2011年のブログです
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河合俊雄さんの『村上春樹の「物語」-夢テキストとして読み解く』(2011・新潮社)を読みました。
面白かったです。
難しかったですけど…(河合さんの伝えたいことの2割くらいは理解できたかなあ?)。
印象に残ったのは「物語の力」ということ。
俊雄さんのお父さんの河合隼雄さんがどこかで、人はみな自分の人生の物語を書いている、というような趣旨のことを言われていたと思うのですが、本当にそう思います。
我々は小説までは書けないけれど、自分の人生は書いているのだと思います。
しかし、たいていは思うようには書けないし、思ってもみない悲しい物語や厭な物語になってしまうのかもしれません。
でも、物語は書き換えることが可能なようです。
村上春樹さんの小説を読むとそう感じますし、今回、河合俊雄さんのこの本を読んでますますそう思いました。
良い小説、物語とはそういうものなのでしょう。
そして、心理療法もおそらく同じような作業ではないかと思います。
悲しい物語や厭な物語で苦しんでいるクライエントさんと一緒に、その人に何か他の物語がないのか、ゆっくりと検討をする作業ではないかと思います。
カウンセラーは直接、クライエントさんの他の物語を見つけることはできませんが、クライエントさんが他の物語を見つけるプロセスのお手伝いはできそうに思います。
少なくとも今後、そういう訓練を続けていきたいなと思いました。 (2011 記)
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2020年5月の追記です
物語の書き換え、といっても、なかなか難しいことだと思うのですが、精神分析では、反復の問題に注目します。
人生の反復に気づくと、少しは何かが違ってくるのかもしれません。 (2020.5 記)
辛い時は、辛いことばかりで頭はいっぱい。
心も疲弊してしまいがち。
しかし楽しい思い出も、1つや2つ、きっとある筈。
それを思い出せば、精神も復活を遂げる手助けとなる!
ということでしょうか。
今、子供の頃の読書体験を振り返りつつ、自分を見詰め直している最中です。
ドンピシャな感じで勉強になりました。
本当にそんなふうに感じます。
余裕がない時に、違った視点から見てくれる人がいることは、とても大切ではないかと思います。
できれば、そんな存在の一人になりたいのですが…。