1月は17冊と、24年はまずまずの滑り出し。
まずは年越しをしてしまった昨年の「新潮文庫の100冊」の残り5冊を片付けました。
◆カーテンコール! (加納 朋子)
廃校が決まった女子大で、卒業ができなかった落ちこぼれ学生9名に対し行われた半年間の特別合宿補講。生きることに不器用で人と係わることが苦手だった彼女らが、理事長先生の角田の元で少しずつ自分を取り戻していく成長物語。菜々子の留年理由だけが異質でちょっと引いた。
◆ぬるい眠り (江國 香織)
江國さんの作品の純文学くささが何となく苦手だったが、これは読みやすかった。理解も共感できないけど尾を引く女性や男女関係が綴られた短編が9編。一番理解できなかったのは「災難の顛末」の今日子。
◆ざんねんなスパイ (一條 次郎)
清掃係の73歳が初スパイって設定は面白いと思ったけど、奇想天外と言えば聞こえは良いけど全編がおふざけで、うーん、これって面白いのかな。後半は食傷気味で読むのに思いのほか時間がかかりました。
◆死にゆく者の祈り (中山 七里)
ホームズ役はなんと教誨師、坊さん。刑務所で出会った学生時代の友で命の恩人がなんと死刑囚。殺人は冤罪で実はいい人という展開は最初から読めているものの、どこに着地をするのかページを繰る手が止まらない。最後のどんでん返しはかなり無理やりでしたが、まずまず面白かった。
毎年、「このミス」をはじめ年末に刊行される4社のミステリーのランキング10位までを読むことにしています。
まずは「このミス」を購入。
◆このミステリーがすごい! 2024年版
隠し玉とか、MY Best 6とか、なかなか読みどころが多い。京極夏彦さんのインタビュー記事も○。
◆あなたが誰かを殺した(東野 圭吾)
単行本は図書館本で読むことが多いのですが、これだけはいつ順番が回ってくるかわからないので購入。
とある別荘で開催されたBBQパーティ、参加したのは5家族15人、その夜そのうち6人が何者かに刺され5人が死亡する。犯人はその日のうちに自首するが、、今回の加賀恭一郎は刑事としてではなく探偵役。複雑怪奇な事件の矛盾点をつき、真相を暴く切れ味はざすがだが、このシリーズらしいヒューマンドラマの要素は薄目、正当派の本格ミステリー。シリーズ終了?と思っていたが、まだ続くんですね。しかもこのクオリティの高さに加え、読みやすさもさすが東野先生、1日で一気読みしました。
◆世界でいちばん透きとおった物語 (杉井 光)
大御所作家の愛人の子・燈真が主人公。母に続いて一度もあったことのない父が死んだ。子供だけ作って母を顧みなかった父と思わせて、実は、って良い話になるんだろうなということは容易に想像できた。ストーリーとしては直球で普通によい話、でも、燈真の「紙の本が読めない病」が伏線だとは思ったけど、でもここまで手間暇をかけた仕掛けがあるとは想像できませんでした。素直に著者に脱帽。
◆アミュレット・ホテル(方丈 貴恵)
方丈さんお得意の特殊設定下のミステリー短編集、今回のは犯罪者専門のホテルが舞台。コミカルな設定だけど、複雑なトリックとなぞ解き、その実は本格ミステリー。
◆或るスペイン岬の謎
南美希風の国名シリーズは2冊目、オマージュというか、本家のエラリーの方は読んでいない。読みにくいというか、状況を把握するのに苦労したが、これも本格ミステリといわれるものの故でしょうか。表題作はなかなかにひねりが聞いていて面白かった。
「新潮文庫の100冊」が片付いたので、「カドブン」の積読本の消化にかかりました。
◆宇宙のみなしご (森 絵都)
中二の頃っていろいろあったよねー。今思うとかわいい、たわいもない悪さをして、先生にもずいぶん怒られていたような気がする。つらいことも多々あったような気がする。当時の仲間と久々にあってもみな記憶はあいまいで、話は食い違い、でもなんとなく楽しかったことだけが共通項。これも中学時代のそんな思い出になっていく、そんなお話。ほんわかした気分にさせられました。
◆源氏物語 ビギナーズ・クラシックス 日本の古典 (角川ソフィア文庫―ビギナーズ・クラシックス)
高校の古文等で親しんだと思っていた源氏物語、紫式部は今年の大河のヒロインなので手に取ってみたが、なるほど、解説にあったように私も「須磨源氏」、後半部分はほとんど知らなかった。私のような源氏ビギナーにとって、とてもありがたい入門書でした。それにしてもあの藤原氏絶頂期に、皇籍から降下した主人公が活躍する物語が広く流布したってのが、王朝文化って洗練されていただけでなく結構自由だったのねと思わなくもない。
◆青の炎 (貴志 祐介)
