自民党の教育再生実行本部は、「自虐史観にとらわれたり、尖閣諸島の記述がない教科書がある」などとして、教科書検定の在り方などを定める「教科書法」の 制定を目指す提言を取りまとめました。特に近現代史について、「学説が確定しない事項は確定的に記述をしない」などとしていて、政府が教科書の歴史認識に 踏み込みかねない内容となっています。
2013年5月28日には、教科書検定の見直しを検討している同部会が、教科書出版会社の社長らから編集方針などを聴いた。教科書の記述内容をめぐり、南京事件や慰安婦問題などの質疑がなされました。
「南京事件の犠牲者数は事件自体がなかったという説も含めてさまざまある。なぜ、『十数万人』や『30万人』という説しか紹介しないのか」「慰安婦について、旧日本軍の強制性をうかがわせる表現が強い」
などと教科書会社を詰問したそうです。
さらに、「教科書検定の在り方特別部会」(主査・萩生田光一総裁特別補佐)は6月12日、一部の歴史教科書に見られる偏向的な記述を是正するため、教科書の記述や検定制度の在り方を包括的に示す「教科書法」(仮称)の制定を検討していくことを決めました。同部会は月内に、これまでの議論で決定した内容を「中間とりまとめ案」として安倍晋三首相に提出します。
教科書の「偏向」を政治家が「正せ」ば、時の政権に都合のいいものにかえって変更させられるに決まっています。学術的に確定していないなどというお題目も同じです。鎌倉幕府樹立だってもう「いい国つくろう」じゃなくなったのですから、その時々の学問で到達したものを載せるべきで、教科書の内容を貧困にするのにする口実にするべきではないのです。
これまで、教科書検定についても、執筆者らの表現の自由を侵害する検閲ではないか、だとか、教育の自由を侵害するものではないかと問題にされ、いくつもの大訴訟に発展してきました。その中で、教科書検定が違憲だという一審判決が出たり、最高裁判決では違憲とまではしないまでも、違法だと確定した検定もいくつも出ています。
それが、今度はできた教科書の検定どころか、最初から教科書法です。これでは、戦前の国定教科書と同じです。
そもそも、教育内容を決定する権利は国にあるのではありません。自らの子どもたちを育てる親にその第一次的な権利があるはずです。国が教科書会社を呼びつけたり、法律で尖閣諸島のことを書けとか、「慰安婦」のことを書くなというのは、全体主義国家と同じではないですか。
国家権力が教育内容を直接決めるのでは、ファシズムと全く同じです。絶対に反対しないととんでもないことになります。
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憲法違反・法律違反だらけの大阪維新の会「教育基本条例」案 教育に本当に必要な「基本」は・・・
こんなことが、しれっと行なわれていることに愕然としました。
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「教科書法」制定を検討 自民部会、自虐史観を問題視
自民党教育再生実行本部の「教科書検定の在り方特別部会」(主査・萩生田光一総裁特別補佐)は12日、一部の歴史教科書に見られる偏向的な記述を是正するため、教科書の記述や検定制度の在り方を包括的に示す「教科書法」(仮称)の制定を検討していくことを決めた。同部会は月内に、これまでの議論で決定した内容を「中間とりまとめ案」として安倍晋三首相に提出する。
中間とりまとめ案は「自虐史観に立つなど、多くの教科書に問題となる記述がある」と指摘。さらに、定説がない歴史上の出来事を確定的に記述しないことや、諸説ある事項は多数説と少数説をバランスよく扱うことなどを求めており、同日の部会で了承された。
萩生田氏は、「何を教えてほしいかを明確に教科書会社に伝達し、それにのっとった教科書を作ってもらうようにしたい」と記者団に説明した。
同部会が教科書法の制定を検討する背景には、現行の教科書検定制度では、出所や出典を示せば事実関係が不確かな南京事件の犠牲者数も通過させている実態がある。これにより、中国側が主張する「30万人説」も教科書記述として独り歩きしている。
