「見つめる愛」 愛の詩 (音楽と詩のハーモニー) Rasin Toru
その子は 人が痛いのは いやだった
その子は 人が痛いのが 見ていられなかった
その子は いつも 何とか しなくちゃ と
独り言を いいながら この リアカー を 押している
その子は 今日も 暑い 炎天下 靴が 壊れて 裸足なんだ
熱いけど もっと 大変な みんなの ことを 考えて
歯 と 歯 の 間に つよく両唇を 切れるように ぎゅーっと 押し込んでいる
肩までもある リアカー を ひとりで
喉が渇いたとも 誰にも 言わず しっかりと 掴み 下を向き
家族の 無事を 念じている こんなに 小さいのに 笑うこともなく
ただ ひたすらに 気を抜かず
家族の 無事を 念じて いるんだよ
木陰で 休憩を して
石ころを 足の親指で はさんで いるとき
石の 隙間から ビー玉 が 一個 でてきた
かがみ込んでいる
今日 はじめて 白い 歯を 見せたよ
きっと 昔 お友達と 遊んだ ことを
思い出したんだね
夕暮れの 空から まってろ よ ぼうや
と しっかり その ぼくを 見つめて いるよ
裸心全通
らしんとおる(裸心全通)