こんなやつが家に居座ったが秀一君じゃなくとも殺そうと思いますよね。母や妹のために犯罪者になりたくない、完全犯罪を目指すというのも理解できる。見事にやり通したと思ったらあっけなく崩壊、さらに罪を重ねる秀一、そして最後に選択した結末、紀子が切ないなー。
追いかけているラノベのシリーズものを2冊。
◆りゅうおうのおしごと!18 (白鳥 士郎)
八一と歩夢のタイトル戦、そしてあいと天衣の姉妹弟子対決、盛り上がりました!スパコンを使用した100年後の将棋ということで、こんなに風呂敷広げちゃってどうなるのかな?と思っていたのですが、意外とうまくまとまりましたね。なるほど、そんな勝ち方があったとは、、、あとがきでこのシリーズもあと2巻とのこと。ここ数巻は天衣がダーク・ヒロインの感がありましたが大団円に向けて八一のお相手も銀子かあいに絞られたんですかねー。次巻が待ち遠しい。
◆青春ブタ野郎はサンタクロースの夢を見ない (鴨志田 一)
シリーズ13作目、大学編に入ってからは初の本格的な思春期症候群、しかも今回は咲太の友人のみならず不特定多数の発症があった模様。咲太の奮闘で一件落着?でもまだ霧島透子の正体は見えていないし、#夢見るの霧島透子=麻衣説も決着がついていない。次巻に期待、ですかね。
◆無人島のふたり: 120日以上生きなくちゃ日記(山本 文緒)
文庫本も出たし、年末にTVドラマにもなっていた「自転しながら公転する」の山本文緒さん。彼女ががんで急逝する直前までの日記の書籍化。私も同時期に友人(50代の女性)をすい臓がんで亡くしたので、、、その彼女も匿名でブログを綴っていて、最後の日の文章を読んだときに心が震えたのを思い出した。明日は我が身、、かもしれないので、もしそうなったときのために1日1日を大切に、悔いなく生きようと思いました。
◆ドラッカーの遺言 (講談社BIZ)
05年に亡くなったドラッカーの晩年に行われたインタビューをまとめた本。もう20年近く前の本だが、実に分かりやすく、彼の日本に対する示唆は興味深い。私の会社員人生の前半期にあたる80年代、90年代の日本はアジアでは一人勝ち、豊かな国だった。それがここまで凋落してしまったのは、彼のアドバイス通りに進めなかった日本の先見性と柔軟さの欠如故か。ここで踏みとどまれるか、さらなる凋落が待っているのか、暗澹たる気持ちにさせられた一冊。
まずは年越しをしてしまった昨年の「新潮文庫の100冊」の残り5冊を片付けました。
◆カーテンコール! (加納 朋子)
廃校が決まった女子大で、卒業ができなかった落ちこぼれ学生9名に対し行われた半年間の特別合宿補講。生きることに不器用で人と係わることが苦手だった彼女らが、理事長先生の角田の元で少しずつ自分を取り戻していく成長物語。菜々子の留年理由だけが異質でちょっと引いた。
◆ぬるい眠り (江國 香織)
江國さんの作品の純文学くささが何となく苦手だったが、これは読みやすかった。理解も共感できないけど尾を引く女性や男女関係が綴られた短編が9編。一番理解できなかったのは「災難の顛末」の今日子。
◆ざんねんなスパイ (一條 次郎)
清掃係の73歳が初スパイって設定は面白いと思ったけど、奇想天外と言えば聞こえは良いけど全編がおふざけで、うーん、これって面白いのかな。後半は食傷気味で読むのに思いのほか時間がかかりました。
◆死にゆく者の祈り (中山 七里)
ホームズ役はなんと教誨師、坊さん。刑務所で出会った学生時代の友で命の恩人がなんと死刑囚。殺人は冤罪で実はいい人という展開は最初から読めているものの、どこに着地をするのかページを繰る手が止まらない。最後のどんでん返しはかなり無理やりでしたが、まずまず面白かった。
毎年、「このミス」をはじめ年末に刊行される4社のミステリーのランキング10位までを読むことにしています。
まずは「このミス」を購入。
◆このミステリーがすごい! 2024年版
隠し玉とか、MY Best 6とか、なかなか読みどころが多い。京極夏彦さんのインタビュー記事も○。
◆あなたが誰かを殺した(東野 圭吾)
単行本は図書館本で読むことが多いのですが、これだけはいつ順番が回ってくるかわからないので購入。
とある別荘で開催されたBBQパーティ、参加したのは5家族15人、その夜そのうち6人が何者かに刺され5人が死亡する。犯人はその日のうちに自首するが、、今回の加賀恭一郎は刑事としてではなく探偵役。複雑怪奇な事件の矛盾点をつき、真相を暴く切れ味はざすがだが、このシリーズらしいヒューマンドラマの要素は薄目、正当派の本格ミステリー。シリーズ終了?と思っていたが、まだ続くんですね。しかもこのクオリティの高さに加え、読みやすさもさすが東野先生、1日で一気読みしました。
