかと言えば、そうではありません。
クビにしたとしても、裁判所は「配置転換でクビを回避できないか検討せよ」と言って処分無効とするに違いありません。
じゃあ、A課で余った正規職員2人を配置転換でB課に回しましょう。
B課の現状は
B課:正規職員4人、非正規職員3人
とします。
ここに、A課で余った正規職員2人をB課に配置すると、翌年度はたぶん、
B課:正規職員4→6人、非正規職員3→1人
となります。
「正規が2人増えるんだから、非正規はその分不要でしょ?」
という理屈です。
非正規職員がこうした扱いを受ける状態を指して「雇用の調整弁」と呼ぶことがあります。
このように、正規職員には手厚い身分保障がある背後で、非正規職員にしわ寄せがいく構図となっています。
非正規の解雇で調整を図ることは、悲しいかな、裁判所が公認している手法です。
この時、正規職員よりも非正規職員の方が仕事を覚えていてテキパキできる人だったとしても、結論は変わりません。
判断基準としては、仕事ができる・できないよりも、正規職員という身分を有していることが優先されます。
次は逆に、人員を追加したい場合を考えましょう。
権限移譲や新規事業などによって自治体の事務量が増えた場合や、
新規採用した正規職員が使えなかった場合、
あるいは人事異動によって使えない正規職員が特定の部署に集まってしまった場合、
正規職員が産休や病休などで長期の休みに入った場合、
こうした場合に、その部署の管理者や人事担当課はどうすれば良いでしょうか。
上述のとおり、正規職員の分限免職は困難なので、正規職員を直ちにクビにして出来そうな人を雇い直すという選択肢は現実的にはありません。
では、既存の正規職員をクビにすることなく、新たに正規職員を雇う方法はどうでしょうか。
人件費総額や職員定数を考えた時、正規職員を増やして不足分に対応するのはなかなか難しいものがあります。
また、正規職員としての採用は「生涯賃金2億円を賭けて使えるか使えないか分からない人を雇う」という危険なギャンブルであり、更に使えない正規職員を引き当ててしまった場合は目もあてられません。
莫大な負債を背負うのと同義です。
正規職員の雇用ではなく配置転換で対応することも考えられますが、使えない正規職員は組織に残ってしまうため、部署間で使えない正規職員の押し付け合い、ババ抜き状態となります。
この調整もまた一苦労です。
正規職員が身分保障されている反動で、様々な問題が起きています。
どうしたら良いでしょうか。
ここで、非正規職員が登場します。
正規職員の身分保障には手を付けず、正規職員の人件費総額を確保し年功序列賃金体系を維持しつつ、別枠でかき集めた予算を元手に、最低賃金付近で労働市場から非正規職員を募集する・・・そんなことを全国の自治体が繰り返してきたわけです。
全国の自治体が、バイトやパートタイム的な位置付けで身分保障の無い非正規職員を大量に雇ってこの問題に対処してきました。
自治体の職員の半数近くが非正規職員となり、官製ワーキングプアが問題となり、働き方改革や同一労働同一賃金が騒がれるようになり、総務省が指示を出して、ようやく自治体が問題を認識するようになりました。
いや、まだ、
「総務省が言うから形だけ対応しとこ」
という自治体が多いような気もします。
冒頭の新聞記事を再び拝借。
非正規職員が半数以上の自治体「ボーナス支給も月給減」懸念、実情とは 1/14(火) 7:30配信 京都新聞
======【引用ここから】======
各自治体は現在、同職員に関する詳細な給与条件や規則などを策定中だ。自治労京都府本部は「ボーナスを支給する一方で、月額の給料を減らすことで、年収アップにつながらないケースなどが出てくる可能性がある」と指摘。「財政悪化などを理由に、処遇改善が進まないのは、会計年度任用職員の制度の目的に反する。各自治体は、職員間で格差が生まれないよう取り組むべきだ」とする
======【引用ここまで】======
ピントがぼけてる、と言いますか。
正規・非正規の格差問題は、身分保障と年功賃金が根底にあります。
裁判所の判断を後押しに、身分保障を頑なに擁護し要求してきた正規職員の労働組合が、
「職員間で格差が生まれないよう取り組むべきだ」
だなんて、ちょっと笑ってしまいます。
他人事じゃありません、労働組合が繰り返し主張してきたことが格差の大きな原因なんです。
人口減少社会、社会保障給付の増加、財政悪化を考えた時、職員総数は増やせないし人件費総額も増やせません。
