2月は15冊、600ぺージ超を2冊読んだので、まずまずでしょうか。
第170回直木賞およびその候補作を3冊。
◆八月の御所グラウンド(万城目 学)
万城目さん、直木賞受賞おめでとうございます。ほるもーとか、鹿男とか、トヨトミとか、ラクダ層だとか、コミカルで奇想天外な作品を書く人という印象なんだけど、今回のはかなり抑えめ、東京人の自分からしてみると、まあ、京都ならこれくらいのことは起きるんじゃないと思える作品でした。
◆襷がけの二人(嶋津 輝)
年も育ちも立場も違う女性の友情物語、でしょうか。のほほんと周囲に流されるままだった主人公の千代が、時代に翻弄されつつも成長していく。結婚するも主人とは全くうまくいかず、さりとて興味も努力をしようともしない千代のとろさには少しいらいらさせられた。婚家の女中・初衣との関係、そして思わぬ再開、ほのぼのとさせられました。
◆ラウリ・クースクを探して(宮内 悠介)
エストニアという、日本人にはほとんどなじみのない国を舞台にした作品、この国がIT先進国ということすら知らなかった。「これ、ノンフィクション?」みたいな感じで話が進むが、読み終わってみれば歴史に翻弄された少年少女3人の、それでもつながった友情の物語。舞台設定が特殊すぎてちょっとお惑いましたが、よいお話でした。
ミステリーを3冊。
◆エレファントヘッド(白井 智之)
一昨年の「名探偵のいけにえ」に続き、白井さんの作品にしてはグロさやや控えめ。犯行の動機とかは二の次の特殊条件下の本格ミステリーなのだが、相互に影響する並行世界?その特殊条件ってのがどうにもぶっとび過ぎて、なかなか理解が追い付けない。グロすぎる白井さんも苦手だが、これはこれで結構苦手だったかも。
昨年の「本格ミステリ」第一位作品!確かにすごいことはすごかった。評価が割れる作品と思います。
◆でぃすぺる(今村 昌弘)
ゾンビとか巨人とか、奇想天外なクローズドサークルの館ものを得意とする作家さんかと思っていましたが、今回はまた芸風一変のジュブナイル・ホラー・ミステリー。小6の3人が協力して真相に迫り、最後は圧巻のどんでん返し、否定的なレビューもあったけど、私は個人的にこういうの、すごく好きです。面白くて一気読みしました。
◆放課後ミステリクラブ 1金魚の泳ぐプール事件(知念実希人)
今年の本屋大賞ノミネート作品ということで手に取ったが、知念さんお得意の医療ものでもない、しかもまさかの児童書。
でもいっちょ前に読者への挑戦状まである本格仕立て。ホームズ役ももちろん小学生、子供にもミステリを読んでほしいという作者のミステリ愛溢れる作品と受け取りました。
◆勿忘草の咲く町で ~安曇野診療記~(夏川 草介)
現役の医師で「神様のカルテ」の著者、夏川草介さんの、「神様、、」同様のほのぼの系医療小説、でもその裏には高齢者医療と医師の過重労働という社会問題がある。高齢者医療については、私も昨年95歳の父を延命をせずに自宅で看取り、一方同い年の義母は認知症を患いながら施設と病院を行ったり来たりしているという、まさにこの小説に描かれている状況。死の尊厳についていろいろと考えされる。医師の過重労働については大阪で研修医が過重労働から鬱状態になり自死する事件があった。どちらも重い問題である。
◆街とその不確かな壁(村上 春樹)
割と最近「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」を読んだところだったので、、、
第一部は「世界の終わりと、、」と構成も内容も似たような展開、ややコミュ症で友達いない系の主人公たちが空想する壁の中の世界の話。第二部はその続編、長じた主人公、こっち側に戻っちゃった主人公が昔の自分みたいに壁の中の世界にあこがれる少年に出会う。
どうなるのか興味津々で、600ページ超も気にならずに読み進められましたが、、うーん、最後は、、結局何が言いたいのかよくわかりませんでした。
◆レーエンデ国物語 月と太陽(多崎 礼)
第2巻から読み始めてしまった。1話完結みたいで特に問題はなかったが、やはり読んでおいた方がよかったんだろうなー。ナーロッパ的な世界を舞台にした壮大な正統派ファンタジー。基本的には生まれも育ちも違う、テッサとルーチェの物語、読みやすいけど、テッサが哀れ、アルトベリ城を攻略したことにより交易路が帝国との断たれ、それはそれでまずいんじゃないのと思ったが、やはりというか、あまりの結末に読後感はもやもや。
◆終わらざる夏 (上・中・下)(浅田 次郎)
