朝起きると今にも泣き出しそうな空、雲が低い。
おんたけスカイレースとはこんなレース、要するに海抜900mくらいの王滝村公民館から一般道、トレイル、スキー場、登山道を登って、3069mの御嶽山のカルデラを走って、登山道とスキー場を下って海抜1400m辺りのキャンプ場にゴール、そんなレース。
ところが今年は御嶽山頂の悪天候(雨、気温15度、風速10m、霧で視界20m)のため、レースは山頂手前の2900m地点くらいで折り返しとのこと、ちょっと残念。
朝7時過ぎにスタート
最初は一般道をだらだらと30分弱上ります。
大又山荘からトレイルコースへ、これもだらだらとした上り、単調な道が続きます。
スタートから小一時間も走ったでしょうか、「なんだ、『おんたけ』といっても大したことないなー。」と思ったらこの滝の辺りからコースの様相が一変。
ここから先は「走るところなんてほとんどありゃせんがな。」と言っても華厳の滝ではない。
トレイルを抜けるとスキー場、リフトに標高1650mの文字、まだ700mしか上ってなくて、まだこれから1200m以上上らなければならないと思うとちょっとうんざり。
スキー場っていうのは、たとえ雪がなくとも、走って(歩いて)登るもんではないなーとしみじみ思いました。
結構な急斜面、元より単調な景色の上に霧で視界が悪く周囲がほとんど見えない上に、空もとうとう泣き出しました。
もう30分くらい登ったかなーと思って時計を見るとまだ10分しか経ってなかったり。自分の周りだけ時空がゆがんでいるのではないかという錯覚に陥ります。
ただひたすら自分の体重という位置エネルギーを獲得する作業を続ける、そんな感じ。
やがてトップの外国人招待選手が下りてきました、というか急斜面を落ちてきました。
さすが世界のトップ山岳ランナー、切れ方が違います。
ようやくスキー場を上り終わり、海抜2200mの田の原山荘前からいよいよ御嶽山の登山道に。
今回はサポートに回っている海坊主さんから、4分前と6分前に会社の同僚がいると聞き、「よし、追いついちゃる。」と気合を入れなおします。
やがてコースはガレ場に、コースの左右はハイマツとコケ、背丈より高い植物は皆無です。
ここまで半そでのチームユニで来ましたが、寒さに耐え切れなくなり、レインウェアを着、厚手の手袋をはめました。でもやっぱり寒い。
空気が薄くなってきたように感じます。とにかく急斜面のガレ場を手を使って這い登ります。
登山客、折り返してくる選手でコースは渋滞、でも渋滞してなくとも所要時間はそうは変わらないでしょう、そんな急斜面です。
スタートから約3時間半、やっとのことで折返し地点に到着、早速神社でお参り。
でもさすがにワールドスカイレースシリーズ第6戦、マジランナーが多く、ほとんほとんどの選手は神社に目もくれず、パネルにタッチして折り返していきます。
とにかく寒い。
写真を撮ろうとしても、カロリーメイトを食べようとしても、手が石化魔法にかかったようにうまく動きません。
一度はずした手袋をはめるのにも一苦労。
そして苦手の下り。一度はパスした会社の同僚にもあっという間に置いていかれます。
タダでさえ苦手な上に、寒い、空気が薄い、雨で滑る。コースはもう川のよう。
20分くらい下ったあたりでしょうか、滑って転んだ際に、そのまましりもちをつけばよかったのですが、右足が変な風に曲がってバランスを崩し、側頭部を岩にぶつけました。
すぐ立ちあがったのですが、あれ、真直ぐ歩けない。5分ぐらいちょっとふらふらしてました。
この時点で5%くらい残っていたガレ場の急斜面を攻める気持ちは完全に0%になりました。後ろにランナーの足音を感じたら、すぐに止まって道を譲ります。
やっとのことで田の原まで下りてきました。
レインと手袋を脱ぎ、スキー場からの下りに気合を入れ直します。
ところが、スキー場を下り始めてはや数百メートルのところで、スキーであればビンディングが外れるくらいの転倒。
雑草が刈られ道になってるのは幅数メートル、スキーであれば斜滑降という手もありますが、当然走るのは直滑降になります。
雨の上に多くの選手が走ったコースはぬかるんでいて滑る、スキーであればエッジを立てて止まるところですが、あいにくランニングの直滑降の止まり方はよく分かりませんでした。
この時点で、30%くらいあったスキー場の下りを攻める気持ちも0%になりました。
ゆっくりジョグでゴールを目指します。