全体のパイが減っていくのですから、職員総数も人件費総額も減らさなければなりません。
そんな中で正規・非正規の格差是正を図るべしという要請に応えるのであれば、正規職員、特にヒラ職員の人件費抑制は避けて通ることのできない道だと、私は考えています。
地方自治体は、
「正規職員の給料は据え置く。非正規職員の待遇改善を実施する費用は国が負担すべき。」
と考えているようですが・・・
国の新制度で非正規職員にもボーナス 財源は? 東北の自治体に危機感 | 2019年08月16日金曜日 河北新報オンラインニュース
======【引用ここから】======
2020年4月に制度が始まる会計年度任用職員の人件費負担に自治体が戦々恐々としている。制度導入で非正規の地方公務員が期末手当(ボーナス)などの支給対象となって人件費が大幅に増えるのに、国と自治体の負担割合がいまだに決まっていないためだ。
======【引用ここまで】======
自治体は国に甘えすぎなんじゃないか、と思うんですがねぇ。
まずは、ヒラ正規職員の給与を非正規職員のそれに近づけ、そこで浮いた人件費を非正規職員の賃金改善に充てることを考えるべきです。
そして、地方公務員法を改正して分限処分要件を緩和・明確化し、金銭解雇も可能にし、正規職員の雇用を流動化することで、身分格差の解消を図っていく必要があります。
根本的な解決としては、職員増員の口実となる新規事業の抑制、そして、絶対的貧困の解消に繋がらない蛇足の事業や規制行政の縮小・廃止が必要になります。
役所が少人数でも運営できるような業務内容、事業数に絞っていくべきです。
これらの作業を、まだ余裕のあるうちに着手するか、財政破綻待ったなしの状態でハードランディングするかは、あなたのお住まいの自治体次第です。
【同一労働同一賃金とは何か】
同一労働同一賃金とは、一物一価の法則を労働に当てはめたものとされます。「同一『価値』労働同一賃金」と呼ぶこともあります。
一物一価の法則とは、
「同一の財は同じ価格で取引される」
という経済学の考え方です。
同じ物、似たような物を、わざわざ高い所から買う人はそうそういないでしょう。
取引が繰り返される中で、この商品やサービスならだいたいこんなもんだろうという値段の相場が成立していきます。
取引が自由で流動性が保たれた環境であれば、長期的には、似たような商品・サービスには同じ位の価格が成立する傾向にあります。
ただ実際には、同じ商品やサービスであっても、輸送コストや立地条件、情報の非対称性などによって違う価格が付くことが多々あります。
取引の中で一物一価の法則が成り立っていない分野はいくつかあるわけですが、労働市場、特に日本におけるそれは顕著であると言われます。
同じような仕事をしている人に対し、支払われる給料に大きな差がある状態が、至る所で見られます。
日本の労働市場は規制が過剰で流動性に乏しく、労働における一物一価、すなわち同一労働同一賃金とは縁遠い状態にありました。
【自治体における賃金格差】
民間はもとより、県庁や市町村役場など地方自治体の労働環境でも、同一労働同一賃金とは程遠い格差が蔓延しています。非正規職員が半数以上の自治体「ボーナス支給も月給減」懸念、実情とは 1/14(火) 7:30配信 京都新聞
======【引用ここから】======
京都府南部(山城地域)の12市町村のうち7市町で、全職員数に占める非正規職員の割合が5割を超えている。この大半が、「同一労働同一賃金」の実現を目指して2020年度に新設される「会計年度任用職員」の身分に移行する。非正規職員である嘱託職員と臨時職員なしには住民サービスが成り立たないのが実情で、期末手当(ボーナス)の支給など待遇改善が進む見通しだが、正規職員の給料との差が埋まるのか懸念する声が上がっている。
======【引用ここまで】======
「正規職員の給料との差が埋まるのか懸念する声」とあるように、正規職員と非正規職員とでは、同じような事務仕事でも賃金や手当の面で格差があります。
同じような事務仕事でも、非正規職員では昇給なしでいつまでも最低賃金付近。
正規職員は、仕事の出来の良し悪しを問わず勤務年数の経過によって賃金は上昇していきます。
年齢高めの正規職員(ヒラ・事務職)と、事務補助で採用された非正規職員とでは、責任も業務内容も大差ないにも関わらず年収で4~5倍の差がある・・・なんて自治体はざら。