ソ連が不可侵条約を一方的に破棄して火事場泥棒的に参戦したことはもちろん知ってたけど、占守島のことは知りませんでした。
時は昭和20年7月、沖縄が陥落してもなお「本土決戦」「一億総玉砕」を唱える軍部。もはや戦局は決し、止められなくなってしまった戦争をどう止めるか、もう少し早く決断できていれば避けられた悲劇は、いろいろあったはずなのに。
精兵が集う千島列島の果ての占守島に送られた、本来であれば応召されないはずの3人、戦後処理の通訳役の片岡、あらくれ輜重兵の鬼熊、うらなり軍医の菊池が辿った数奇な運命、その家族、大本営の吉江参謀や戦車隊の指揮官・大屋などのわき役、や相手のソ連側の兵士の事情も丁寧に書き込まれて、壮大かつ緻密な歴史小説に仕上がっていました。
日本が下手な戦争をしてしまったことによる悲劇であることは間違いないけど、それにしてもソ連、えげつない。未だにプーチンみたいなやつが大統領をやってる国だからなー。
◆FIND 警察庁特捜地域潜入班・鳴瀬清花 (角川ホラー文庫)
うーん、これがどうしてホラー文庫なのか良くわからない。警察もののミステリーとして読んだ。清花が問題を起こして左遷させるまでは面白かったが、肝心の事件の結末についてはちょっと肩透かしを食らったような。。。
お気に入りのラノベのシリーズを2冊。
◆りゅうおうのおしごと!17.5(白鳥 士郎)
電子書籍限定の「りゅうおうのおしごと!」シリーズ番外編第3弾、サブタイは「天ちゃんのおしごと」、ヒロインは17、18巻でダークヒロインの感があった夜叉神天衣お嬢様。スピンオフではなく本編ストーリーの補強。小学生にしてスーパー経営者のツンデレキャラ、でも本当は師匠想いのいい子なんだよね。このシリーズもあと2巻、天ちゃんはきっちり描き切った感があるので、ラストは八一を巡っての雛鶴あいvs 空銀子展開か。
◆りゅうおうのおしごと! 盤外編1
本編の方は18巻まで来て、シリアスな局面が増えてきているのですが、そう、序盤の頃は確かにこういう感じだった。幼女系のラッキー・ハーレム展開、なつかしいです。18巻と続けて読んだので、ちょっとなーとは思いましたが、面白かったからこれはこれで良し!とします。
第170回直木賞およびその候補作を3冊。
◆八月の御所グラウンド(万城目 学)
万城目さん、直木賞受賞おめでとうございます。ほるもーとか、鹿男とか、トヨトミとか、ラクダ層だとか、コミカルで奇想天外な作品を書く人という印象なんだけど、今回のはかなり抑えめ、東京人の自分からしてみると、まあ、京都ならこれくらいのことは起きるんじゃないと思える作品でした。
◆襷がけの二人(嶋津 輝)
年も育ちも立場も違う女性の友情物語、でしょうか。のほほんと周囲に流されるままだった主人公の千代が、時代に翻弄されつつも成長していく。結婚するも主人とは全くうまくいかず、さりとて興味も努力をしようともしない千代のとろさには少しいらいらさせられた。婚家の女中・初衣との関係、そして思わぬ再開、ほのぼのとさせられました。
◆ラウリ・クースクを探して(宮内 悠介)
エストニアという、日本人にはほとんどなじみのない国を舞台にした作品、この国がIT先進国ということすら知らなかった。「これ、ノンフィクション?」みたいな感じで話が進むが、読み終わってみれば歴史に翻弄された少年少女3人の、それでもつながった友情の物語。舞台設定が特殊すぎてちょっとお惑いましたが、よいお話でした。
ミステリーを3冊。
◆エレファントヘッド(白井 智之)
一昨年の「名探偵のいけにえ」に続き、白井さんの作品にしてはグロさやや控えめ。犯行の動機とかは二の次の特殊条件下の本格ミステリーなのだが、相互に影響する並行世界?その特殊条件ってのがどうにもぶっとび過ぎて、なかなか理解が追い付けない。グロすぎる白井さんも苦手だが、これはこれで結構苦手だったかも。
昨年の「本格ミステリ」第一位作品!確かにすごいことはすごかった。評価が割れる作品と思います。
◆でぃすぺる(今村 昌弘)
ゾンビとか巨人とか、奇想天外なクローズドサークルの館ものを得意とする作家さんかと思っていましたが、今回はまた芸風一変のジュブナイル・ホラー・ミステリー。小6の3人が協力して真相に迫り、最後は圧巻のどんでん返し、否定的なレビューもあったけど、私は個人的にこういうの、すごく好きです。面白くて一気読みしました。
◆放課後ミステリクラブ 1金魚の泳ぐプール事件(知念実希人)
