Four Season Colors

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読書のよもやま(2023.05.08)

2023-05-08 | 雑文
「熱狂宣言」小松成美(幻冬舎文庫)

外食産業を展開する株式会社ダイヤモンドダ
イニングの創業者である、松村厚久さんの半
生を書いたノンフィクション。

松村厚久さんは存命の方で、現在は株式会社
DDホールディングスの代表取締役社長(グ
ループCEO)であるよう。

一から会社を興し、必死に成長をさせるなか、
39歳の時に若年性パーキンソン病と診断さ
れるも、会社は東証1部上場までに。

謙虚で、礼儀正しく、社員思いで、地元を愛
し、病気にも心は最後まで屈せず、ゆえに、
誰からも愛される。

裏表紙には、「人知れず涙しながらも自分を
鼓舞し、戦い続ける日々を克明に綴る、感動
のノンフィクション。」とある。

賞賛でも批判でもなく、純粋な感想として、
これは、裏表紙にあるように、とても綺麗な
本である。

感動は人それぞれの主観によるから、感動で
きるという評価はしないが、「とても綺麗な
本」であることは間違いがない。

本人は当然に十分に、家族、友人などにもイ
ンタビューを行い、松村厚久とはどのような
人物かを掘り起こす。

結果、そこには完全超人に近いような、ほぼ
聖人のような印象を受ける人物がいる。

ただの読者である自分には、それを否定する
ことは出来ないし、するつもりもないし、実
際に素晴らしい人なのだろう。

松村厚久さんの人となりはよく分かるし、若
年性パーキンソン病に対する今のスタンス、
生き方も当たり前ではない。

恐らく自分も含めて、多くの人は同じように
は、同じくらい前向きに、人生を熱狂はでき
ないだろう。

それでも、読み終えて、ノンフィクションと
して、これですべてか、という物足りなさを
感じた。

それは、この本が、あまりにも「とても綺麗
な本」であるから。

作中にもあるように、このノンフィクション
は、松村厚久さんが著者である小松成美さん
に書籍化を依頼したものである。

自分は多分この本がはじめての小松成美であ
るが、とても優れたノンフィクション作家で
あることは読み終えてわかる。

だからこそだろうか、依頼をされて、無難に
綺麗に完成された本という印象が、どうして
も拭えない。

感動物語としては申し分がないのだろうが、
書かないではいられないノンフィクションの
熱は、まだ、足りなかったのかもしれない。


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