本日2018年10月25日、拘束されていたジャーナリストの安田純平さんが日本に無事帰国されます。
本当にめでたいのですが、心ある専門家が安田さんが「自己責任論」でたたかれるのではないかと危惧されています。
参考記事
伊藤和子弁護士
安田純平さん解放の報。本人を追い詰めるあらゆる対応を控え、心的外傷の治療を最優先すべき
ジャーナリスト志葉玲氏
「安田純平さん解放」の報道を受けてーバッシングは控えて、身代金支払いの可能性は低い
そんな中、こんな暴言を記事にするのがまさに東スポなんですが。
高須院長 安田純平さん“英雄扱い”に反発「まず『恥ずかしながら・・・』と謝りなさい」
この人には敬意ははらえません。
— 高須克弥 (@katsuyatakasu) 2018年10月24日
兵士ではない。兵士ならば敵に媚びる捕虜だ。
出でくるときは定番の作法を守ってほしい。
まず「恥ずかしながら・・・」と謝りなさい。 https://t.co/jolKTVKnpi
シリアで武装勢力に拘束されていたジャーナリストの安田純平さん(44)が解放されたという情報について、高須クリニックの高須克弥院長(73)が24日、ツイッターを更新し「この人には敬意ははらえません」と痛烈な言葉を浴びせた。
高須院長はテレビ朝日の玉川徹氏が安田氏について「敬意を持って出迎えたい」「国民は兵士と同じく彼を英雄として扱うべき」と発言したとのニュースを引用し、「兵士ではない。兵士ならば敵に媚びる捕虜だ」と真逆の意見を展開した。
解放の裏にはカタール、トルコ両国の協力のほか、さまざまな外交ルートを通じての働きかけがあったとされる。「出でくるときは定番の作法を守ってほしい。まず『恥ずかしながら・・・』と謝りなさい」(原文ママ)と高須院長はおかんむりの様子だった。
という状況ですので、以下2016年3月21日に書いた
国民は税金によって自己責任を「前払い」している。さらにジャーナリストは命を市民に捧げているのだ。
近代市民社会の構造を解き明かしたイギリスのジョン・ロックやフランスのジャン・ジャック・ルソーの考え方を社会契約論と言います。
もともと生まれながらにして最高の価値を持ち、天賦の(天が与えた)基本的人権も享有している市民は、しかし一人では生きていけないので一部自分の権利を制限して(納税など)、社会を形成します。
だから、この契約に反して政府が悪逆非道をする場合には、市民には抵抗権があるのです。
さて、現代社会においては、国民には主権者として、また納税者として国家に対して安全を保全するように請求する権利があり、国家には市民を保護する義務があります。
もし、邦人が海外で危難に遭った時には、国家はこれを保護する法的義務があり、これは国際法はもちろん日本の国内法でも様々に規定されています。
つまり、国民は納税の義務も果たしているのですから、海外で拉致などされた場合には、納税者の権利として、国家に対して自分を保護するように要求する権利があるのです。そのために、日本人であることを示すパスポートという制度もあるのです。
さらに、およそジャーナリストが海外の危険な地域にも果敢にチャレンジして現地の実際を報道してくれることは、彼らの報道の自由という基本的人権の発露であるばかりでなく、我々市民の知る権利を保障し、我々が主権者として自分なりの政治的意見を形成することに必要不可欠な行為です。
これは、NPOなどが海外の危険な地域にも果敢にチャレンジして国際貢献をしてくださり、日本に有形無形多くの実りを下さっていることに勝るとも劣らない貢献です。
つまりまとめると、紛争地域に果敢に赴く国際ジャーナリストは、
1 一般市民として納税の義務を先に果たして、納税者の権利を有する
2 自分の命と体を市民社会に捧げている
3 さらに、我々に貴重な情報を与えてくれることで、我々一般市民に多大な貢献をしている
すなわち、彼らは現地に行く前に、そして行くことで、もう義務は前払いしているのです。
彼らが危難に遭遇したときに、国家が彼らを救うのは何重もの意味で現代市民社会の当然の義務なのです。
こういうことも現地に行き、生の体験をしているジャーナリストだからこそ説得力を持って言える。
そして、それが時の政府には都合が悪いのだ。
かつて、イラク戦争を止めに入ろうとして、市民が果敢に渡航して体を張って戦争を阻止しようとしたことがありました。
そのうちの日本人の何人かが現地の武装勢力に拉致され、小泉政権下の日本で嵐のように「自己責任論」が吹き荒れました。