同部会は5月末に東京書籍など教科書会社3社の社長らを呼んで編集方針や歴史記述について意見聴取。教科書記述で中国や韓国などアジア諸国に配慮するよう求める「近隣諸国条項」についても政府に見直しを求めている。
教科書検定の見直しを検討している自民党の部会が28日、教科書出版会社の社長らから編集方針などを聴いた。教科書の記述内容をめぐり、南京事件や慰安婦問題などの質疑が続いた。党側は「出版社に圧力をかける考えはない」と説明している。
■慰安婦記述など問題視
「教育基本法や学習指導要領が変わり、教科書の記述が変わると期待したが、そうなっていない。より良い教科書を作るために考えを聞かせていただきたい」
部会主査の萩生田光一衆院議員のあいさつから質疑応答が始まった。出席したのは、東京書籍、実教出版、教育出版の社長や編集責任者ら。党によると、発行部数が多い主な社に要請し、3社が出席。自民党国会議員約45人も参加した。
教科書検定をめぐっては、安倍晋三首相が4月に国会で「検定基準に教育基本法の精神が生かされていない」などと答弁し、制度見直しを示唆。この後、党内に部会が設けられ、識者から意見を聴くなどして検討が続いている。
「南京事件の犠牲者数は事件自体がなかったという説も含めてさまざまある。なぜ、『十数万人』や『30万人』という説しか紹介しないのか」「慰安婦について、旧日本軍の強制性をうかがわせる表現が強い」
部会幹部などによると、この日の会合は非公開で約1時間20分続き、そうした質問が議員から相次いだという。竹島などの領土問題、原発稼働の是非に関する記述についても「経緯の説明が足りない」「偏っている」などの意見が出た。
出版社側は、「学習指導要領にのっとった記述をし、検定も通っている」「学説の状況から『定説』と考えられる事柄を記述している。執筆者も専門的な知識とバランスを備えた人を選んでいる」などと説明。3社幹部らは会合後の取材に対し、一様に硬い表情で「ノーコメント」などと言葉少なだった。
「指導要領の範囲を狭めれば、記述も正せるのではないかと感じた」。萩生田氏は会合後、報道陣にそう感想を話した。
自民党がとくに問題視するのは、日中戦争や太平洋戦争などをめぐる「自虐史観」と呼ぶ記述。犠牲者数をめぐって諸説ある南京事件などを念頭に、「学説で確定したこと以外は本文に記述しない」などの項目を参院選公約に盛り込む検討をしている。検定基準の中でアジア諸国への配慮を義務づけた「近隣諸国条項」の廃止も掲げる方針だ。
部会は、参院選前に中間まとめを安倍首相に出す予定。各教育委員会による教科書の選択や、検定をする委員の選び方などにも言及するとみられる。(岡雄一郎)
朝日新聞 2013年05月30日09時19分
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これだけでも自民党の異常ぶりが分かろうというものです。
自民党が目指す“美しい国”とは、“至尊にして侵すべからざる”天皇を元首に頂く神道原理主義国家です。
TVニュース等での報道を見たことがないが・・・これも右傾化かと危惧する。
「道徳」の「教科化」も企んでいるらしいがとんでもないことだ。
「天皇陛下万歳」を強制される世の中など「まっぴらゴメン」だ!!!!
確かに、一義的には親に決めてもらうということが理想と考えます。ただ、現状は自虐史観(先生はこの表現は嫌いかとは思いますが)に基づいた教科書しかなく少しでもそこから離れた教科書を作ると非難の大合唱をする団体(日教組等)が多く選べる状況に無いと思います。いろいろな教科書を作り(右から左まで)そこから選べるシステムを作る必要があると考えます。しかしながらこのシステムを作り親に選んでもらうと先生方の考えとは違い右よりな教科書が選ばれると現在の社会状況から見ると私は思います。
こういう論法だと「自由」や「多様性」の承認を通じて、「天動説」や「創造説」のような捏造や歪曲の存在権利まで保障しなければならないことになってしまいます。
歴史修正主義の人道の罪には、表現の自由などありません。あれは、厳格にはヘイトクライムなのですから。
もっとも、手元に現物がないので、具体的な指摘はできませんが。
ASさま
簡単に調べただけですが、石井郁子さんの「侵略戦争美化の歴史教科書の検定合格を認めた政府の責任は重大」という談話は共産党による教科書の批判ではないのですか?