具体的な額については、こちら↓を参照。
時給900円の非正規公務員が増加の訳 正規職員を増やす負担は若年層へ - ライブドアニュース
2020年1月10日
======【引用ここから】======
例えば、「一般職非常勤職員」として事務補助に就いている職員の平均時給は919円、「臨時的任用職員」だと845円だ。その時点での最低賃金は全国加重平均で798円(東京都は907円)だから、最低賃金並みの報酬だ。
しかも、全体の3分の1である20万2764人はフルタイム、さらに20万5118人は正規の4分の3以上の時間、勤務している。公務員の所定の労働時間は年間1850時間程度とされているから、フルタイムで働いたとして、臨時的任用職員だと平均で160万円程度の年収にしかならない計算になる。
一方、総務省の調べでは全自治体の平均給与月額は40万円余りなので、ボーナスを含めると660万円になる。その格差たるや歴然としている。しかも、仕事の内容は正規の職員と大きく変わらないケースもある。
======【引用ここまで】======
(余談ですが、年齢高めのヒラ正規職員と若い管理職との間では、年功賃金によって責任の軽いヒラの方が給料が高くなってしまう逆転現象も生じています。これも全国的に見られる問題であり、解消するために取り組んだ自治体はごく少数です。有名なところでは大阪府箕面市が挙げられます)
○【箕面市長 倉田哲郎氏:第4話】平社員の給与が部長を上回るケースが存在する
【正規職員の身分保障】
正規・非正規の話に戻り。正規職員に対し、能力不足を理由とする解雇(分限免職)は一応存在しています。
制度上は。
ただ、分限免職の実施に至るまで長期間を要すること、また、裁判所が自治体の判断を覆し処分を無効とする例もあって、実質的には、正規職員には、犯罪行為をしない限り定年まで解雇されず定期的に昇給していくという身分が保障されています。
※参考
「仕事ができない」公務員、クビにならないのはなぜ? 分限免職の仕組みと裁判例 - 弁護士ドットコム
正規職員には身分保障があります。
簡単にはクビにできません。
では、部署の中で人員が余剰になった場合はどうなるでしょう。
例えば。
A課:正規職員5人
という構成の課があったとします。
A課の業務が3人で足りるようになったため、組織改編をして課の人数を減らすとしましょう。
この余った正規職員2人を直ちにクビにできるかと言えば、そうではありません。
クビにしたとしても、裁判所は「配置転換でクビを回避できないか検討せよ」と言って処分無効とするに違いありません。
じゃあ、A課で余った正規職員2人を配置転換でB課に回しましょう。
B課の現状は
B課:正規職員4人、非正規職員3人
とします。
ここに、A課で余った正規職員2人をB課に配置すると、翌年度はたぶん、
B課:正規職員4→6人、非正規職員3→1人
となります。
「正規が2人増えるんだから、非正規はその分不要でしょ?」
という理屈です。
非正規職員がこうした扱いを受ける状態を指して「雇用の調整弁」と呼ぶことがあります。
このように、正規職員には手厚い身分保障がある背後で、非正規職員にしわ寄せがいく構図となっています。
非正規の解雇で調整を図ることは、悲しいかな、裁判所が公認している手法です。
この時、正規職員よりも非正規職員の方が仕事を覚えていてテキパキできる人だったとしても、結論は変わりません。
判断基準としては、仕事ができる・できないよりも、正規職員という身分を有していることが優先されます。
【賃金格差の原因は身分保障】
先ほどは人員が減る場合を考えました。次は逆に、人員を追加したい場合を考えましょう。
権限移譲や新規事業などによって自治体の事務量が増えた場合や、
新規採用した正規職員が使えなかった場合、
あるいは人事異動によって使えない正規職員が特定の部署に集まってしまった場合、
正規職員が産休や病休などで長期の休みに入った場合、
こうした場合に、その部署の管理者や人事担当課はどうすれば良いでしょうか。
上述のとおり、正規職員の分限免職は困難なので、正規職員を直ちにクビにして出来そうな人を雇い直すという選択肢は現実的にはありません。
では、既存の正規職員をクビにすることなく、新たに正規職員を雇う方法はどうでしょうか。
人件費総額や職員定数を考えた時、正規職員を増やして不足分に対応するのはなかなか難しいものがあります。