霧で周囲はすべて乳白色、前にも後ろにもランナーの姿はなく、遠くで救急車の音が聞こえます。まるで位相空間に強制転移させられてしまったような、不思議な気分。
最後のエイド、レースは後2.5km、ここで一緒になった男女お二人と3名でゴールを目指すことにしました。
ここで一つの野望を持ちかけられました。
「みんなで手をつないで万歳をしてゴールをすると、ランナーズなどの雑誌に載りやすい。」
3人だと今一つインパクトに欠けるので、後ろから来る人をもう1,2人誘おうということになり、ますますゆっくりジョグ。
「どんなレースでも、どんなコンディションでも、1分でも1秒でも早くゴールするよう全力を尽くす。」はずなのですが、今日に限っては、道明寺司のように一時的に記憶喪失になったようです。
作戦通り4人でバンザイゴール、海坊主君や先にゴールしていた同僚と合流しました。
ベストを尽くすことを放棄し、箱根トレイルでは先着した同僚に30分以上の後れを取りました。身体のダメージはかなりあります。
敗北感を感じます。でも、「リベンジしてやる。」という気にはまだなれません。
というより、私なんかが出てはいけないレースだったのではないでしょうか。
来年、どうする?
おんたけスカイレースとはこんなレース、要するに海抜900mくらいの王滝村公民館から一般道、トレイル、スキー場、登山道を登って、3069mの御嶽山のカルデラを走って、登山道とスキー場を下って海抜1400m辺りのキャンプ場にゴール、そんなレース。
ところが今年は御嶽山頂の悪天候(雨、気温15度、風速10m、霧で視界20m)のため、レースは山頂手前の2900m地点くらいで折り返しとのこと、ちょっと残念。
朝7時過ぎにスタート
最初は一般道をだらだらと30分弱上ります。
大又山荘からトレイルコースへ、これもだらだらとした上り、単調な道が続きます。
スタートから小一時間も走ったでしょうか、「なんだ、『おんたけ』といっても大したことないなー。」と思ったらこの滝の辺りからコースの様相が一変。
ここから先は「走るところなんてほとんどありゃせんがな。」と言っても華厳の滝ではない。
トレイルを抜けるとスキー場、リフトに標高1650mの文字、まだ700mしか上ってなくて、まだこれから1200m以上上らなければならないと思うとちょっとうんざり。
スキー場っていうのは、たとえ雪がなくとも、走って(歩いて)登るもんではないなーとしみじみ思いました。
結構な急斜面、元より単調な景色の上に霧で視界が悪く周囲がほとんど見えない上に、空もとうとう泣き出しました。
もう30分くらい登ったかなーと思って時計を見るとまだ10分しか経ってなかったり。自分の周りだけ時空がゆがんでいるのではないかという錯覚に陥ります。
ただひたすら自分の体重という位置エネルギーを獲得する作業を続ける、そんな感じ。
やがてトップの外国人招待選手が下りてきました、というか急斜面を落ちてきました。
さすが世界のトップ山岳ランナー、切れ方が違います。
ようやくスキー場を上り終わり、海抜2200mの田の原山荘前からいよいよ御嶽山の登山道に。
今回はサポートに回っている海坊主さんから、4分前と6分前に会社の同僚がいると聞き、「よし、追いついちゃる。」と気合を入れなおします。
やがてコースはガレ場に、コースの左右はハイマツとコケ、背丈より高い植物は皆無です。
ここまで半そでのチームユニで来ましたが、寒さに耐え切れなくなり、レインウェアを着、厚手の手袋をはめました。でもやっぱり寒い。
空気が薄くなってきたように感じます。とにかく急斜面のガレ場を手を使って這い登ります。
登山客、折り返してくる選手でコースは渋滞、でも渋滞してなくとも所要時間はそうは変わらないでしょう、そんな急斜面です。
スタートから約3時間半、やっとのことで折返し地点に到着、早速神社でお参り。
でもさすがにワールドスカイレースシリーズ第6戦、マジランナーが多く、ほとんほとんどの選手は神社に目もくれず、パネルにタッチして折り返していきます。
とにかく寒い。
写真を撮ろうとしても、カロリーメイトを食べようとしても、手が石化魔法にかかったようにうまく動きません。
一度はずした手袋をはめるのにも一苦労。
そして苦手の下り。一度はパスした会社の同僚にもあっという間に置いていかれます。
タダでさえ苦手な上に、寒い、空気が薄い、雨で滑る。コースはもう川のよう。
20分くらい下ったあたりでしょうか、滑って転んだ際に、そのまましりもちをつけばよかったのですが、右足が変な風に曲がってバランスを崩し、側頭部を岩にぶつけました。
