弁理士『三色眼鏡』の業務日誌     ~大海原編~

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【知財記事(著作権?)】書いた覚えのない小説

2025年02月27日 08時48分52秒 | 知財記事コメント

おはようございます!

今日も今日とて改正快晴の@湘南地方です。

 

日に日に気温が上がってきておりますね。春はもう間近…なのかな。

 

さて、今日はこんな記事

 

(中日スポーツより引用)

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吉本ばななさん、「こんな本書いてない、とんでもない」 自身の名前入り『偽書籍』Kindleで一時販売… ユーザー衝撃「そんなことが?!」

 

小説家の吉本ばななさんが26日、自身の公式Xを更新。自身の名前が著作者とされている”偽”の本の存在を訴えた。

25日、「私はこんな本書いてないのでもちろん法的に訴えますが、読者のみなさん間違えて買わないでください。とんでもないことです」とXで投稿。「世界には時間がない:時間のない世界 時間なき世界」というタイトルで、カラフルな森を少女らが歩く幻想的なイラストが装丁の本が紹介されているAmazonサイトのリンクを添付した。
 さらに「Amazonは全く対応してくれません!」「カスタマーサービスでは対応不可能だということで、もう一段上のKindleの著作権侵害に関する部署にメールするところまでつないでもらったけど、なんだかアホらしくなってきました」とも嘆いた…。
 その後、26日午前11時台の投稿で、「みなさんのお力もあり、削除されました」と”偽”の本を掲載削除してもらうことに成功したと報告。AIが作ったのではという指摘が寄せられたことに対して「AIを否定する気持ちは全くありません。使う側の問題です」との持論も示した。
(以下略)

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(引用終わり)

 

 

問題は2点。

 

1.他人が自分の名を語って出版その他の発信を行った場合、法的な問題点は?

2.記事によればAmazonは「全く対応してくれません!」な状況だったとのことだったが、どういう手順を踏むのが良いのか?

 

1.について:

 自分の「著作物」を複製されたわけではなく、著作権侵害うんぬんの問題ではなく。

 氏名表示権の問題になるのかなぁ??? ここは疑問。法律上定められているのは

 「著作者は、その著作物の原作品に、…その実名若しくは変名を著作者名として表示し、又は著作者名を表示しないこととする権利を有する。 」

 とあるのみで、他人が自分を語って出版したケースを想定していないように読めるけど。

 また、「作風」を模倣されていた場合であっても、「作風」自体は著作権の保護対象ではないから、少なくとも著作権法上の問題ではない。

 AIを用いて「吉本ばなな風の」作品を作成したのでは…?という話も上がっているが、そうだとしても、具体的にどの作品のこの部分を模倣した、といった点が見当たらなければ著作権侵害を問うことは難しいように思われる。

 

 一方、不正競争防止法上の「著名表示冒用行為」には当たるのかな。

 あとは、刑法上の「詐欺罪」に当たる場合があるのかな。

 

2.について:

 知的財産権の侵害が疑われる出品に対しては「申告窓口」が設けられており、ここから申し入れができる。

 …というより、この窓口からしか事実上申し入れができない。

 本件も、自分の名前を語られたという窮迫危急な状況と対応方法の四角四面通り一遍っぷりとのギャップに

 大層憤りを覚えたことかと思う。

 申告にあたっては代理人をつかっておこなうこともでき、幾分行程がスムーズになると思うので、選択肢として検討してみてほしい。

   


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