今日の女王サマ

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深紅

2005年11月28日 | 映画&本&音楽&TV
図書館から横山秀夫の「ルパンの消息」が届いたとの連絡があったので、残りわずかだった野沢尚の「深紅」を急いで読み終えました。

野沢尚の作品は「リミット」「眠れぬ夜を抱いて」に続く3作目です。一応、野沢作品はここら辺で区切りかな。「破線のマリス」と「砦なき者」はもう少し経ってから読みたいと思います。野沢さんは亡くなってしまったので、新しい作品はもう望めないのが残念。

「深紅」は小学6年の奏子(かなこ)が、両親と二人の弟を惨殺されたときから始まる物語。自分は修学旅行で家を留守にしていたため唯一の生き残りとなってしまいます。
犯人には奏子と同い年の未歩という娘がいて、物語の後半は20歳になった奏子と未歩を絡ませながら進んでいきます。奏子は犯人の娘がどうやって暮らしているか知りたいという気持ちを抑えることができず、自分の正体を隠したまま未歩に近づき、しまいには未歩の恋人を殺してしまえと煽ることまでしてしまうのですが・・・。

最後まで自分の正体を隠し、郷里に帰る未歩を見送る奏子の胸にあるものはなんでしょう。殺人犯の娘としてただ一人残された未歩と、家族をすべて殺され一人残された奏子は、お互いに孤独な子供時代を過ごしてきたのです。

奏子が感じ取ったのは、自分と未歩は“真逆の立場ながら、理解し合える相手”ということではないでしょうか。
こういう運命でしか巡り会えなかった自分たち。理解し合えるのに関わってはいけない相手。別れの場面はさわやかだが哀切です。

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