すぐ立ちあがったのですが、あれ、真直ぐ歩けない。5分ぐらいちょっとふらふらしてました。
この時点で5%くらい残っていたガレ場の急斜面を攻める気持ちは完全に0%になりました。後ろにランナーの足音を感じたら、すぐに止まって道を譲ります。
やっとのことで田の原まで下りてきました。
レインと手袋を脱ぎ、スキー場からの下りに気合を入れ直します。
ところが、スキー場を下り始めてはや数百メートルのところで、スキーであればビンディングが外れるくらいの転倒。
雑草が刈られ道になってるのは幅数メートル、スキーであれば斜滑降という手もありますが、当然走るのは直滑降になります。
雨の上に多くの選手が走ったコースはぬかるんでいて滑る、スキーであればエッジを立てて止まるところですが、あいにくランニングの直滑降の止まり方はよく分かりませんでした。
この時点で、30%くらいあったスキー場の下りを攻める気持ちも0%になりました。
ゆっくりジョグでゴールを目指します。
霧で周囲はすべて乳白色、前にも後ろにもランナーの姿はなく、遠くで救急車の音が聞こえます。まるで位相空間に強制転移させられてしまったような、不思議な気分。
最後のエイド、レースは後2.5km、ここで一緒になった男女お二人と3名でゴールを目指すことにしました。
ここで一つの野望を持ちかけられました。
「みんなで手をつないで万歳をしてゴールをすると、ランナーズなどの雑誌に載りやすい。」
3人だと今一つインパクトに欠けるので、後ろから来る人をもう1,2人誘おうということになり、ますますゆっくりジョグ。
「どんなレースでも、どんなコンディションでも、1分でも1秒でも早くゴールするよう全力を尽くす。」はずなのですが、今日に限っては、道明寺司のように一時的に記憶喪失になったようです。
作戦通り4人でバンザイゴール、海坊主君や先にゴールしていた同僚と合流しました。
ベストを尽くすことを放棄し、箱根トレイルでは先着した同僚に30分以上の後れを取りました。身体のダメージはかなりあります。
敗北感を感じます。でも、「リベンジしてやる。」という気にはまだなれません。
というより、私なんかが出てはいけないレースだったのではないでしょうか。
来年、どうする?
いやー、スカイレースすごいですねー。
完走おめでとうございます。
僕はトレイルレース10kmを1度体験しただけの
にわか初心者ランナーですが、
あの天候の悪い日に登るなんて過酷すぎです。
実は、その日、家族で御嶽山にファミリー登山にいく予定でした。もちろん、雨なので中止です^^;
その日におなじ場所でそんなレースが実施されていたとは。。。
でも、自分もいつかチャレンジしたいなぁと思ったりしています。自分はもっともっと基礎体力をつけないとだめですが^^;
標高が高いところはかなり冷え込んでいたんですね。
強打したとこも大したことなさそうでなによりです♪
余裕かまして写真を撮ってる場合じゃなかったですね。
少しでも前に行くべきでした。
身体は大丈夫、頭のこぶもほぼひっこみました。
kuriさん
さすがに日曜日は客は私たちを含め3組だけ、「兵どもが夢のあと」という感じでした。
滝旅館、いい宿でしたね。
あの内容であの値段、王滝村は物価が安い。
メルアド連絡させていただきましたのでよろしくお願いします。
エントリーしたのはチャレンジ精神というよりも、「酒の勢い」でした。
箱根トレイルを走った仲間と打ち上げをやったときに、「おんたけ」と「ハセツネ」は当然と言われ、その場の空気を読んだ結果でした。
moaiさん
お久しぶりです。
高低差800mのスキーゲレンデ、確かに走るもんじゃございません。
スキーならあっという間なんですけどね。
すうざんさん
すみません。
位相空間がなんだか分からずに書きました。文科系なもので。
スカイレースの醍醐味であるお鉢ができなくて残念でしたが、思い出に残るいい大会でした。それにしても、山頂の寒さは半端なかったですね。
ゴールのバンザイはそんなエピソードがあったのですね。そうそう、ゴール後、私のカメラで撮った写真を送りたいので、もしよければメールアドレスを(http://plaza.rakuten.co.jp/kuritan/mailboxform/)へ教えて頂けると嬉しいです。
次はハセツネでしょうか?また、ご一緒できるのを楽しみにしています♪
(しかも写真もしっかり撮って!)