そのとき、このような日本のありさまを見かねて、湾岸戦争の時の軍のトップである統合参謀本部議長で、このイラク戦争当時は国務長官をしており、次の大統領候補とまで言われる人望を誇ったコリン・パウエル米国務長官が、こう話して日本人を諭しました。
「もし誰もリスクを引き受けようとしなかったら、私たちは前に進むことはできなくなる。
彼らのような市民や、リスクを承知でイラクに派遣された自衛隊がいることを、日本の人々はとても誇りに思うべきだ」
「私たちは『あなたはリスクを冒した、あなたのせいだ』とは言えない。彼らを安全に取り戻すためにできる、あらゆることをする義務がある」
3人の方々が戦争阻止のために戦地に赴いたことを、米軍側の最高指揮官だった人が、米軍が今から戦争をしようというときに
「日本の人々はとても誇りに思うべきだ」
と断言したのです。
いまもなお自己責任論を語るあなたたち。恥を知りなさい。
「自己責任論」で誤魔化される「イスラム国」事件を引き起こした安倍政権の失敗
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「自己責任」と「過失責任」は法律学の基礎。自己責任とは「自分のやったことしか責任を負わないこと」
誰が私を「人質」にしたのか―イラク戦争の現場とメディアの虚構 | |
安田 純平 (著) | |
PHP研究所 |
武装勢力に拘束され、「人質」と呼ばれた著者。現場に存在した事実とメディアの虚構が交錯するなかで、彼が見た真実とは何だったのか?
ルポ 戦場出稼ぎ労働者 (集英社新書) | |
安田 純平 (著) | |
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囚われのイラク―混迷の「戦後復興」 | |
安田 純平 (著) | |
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イラクで武装グループに拘束されたジャーナリスト・安田純平は、拘束の3日間に何を体験したのか。つぶさな現地取材をもとに「戦場イラク」の現実を報告する。
安田さんが一言でも安倍政権を批判するようなことを言ったら、日本社会が牙を剥いて「恩知らず」などと犯罪被害者である安田さんを叩きまくりかねない気がします。
これまでも、ネットでは、安田さんが身柄を拘束されるのが二回目だということで「プロ被害者だ」などと心無いことを言う言説があふれているのです。
好き好んで3年4カ月も、それもシリアの武装勢力に囚われる人がいるか!
今、まさに日本人の尊厳が問われています。
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安田純平さん名乗る男性の動画を公開 ヌスラ戦線が拘束か(発言全文)
2015年6月に内戦下のシリアに入国した後、行方不明になったとみられるフリージャーナリストの安田純平さん(42)と名乗る男性の動画が3月16日、Facebook上に投稿された。男性は、家族への思いを語った後、日本政府を念頭に対応を求めるような発言をした。毎日新聞などが報じた。
男性は「Hello, I am Junpei Yasuda.(こんにちは、私は安田純平です)」と名乗った上で、英語で「今日は3月16日は私の誕生日で、彼らから『メッセージを送っていい』と言われた」などと語った。確認できた映像の長さは約1分7秒の長さで、男性は、机の上に置いた紙を見ながら、紙に書かれているとみられる文章を読む形で話している。
男性が語った内容の日本語訳は以下の通り。
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こんにちは。私はジュンペイ・ヤスダです。そして、今日は私の誕生日、3月16日です。
彼ら(拘束しているグループとみられる)が、話したいと思うことを話していいと言い、これ(映像)を通して、誰にでもメッセージを送れると言いました。
私の妻、父、母、兄弟、愛しています。いつもあなたたちのことを考えています。あなたたちとハグし、話したいです。でも、もうできません。ただ、気をつけてと言うしかできません。
私の42年の人生はおおむね良いものでした。とくに、この8年間はとても楽しかったです。