一方、自民党は憲法を変える政党だそうで…自民党は国民では…
日本国国民たるもの、今上陛下のもと、先帝陛下によって改正発布されし日本国憲法に仇なす国賊を(以下略)。
さて、
1.法律の素人ですが、この件、劣化した教育基本法にある「法令」にしたがっているのでしょうか?
2.自虐史観て、(ガラパゴス自民党とその類以外で)確定した学説にある用語なんでしょうか?
1.日本の教育をガラパゴス化し、2.国際的に通用する人材を絶滅させ、3.日本の経済と外交を破綻させるつもりのようですね、ガラパゴス自民党は。英訳は、パーティ、オヴ、リバティ、フリーが良いと思います。
・性について話し合ってみませんか
http://shinfujin.gr.jp/category/1_kodomo/kodomo_archive/edu_07_03_15_kodomo.html
・いのちが生まれるということ
http://miyoko-diary.cocolog-nifty.com/blog/2007/05/post_6cb5.html
・カテゴリー -性教育-
http://miyoko-diary.cocolog-nifty.com/blog/cat7098204/index.html
ときに、「親に」という部分で気になったのですが、皆さんは性教育と家庭科について、どう思われてきましたか?
自民党は今回も児童ポルノ法案(という体の表現・言論・思想規制の足がかり)を持ち出してきたのですが、
政策にかかわる人達の性教育と家庭科へ対する意識の低さ、七尾養護学校の時のような性教育バッシングも含めて、
誤った知識に惑わされない、鵜呑みにしないようにするための学習の場を奪い続けてきた事には、今もって反省が見られないようです。
児童を守る為と謳われた法が児童を守らず、人権や尊厳を鼻で笑う人達に期待できる分野ではないのかもしれませんが。。
上に紹介した中でも言われてるように、
性にまつわる誤った知識を鵜呑みにしないように防止・自衛する事、異性への配慮といった事は、表現の規制や排除で対応できる物ではなく。
そのままずばり、性教育と家庭科で学ばせる事が早道なんですよね。
親に、も確かに正しいのですが、その親の知識が正しいとも限らない。
そうなると、ネットやゴニョゴニョして手にした雑誌やコミックの情報に頼るしかなく。
歴史や他の科目も、今の政府に任せられるか怪しいですが。
性教育と家庭科に目を向け充実させようとする意志が無いのであれば、結局は「失策」だと思います。
・性に限らず、親がいままで隠したいと思っていたことも全て(離婚の原因、家計、身内の病状、身内の自殺とその事情、なども)、子供にきちんと説明すべき。子が何歳になってから、というより、最初から説明しておくべき(離婚などはその当初。性などは、たとえば、赤子の起源や、男女の性器の違いの理由、など聞いてきたときがチャンスかも)。子供は説明されないことには不安になったり、罪悪感を持ったりする(そのことは悪いことだから僕に言ってくれないんだ、性感を感じることは悪いことなのだ・・、僕がいたから親は離婚したのだetcと思ってしまう)から。また、性の好奇心こそ好奇心の始まりであり、その探索を大切にすることが、いろんな他の探索にもためらいなく、知性を伸ばせて行けるだろうから。
・「おちんちん」などではなく陰茎、ペニス、と言った大人の用語、科学的用語を使って説明する。それで、性が自分に特殊でなくと世に認められたことなのだ、とわかる。また、もし、言葉で説明されないならば、性を自分のコントロール下に置きにくくもなるから。子供がどうできるか、性器の結合、性の快感の存在なども、きちんと説明すべき。