ぶつけたところが心配ですが、足はなんとかご無事で次の大会に影響なくて良かったですね。
次の長谷恒はゆっくりモードで楽しみましょう。
位相空間は貴重な体験だ。お帰りなさい。
昨年6月時の残雪の「おんたけ」よりもずっと寒く過酷なレースだったようですね。
最後のゲレンデの下りには、「グラススキー」が有効かと思われます。(笑)
でも、そのチャレンジ精神は、やっぱ見習わなアカンなぁ......って、つくづく思いました。
近いうち、酒酌み交わしながら、そのパワーを注入してください☆
さすがに3000m級、空気薄いし!
今まで登った最高峰が多分蓼科山なので、新鮮、驚愕でした。
けーぜさん
頭は小さなこぶになっていますが、大丈夫。
それよりふくらはぎの筋肉疲労が、フルマラソンよりきつい。
でもまあなんとかこっちの世界に帰ってきました。
これから、ビデオに取った「地球へ・・」「ライフ」を見ます。
エントリー者わずかに380人、ワールドスカイレースシリーズ第6戦で文字通り世界の山岳ランナーが参戦しているエリートレースです。ちょっと自分は場違いでした。
悪天候でコースは短縮になったけど、これが晴天でレギュレーション通りのコースだったら、もっと苦しんでいたと思います。
転倒も、攻めて失敗したのではなく、単に脚が終わっていただけ。
でも悠長に写真など撮っていた自分にちょっと腹が立ちます。
来年の事は、48時間後にもう一度考えて見ます。
p.s.私は滝ちゃんより気が弱いです。
標高が2000mを越える辺りから天候が一変。
2500mを越える辺りでもう一度一変、晩秋を思わせる冷たい雨と風でした。
そうそう、kuriさんと一緒の宿でした。
彼女、年代別2位入賞だそうで。
HIDE10さん
お久しぶりです。
今更ですが、富士登山競走お疲れ様でした。
3000mでこんだけきついんだから、富士山はさぞかし、、、
最初の一般道は奥武蔵程度だったので、元気に走れたのですが、、、
転んでぶつけたところ、大丈夫ですか?
過酷さがよっく伝わってきます。
ちゃんとこっちの世界に帰ってこれてなにより。
でも、あとからきっとリベンジする気がムクムクとわいてくるんじゃないでしょうか。
まずはゆっくり休んでくださいませ。
一応私は3000m峰は2座登頂し、あと数メートルで3000mという山にも何度か行っているんですが、走るのは想定外。
3000m初体験のRASCALさんのチャレンジ精神には、頭が下がります。
怪我がちょっと心配。
無事にゴールしたんだから良かったです、凄い!!
高山病にはならなかったのは何よりですヨ
多分48時間経ったら、「来年こそは、クソッ」
という気になってます。
何だかんだいってもRASCALさんは私より気が強いからネ!
でも打撲・怪我は充分養生して下さい。
(めずらしく親切で優しい言葉をおかけします。頑張ったんだから!)
私だったら、最初の一般道をだらだらと30分弱でめげそうです^^;
ダメージを癒して、次もがんばってください♪
世界のつわもの共の大会ですから、触れるだけでも面白かったんじゃないですか。
打撲は充分に養生してください。捻挫が無くてよかった?