私の国に何かを言わなければなりません。痛みで苦しみながら暗い部屋に座っている間、誰も反応しない。誰も気にとめていない。気づかれもしない。存在せず、誰も世話をしない。
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■ヌスラ戦線が拘束か
NHKニュースによると、映像を公開したシリア人の男性は「安田さんはアルカイダ系の武装組織ヌスラ戦線に拘束されており、映像は解放に向けた仲介役を務めている人物から16日に入手した」と話したうえで、映像がどこでどのような状況で撮影されたのかについては「分からない」と語ったという。共同通信によると、ヌスラ戦線は日本側に身代金を要求する姿勢だという。
岸田文雄・外務大臣は午前7時ごろ外務省で記者団に対し、「映像は承知しており、その映像の分析を行っているところだ。政府にとって日本人の安全確保は重大な責務であり、情報網を駆使して対応している」とコメントした。
■ フリージャーナリスト・安田純平さん
安田さんは埼玉県出身、一橋大学卒。1997年に信濃毎日新聞記者となり、2003年1月に退職してフリージャーナリストに転身した。2004年、外務省の退避勧告が出ているイラクで取材中に武装勢力に拘束され、3日後に解放された。その際には「自己責任」と批判的な声も出たが、その後も何度もイラクやシリアを取材してきた。著書に「囚われのイラク」(現代人文社)などがある。
安田さんは2015年6月、シリア内戦を取材するためトルコからシリア北西部に越境。しかし、予定していた7月を過ぎても帰国していなかった。
国境なき記者団が12月に得た情報によると、安田さんは7月前半にシリア入国直後、国際テロ組織アルカイダ系の「ヌスラ戦線」支配地域で拉致され、現在も拘束されているという。過激派組織IS(イスラム国)に殺害映像が公開された国際ジャーナリストの後藤健二さんに関する取材などが目的だったとみられるという
記者狙い営利誘拐横行…トルコ・シリア国境
毎日新聞2016年3月18日 19時40分(最終更新 3月18日 23時31分)
【カイロ秋山信一】内戦下のシリアでジャーナリストの安田純平さん(42)が行方不明になった事件で、安田さんと共にトルコから密入国したブローカーの周辺者が安田さんの拘束への関与を認めていたことが、関係者の証言で分かった。トルコ・シリア国境は密入国・密輸業者が暗躍、営利目的の誘拐など闇ビジネスがはびこる温床となっている。
安田さんの知人のシリア人男性によると、安田さんは昨年6月下旬、男性から紹介されたブローカーと共にシリア北西部イドリブ県に密入国した。平常時は国境検問所を通過するが、イスラム過激派への外国人戦闘員の流入などを阻止するためにトルコ政府が国境管理を厳格化していたため、密入国を選んだという。
地元住民によると、イドリブ県は昨年春以降、国際テロ組織アルカイダ系の「ヌスラ戦線」や反体制派の連合軍が実効支配し、複数の武装勢力が要所に検問所を設置している。通過料名目で現金を徴収されるケースもある。また、身代金目的で記者や人道支援関係者の誘拐を狙う武装勢力や犯罪者集団も存在する。
そのため、外国人記者らが密入国する場合、土地勘があるガイドや武装勢力から通過許可を得るためのブローカーが必要になる。安田さんは知人男性から危険を理由に同行を断られ、ガイドを兼ねるブローカーに依頼したとみられる。こうした経緯は、過激派組織「イスラム国」(IS)に昨年殺害されたジャーナリストの後藤健二さん(当時47歳)のケースと似ている。
だがブローカーは入国当日、「安田さんがヌスラ戦線に拘束された」と男性に電話で連絡。不審に思った男性がブローカーを問いただしたところ、犯行グループの一員の男がブローカーの親族の知人であることが判明した。ブローカー自身の関与は不明だが、安田さんの情報が犯行グループ側に漏れていた可能性もある。
16日に公開された安田さんを名乗る男性の動画では、犯行グループの正体や要求内容は明らかになっていない。
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ジャーナリストになった後に政府が危険としている場所に行く選択
全て、この男の選択。
政府が危険と判断している場所に勝手にに行き、捕まったから助けて下さい。
いや、まぁ助けるよ?助けるけど
助ける為に外交筋を使ってやっとの事で助かった。当然、そこには金銭的な物も必要だっただろう。
国民は納税してるから助けて当然?