◆世界でいちばん透きとおった物語 (杉井 光)
大御所作家の愛人の子・燈真が主人公。母に続いて一度もあったことのない父が死んだ。子供だけ作って母を顧みなかった父と思わせて、実は、って良い話になるんだろうなということは容易に想像できた。ストーリーとしては直球で普通によい話、でも、燈真の「紙の本が読めない病」が伏線だとは思ったけど、でもここまで手間暇をかけた仕掛けがあるとは想像できませんでした。素直に著者に脱帽。
◆アミュレット・ホテル(方丈 貴恵)
方丈さんお得意の特殊設定下のミステリー短編集、今回のは犯罪者専門のホテルが舞台。コミカルな設定だけど、複雑なトリックとなぞ解き、その実は本格ミステリー。
◆或るスペイン岬の謎
南美希風の国名シリーズは2冊目、オマージュというか、本家のエラリーの方は読んでいない。読みにくいというか、状況を把握するのに苦労したが、これも本格ミステリといわれるものの故でしょうか。表題作はなかなかにひねりが聞いていて面白かった。
「新潮文庫の100冊」が片付いたので、「カドブン」の積読本の消化にかかりました。
◆宇宙のみなしご (森 絵都)
中二の頃っていろいろあったよねー。今思うとかわいい、たわいもない悪さをして、先生にもずいぶん怒られていたような気がする。つらいことも多々あったような気がする。当時の仲間と久々にあってもみな記憶はあいまいで、話は食い違い、でもなんとなく楽しかったことだけが共通項。これも中学時代のそんな思い出になっていく、そんなお話。ほんわかした気分にさせられました。
◆源氏物語 ビギナーズ・クラシックス 日本の古典 (角川ソフィア文庫―ビギナーズ・クラシックス)
高校の古文等で親しんだと思っていた源氏物語、紫式部は今年の大河のヒロインなので手に取ってみたが、なるほど、解説にあったように私も「須磨源氏」、後半部分はほとんど知らなかった。私のような源氏ビギナーにとって、とてもありがたい入門書でした。それにしてもあの藤原氏絶頂期に、皇籍から降下した主人公が活躍する物語が広く流布したってのが、王朝文化って洗練されていただけでなく結構自由だったのねと思わなくもない。
◆青の炎 (貴志 祐介)
こんなやつが家に居座ったが秀一君じゃなくとも殺そうと思いますよね。母や妹のために犯罪者になりたくない、完全犯罪を目指すというのも理解できる。見事にやり通したと思ったらあっけなく崩壊、さらに罪を重ねる秀一、そして最後に選択した結末、紀子が切ないなー。
追いかけているラノベのシリーズものを2冊。
◆りゅうおうのおしごと!18 (白鳥 士郎)
八一と歩夢のタイトル戦、そしてあいと天衣の姉妹弟子対決、盛り上がりました!スパコンを使用した100年後の将棋ということで、こんなに風呂敷広げちゃってどうなるのかな?と思っていたのですが、意外とうまくまとまりましたね。なるほど、そんな勝ち方があったとは、、、あとがきでこのシリーズもあと2巻とのこと。ここ数巻は天衣がダーク・ヒロインの感がありましたが大団円に向けて八一のお相手も銀子かあいに絞られたんですかねー。次巻が待ち遠しい。
◆青春ブタ野郎はサンタクロースの夢を見ない (鴨志田 一)
シリーズ13作目、大学編に入ってからは初の本格的な思春期症候群、しかも今回は咲太の友人のみならず不特定多数の発症があった模様。咲太の奮闘で一件落着?でもまだ霧島透子の正体は見えていないし、#夢見るの霧島透子=麻衣説も決着がついていない。次巻に期待、ですかね。
◆無人島のふたり: 120日以上生きなくちゃ日記(山本 文緒)
文庫本も出たし、年末にTVドラマにもなっていた「自転しながら公転する」の山本文緒さん。彼女ががんで急逝する直前までの日記の書籍化。私も同時期に友人(50代の女性)をすい臓がんで亡くしたので、、、その彼女も匿名でブログを綴っていて、最後の日の文章を読んだときに心が震えたのを思い出した。明日は我が身、、かもしれないので、もしそうなったときのために1日1日を大切に、悔いなく生きようと思いました。
◆ドラッカーの遺言 (講談社BIZ)
05年に亡くなったドラッカーの晩年に行われたインタビューをまとめた本。もう20年近く前の本だが、実に分かりやすく、彼の日本に対する示唆は興味深い。私の会社員人生の前半期にあたる80年代、90年代の日本はアジアでは一人勝ち、豊かな国だった。それがここまで凋落してしまったのは、彼のアドバイス通りに進めなかった日本の先見性と柔軟さの欠如故か。ここで踏みとどまれるか、さらなる凋落が待っているのか、暗澹たる気持ちにさせられた一冊。
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