・親との性関係や結婚はありえないことを説明すべき。一般に親とべたべたさせない。例えば、お母さんと結婚したいという男の子に、「私はあなたのお父さんと結婚したからだめ、あなたの世代の人としなさい」と伝える。母と父が、子と違う世代であり、子のたち入れない関係であることを見せておくべき(川の字になって寝たり、スキンシップをしたりはよくない。→近親相姦の願望を保たせてしまうから)。子中心の教育も良くない、父母同士がおかあさん、おとうさんと呼び合ってしまうのもよくない(親が、子供と同じ兄弟レベルに落ちて、男の子にとっては、父は兄程度であって、母を自分が奪えると思ってしまう)。こういうことをすること自身がひずんだ性(自他の距離が取れず相手を性の道具としてのみ使ってしまうなど)を生じさせてしまう。
・性を語るときは、加えて、父母のなりそめ、やそのおりの心情的なものも語る。家系の色んな歴史を語る。そのことで、子も、愛というものを考え、また、自分の起源についてもいろいろ考える機会になる。加えて、家計のことや、親の仕事のことも包み隠さず語って、自分が生きるには背景にこういう苦労があるのだ、ともわかると、無責任に性に放逸となり、子を作ってしまうことに対するコントロールもきくようになる。
・男らしさ、女らしさ、は性教育とは別のことであり、これを求めてはいけない。らしさ、というのはその時代や、他者の美意識の「要求」であって、「形」であり、子において思考停止を導きやすい。言葉でいろいろ考えられることが他者配慮、自己コントロールの基本だから、「らしさ」や「かたち」にあまりに価値を置き、それを先行さてしまうことは、ひずんだ性、衝動的な性を生じさせてしまう。
・できれば男の性は男親が教える(いなければおじさんetc)、女の性は女親が教える。そうでないと、たとえば、母が男の性機能まで知っているとなると、子供において、性別というものの混乱が生じてしまう、とか、母(や父)が全能であると思ってしまって、人というものを等身大に見れなくなる。
・児童ポルノ禁止法に関して:アニメが犯罪助長的かどうか、という話がありますが、犯罪者における問題は、アニメの存在自身でなく、”現実と幻想の区別のできなさ”や、”他者(ここでは子供)を、自分の快楽の為に好き勝手使えると思ってしまう、他者に対する尊重の無さ”でしょう。こういう現実と幻想の区別、他者への尊重は、むしろ、「この価値が絶対!」と思考停止を強要されるのでなく、いろんなことをつつみかくさず言葉で説明され、どこまでも全てを疑いいろいろ考えることを許されることで形成されるのだと思います。というのは、そうしてこそ、「世の中にはまだまだわからない謎がある」、「自分を超えた現実というものがある」とわかってくると思うのですが、これこそが、幻想と現実の区別をうながし、また、自分には計り知れぬ他人の考えと言うものがあるとわかり、他者を独立存在として尊重できるところへ通じるのだと考えられるからです。そう考えると、まさに、児童ポルノ禁止法のような、アニメを描いてもうっかり裸体を描かないようにと自分の思考を見張らせてしまい自由な思考の流れを阻害するような法とか、すでにある美意識の押しつけで思考停止的な画一的道徳をすすめるような自民の方向性こそが、まさに犯罪助長的な危険をはらむもの、と言っていいかも知れません。そもそも、そういうこと以前に、性的アニメ所持時点で処罰というのには、飲酒運転事故の予防に酒の所持者全てを処罰すると言うような、先制攻撃的な、反倫理性を感じるところではありますが。
学校でも、同様に、性についてすべてを説明する、ということが大切だと思います。
学校や家が、どちらかに任せてしまう、ということはよくないと考えます。
是非、安倍氏には、占領軍の意向の下、唯々諾々と首相になった岸信介氏を批判してほしいものです。岸氏の身内や自民党から抗議が寄せられても知りませんが。