でも、大多数の人はそんな人の為に必要じゃなかったはずの税金を使用されてる訳。
なら、まずは国民の皆に迷惑を掛けてるんだし謝って然るべき。
それを何故英雄扱いするんだ?
勝手に行って勝手に捕まっといて。
これが仮に政府関係者からの依頼であったり、日本国民の世論として行くべきだとなった中行っていたら英雄扱いもして良いとは思うがね。
だから、一部のくだらないジャーナリストさん達の中だけで英雄扱いしとけば良い。それをいちいち国民にも求めるってのがそもそも烏滸がましいですね。
https://blog.goo.ne.jp/raymiyatake/e/8d90141ce68e91aac1883756a75210b9
それだけナチスが好きならスキンヘッドデマ飛ばし脚本家とコンビ組んでドイツにでも行ってお説を捲し立てればよろしかろうwww
ただ問題なのはこの国の問答無用的な感覚というか習慣というか、とにかく世間にはおかげさまでを示して当たり前みたいなアレですな。
一応わかっているつもりであっても『改めて指摘されてみて』ようやく頭(理屈)と心(情)
が直結するってことも案外あるものやもしれないのではないか?
ましてやこんな状況で公の前で語るような展開になれば『頭を垂れておかげさま』とやるのが
日本人の常識だって思い込む、思考停止状態になるのがたいていなんじゃなかろうか?
コメントタイトルはそんな思いからつけたものです。
ちなみに私は英雄だの勇士だのと安田さんを評価する気はない。
こうしたことも含めてジャーナリストは肝を据えて働くものなのだと尊敬し直したところ。
官邸から寿司をおごってもらったり民間なのに
官報みたいにふるまう(安倍によればノビノビとだけど)奴らをジャーナリスト扱いすることには合点はいかないけどね。
「身代金が払われた」
のであるならば、払ったのが日本だろうがカタールだろうが手放しに喜ぶのではなく、人間ならばやはり以下も考えなければいけないだろうなと思います。
・そのお金で更に武器を増やされる
・味を占められ再度類似案件が増える可能性
増やした武器で殺される人が日本人でなくとも、
再度身代金目的で拉致される人が日本人でなくとも、
1人1人が自分できちんと考えるべき問題だと思います。
2015年4月3日
パスポ-ト没収し、行かせないようにしようとする日本政府に対し「自己責任なのだから口や手を出すな」と徹底批判しないといかん。 と発信してません?
自己責任と言われても当然との覚悟を持っていたわけですから 甘んじて受けるべきだと思う
PTSDを助長するとかで批判をかわそうと周りに守られることのほうが逆に恥ずかしいと思うよ
結果、ゲリラ達に大金が渡ったのなら尚更 しっかり受け止めるべきでしょう
自分の言葉に責任を持ってもらいたい
ちなみに戦場カメラマンの渡部陽一さんの戦場取材の掟によると
自分の身を護ることに最大限の注意を払いお金もかける。捕まるやつはジャ-ナリスト失格! だそうです
もしも この方に起きたことなら きっと自己責任だと潔く謝るのではないですかね
渡った身代金がどのようなことに使われるかは当然考えるでしょうから
助かって良かったと思うことは当然の感情で、それとは切り離して考えることだと思う
これが日本の現実です
バッシングをする人は、アベ信者にしても、いつまでもアベの世が続くと思っているように、此の地の我々と彼の地の戦火に苦しむ人々、いつ立場が逆転するかもしれないという想像力が全くない人だと思います。
2: (新規)似非ジャーナリスト(御用記者)渡部陽一
3: (新規)あらしふぁん(エブリワンblogの固定ハンドルネーム)
これからもこのリストは定期的に追加して載せていきますので、宮武さん、迷惑かもですがよろしくお願いします。
m(__)m