ゆうわファミリーカウンセリング新潟 (じーじ臨床心理士・赤坂正人)     

こころと暮らしの困りごと・悩みごと相談で、じーじ臨床心理士が公園カウンセリングや訪問カウンセリングなどをやっています。

河合隼雄・村上春樹『村上春樹、河合隼雄に会いに行く』1996・岩波書店-こころと魂を語る

2024年07月17日 | ユング心理学に学ぶ

 たぶん2016年ころのブログです

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 先日、河合隼雄さんと吉本ばななさんの対談を読んで面白かったので、こんどは河合隼雄さんと村上春樹さんの対談である河合隼雄・村上春樹『村上春樹、河合隼雄に会いに行く』(1996・岩波書店)を久しぶりに読んでみました。

 先の河合隼雄さんと吉本ばななさんの対談の中で、ばななさんがこの本を挙げて、春樹さんがめずらしく子どものよう、と言わしめた本です。

 1996年の発行で20年以上も前の本ですが、この本は何回読んでも古さを感じさせずに、いつもたくさんの刺激を受けます(しかも、今回気づいたのですが、発行元がなんとあの岩波書店なんですね。村上さんの本で岩波から出ているのはこの本くらいではないでしょうか)。  

 じーじにとってもとても大切な本で、愛読書の一冊です。

 何回も読んでいるので、付箋とアンダーラインでたいへんなことになってる本ですが、さすが岩波書店、小ぶりな造本にもかからず、しっかりとした造りで、今も読みやすさを保ってくれています。

 もの忘れがひどくなっているじーじにはめずらしく、ところどころ覚えている箇所もあって、懐かしく読み進めました。

 今回印象に残った一つめは、河合さんの発言で、心理療法において、言いたくないことは言わなくていい自由を保証をすることの大切さ。

 このところ、他の臨床家の本でも同じようなことを読んでいて、とても重要だなと思いました。

 二つめは、現代の人々は素朴で稚拙な「物語」を求めがちである、というお二人の指摘。

 毎日のニュースを読んでいると、頷けます。

 三つめは、深くていい小説や物語は、書き手の意図を超える、という村上さんの発言。

 ご自分でも「どんな意味が秘められているのかわからない」とおっしゃり、河合さんも同意されます。

 四つめは、安易な暴力否定の中に潜む根深い暴力性の問題。

 オウムや戦争の現象を見て、お二人は憂います。

 この他にも、興味深いお話が満載です。

 よろしければ、ご一読ください。     (2016?記)

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 2020年11月の追記です

 稚拙な物語を求める、というところで、じーじは昨今の、go to なんとか、を連想しました。

 政府によるあやしい大義名分、安ければいいという国民、しかも、それを税金から…。ひどいもんです。     (2020. 11 記)

 

 

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写真文化首都・東川町編『東川町ものがたり-町の「人」があなたを魅了する』2016・新評論

2024年07月17日 | 北海道を読む

 2016年のブログです

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 夏休みで北海道に来ています。

 東川町に滞在しています。

 北海道に来るといくつかの楽しみがありますが、地元の本屋さんで地元関連の本を探すのもその一つ。

 今回は今のところ、瀬川拓郎『アイヌと縄文-もうひとつの日本の歴史』(2016・ちくま新書)と玉村正敏・小島敏明・吉田真緒『東川スタイル-人口8000人のまちが共創する未来の価値基準』(2016・産学社)と本書の3冊を買いました。

 本書は東川町が作った本ですが、出版社のアドバイスもいいのか、お役所くさくなく、とても面白く、読みやすく、魅力的な本です。

 東川町は「三つの道がない」ことを自認している町で、つまり、国道、鉄道、水道がない田舎の小さな町なのですが、そのかわりに、大雪山からの豊富な湧き水と町内どこからでも見える大雪山の美しい姿がすてきなところです。

 天然のミネラルウォーターを毎日、どこでも飲めるというなんとも贅沢な町です。

 最近は写真甲子園でも有名になってきましたが、木工をはじめとして芸術面での関心も高く、また、町立の日本語学校などもあって、文化的な香りもする町です。

 朝夕の散歩をするだけでも、きれいな空気と美しい景色が楽しめ、体にもこころにもよさそうな気がします。

 いつかはこんな素敵なところで老後をのんびりと過ごしたいなと思わせるようなところです。

 今年も短い滞在ですが、リフレッシュをしていきたいと思います。        (2016.8 記)

 

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