また、正規職員としての採用は「生涯賃金2億円を賭けて使えるか使えないか分からない人を雇う」という危険なギャンブルであり、更に使えない正規職員を引き当ててしまった場合は目もあてられません。
莫大な負債を背負うのと同義です。
正規職員の雇用ではなく配置転換で対応することも考えられますが、使えない正規職員は組織に残ってしまうため、部署間で使えない正規職員の押し付け合い、ババ抜き状態となります。
この調整もまた一苦労です。
正規職員が身分保障されている反動で、様々な問題が起きています。
どうしたら良いでしょうか。
ここで、非正規職員が登場します。
正規職員の身分保障には手を付けず、正規職員の人件費総額を確保し年功序列賃金体系を維持しつつ、別枠でかき集めた予算を元手に、最低賃金付近で労働市場から非正規職員を募集する・・・そんなことを全国の自治体が繰り返してきたわけです。
全国の自治体が、バイトやパートタイム的な位置付けで身分保障の無い非正規職員を大量に雇ってこの問題に対処してきました。
自治体の職員の半数近くが非正規職員となり、官製ワーキングプアが問題となり、働き方改革や同一労働同一賃金が騒がれるようになり、総務省が指示を出して、ようやく自治体が問題を認識するようになりました。
いや、まだ、
「総務省が言うから形だけ対応しとこ」
という自治体が多いような気もします。
【解決策は?】
この問題について、正規職員の側はどう見ているのでしょうか。冒頭の新聞記事を再び拝借。
非正規職員が半数以上の自治体「ボーナス支給も月給減」懸念、実情とは 1/14(火) 7:30配信 京都新聞
======【引用ここから】======
各自治体は現在、同職員に関する詳細な給与条件や規則などを策定中だ。自治労京都府本部は「ボーナスを支給する一方で、月額の給料を減らすことで、年収アップにつながらないケースなどが出てくる可能性がある」と指摘。「財政悪化などを理由に、処遇改善が進まないのは、会計年度任用職員の制度の目的に反する。各自治体は、職員間で格差が生まれないよう取り組むべきだ」とする
======【引用ここまで】======
ピントがぼけてる、と言いますか。
正規・非正規の格差問題は、身分保障と年功賃金が根底にあります。
裁判所の判断を後押しに、身分保障を頑なに擁護し要求してきた正規職員の労働組合が、
「職員間で格差が生まれないよう取り組むべきだ」
だなんて、ちょっと笑ってしまいます。
他人事じゃありません、労働組合が繰り返し主張してきたことが格差の大きな原因なんです。
人口減少社会、社会保障給付の増加、財政悪化を考えた時、職員総数は増やせないし人件費総額も増やせません。
全体のパイが減っていくのですから、職員総数も人件費総額も減らさなければなりません。
そんな中で正規・非正規の格差是正を図るべしという要請に応えるのであれば、正規職員、特にヒラ職員の人件費抑制は避けて通ることのできない道だと、私は考えています。
地方自治体は、
「正規職員の給料は据え置く。非正規職員の待遇改善を実施する費用は国が負担すべき。」
と考えているようですが・・・
国の新制度で非正規職員にもボーナス 財源は? 東北の自治体に危機感 | 2019年08月16日金曜日 河北新報オンラインニュース
======【引用ここから】======
2020年4月に制度が始まる会計年度任用職員の人件費負担に自治体が戦々恐々としている。制度導入で非正規の地方公務員が期末手当(ボーナス)などの支給対象となって人件費が大幅に増えるのに、国と自治体の負担割合がいまだに決まっていないためだ。
======【引用ここまで】======
自治体は国に甘えすぎなんじゃないか、と思うんですがねぇ。
まずは、ヒラ正規職員の給与を非正規職員のそれに近づけ、そこで浮いた人件費を非正規職員の賃金改善に充てることを考えるべきです。
そして、地方公務員法を改正して分限処分要件を緩和・明確化し、金銭解雇も可能にし、正規職員の雇用を流動化することで、身分格差の解消を図っていく必要があります。
根本的な解決としては、職員増員の口実となる新規事業の抑制、そして、絶対的貧困の解消に繋がらない蛇足の事業や規制行政の縮小・廃止が必要になります。
役所が少人数でも運営できるような業務内容、事業数に絞っていくべきです。
これらの作業を、まだ余裕のあるうちに着手するか、財政破綻待ったなしの状態でハードランディングするかは、あなたのお住まいの自治体次第です。