今年の本屋大賞ノミネート作品ということで手に取ったが、知念さんお得意の医療ものでもない、しかもまさかの児童書。
でもいっちょ前に読者への挑戦状まである本格仕立て。ホームズ役ももちろん小学生、子供にもミステリを読んでほしいという作者のミステリ愛溢れる作品と受け取りました。
◆勿忘草の咲く町で ~安曇野診療記~(夏川 草介)
現役の医師で「神様のカルテ」の著者、夏川草介さんの、「神様、、」同様のほのぼの系医療小説、でもその裏には高齢者医療と医師の過重労働という社会問題がある。高齢者医療については、私も昨年95歳の父を延命をせずに自宅で看取り、一方同い年の義母は認知症を患いながら施設と病院を行ったり来たりしているという、まさにこの小説に描かれている状況。死の尊厳についていろいろと考えされる。医師の過重労働については大阪で研修医が過重労働から鬱状態になり自死する事件があった。どちらも重い問題である。
◆街とその不確かな壁(村上 春樹)
割と最近「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」を読んだところだったので、、、
第一部は「世界の終わりと、、」と構成も内容も似たような展開、ややコミュ症で友達いない系の主人公たちが空想する壁の中の世界の話。第二部はその続編、長じた主人公、こっち側に戻っちゃった主人公が昔の自分みたいに壁の中の世界にあこがれる少年に出会う。
どうなるのか興味津々で、600ページ超も気にならずに読み進められましたが、、うーん、最後は、、結局何が言いたいのかよくわかりませんでした。
◆レーエンデ国物語 月と太陽(多崎 礼)
第2巻から読み始めてしまった。1話完結みたいで特に問題はなかったが、やはり読んでおいた方がよかったんだろうなー。ナーロッパ的な世界を舞台にした壮大な正統派ファンタジー。基本的には生まれも育ちも違う、テッサとルーチェの物語、読みやすいけど、テッサが哀れ、アルトベリ城を攻略したことにより交易路が帝国との断たれ、それはそれでまずいんじゃないのと思ったが、やはりというか、あまりの結末に読後感はもやもや。
◆終わらざる夏 (上・中・下)(浅田 次郎)
ソ連が不可侵条約を一方的に破棄して火事場泥棒的に参戦したことはもちろん知ってたけど、占守島のことは知りませんでした。
時は昭和20年7月、沖縄が陥落してもなお「本土決戦」「一億総玉砕」を唱える軍部。もはや戦局は決し、止められなくなってしまった戦争をどう止めるか、もう少し早く決断できていれば避けられた悲劇は、いろいろあったはずなのに。
精兵が集う千島列島の果ての占守島に送られた、本来であれば応召されないはずの3人、戦後処理の通訳役の片岡、あらくれ輜重兵の鬼熊、うらなり軍医の菊池が辿った数奇な運命、その家族、大本営の吉江参謀や戦車隊の指揮官・大屋などのわき役、や相手のソ連側の兵士の事情も丁寧に書き込まれて、壮大かつ緻密な歴史小説に仕上がっていました。
日本が下手な戦争をしてしまったことによる悲劇であることは間違いないけど、それにしてもソ連、えげつない。未だにプーチンみたいなやつが大統領をやってる国だからなー。
◆FIND 警察庁特捜地域潜入班・鳴瀬清花 (角川ホラー文庫)
うーん、これがどうしてホラー文庫なのか良くわからない。警察もののミステリーとして読んだ。清花が問題を起こして左遷させるまでは面白かったが、肝心の事件の結末についてはちょっと肩透かしを食らったような。。。
お気に入りのラノベのシリーズを2冊。
◆りゅうおうのおしごと!17.5(白鳥 士郎)
電子書籍限定の「りゅうおうのおしごと!」シリーズ番外編第3弾、サブタイは「天ちゃんのおしごと」、ヒロインは17、18巻でダークヒロインの感があった夜叉神天衣お嬢様。スピンオフではなく本編ストーリーの補強。小学生にしてスーパー経営者のツンデレキャラ、でも本当は師匠想いのいい子なんだよね。このシリーズもあと2巻、天ちゃんはきっちり描き切った感があるので、ラストは八一を巡っての雛鶴あいvs 空銀子展開か。
◆りゅうおうのおしごと! 盤外編1
本編の方は18巻まで来て、シリアスな局面が増えてきているのですが、そう、序盤の頃は確かにこういう感じだった。幼女系のラッキー・ハーレム展開、なつかしいです。18巻と続けて読んだので、ちょっとなーとは思いましたが、面白かったからこれはこれで良し!とします。
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