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野沢尚『反乱のボヤージュ』2004・集英社文庫-古びた学生寮の取り壊しをめぐる人間模様

2024年12月12日 | 小説を読む

 2021年12月のブログです

     *

 野沢尚さんの『反乱のボヤージュ』(2004・集英社文庫)を読む。

 すごく久しぶり。

 当然、内容は全く忘れていて、若者小説なので、あまり期待しないで読み始めたが(野沢さん、ごめんなさい)、これがすごい面白い。

 じーじの中で、今年のベスト3に入りそう。

 ある大学の、古びた学生寮の取り壊しをめぐる人間模様。

 例によって、あらすじは控えるが、自治会の学生、ノンポリの学生、運動部、応援団、途中から加わる舎監、などなどの中で、主人公の成長が描かれる。

 ノンポリの学生も、みんな、さまざまな事情を抱えていて、それを描く野沢さんの筆はすごい。

 そして、温かい。

 それが単に甘いだけでなく、生きる切実さを伴っているので、深く、哀しい。

 なかなか深い良質の小説だ。

 以前、読んだ時には、ひょっとすると、この深さがよくわからなかったのかもしれない。反省。

 しかし、この年になってでも、こういう良さを味わえたことは幸せだ思う。

 うっかりもののじーじゆえ、こういう読み落としもきっとたくさんあるに違いない。

 謙虚に読書と勉強に励みたい。        (2021.12 記)

 


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