8月28日(火)。
実習生のM子です。
この日には、石臼の修理を行いました。
修理前の石臼は軸受が壊れ、粉を挽けない状態でした。
①下臼の中心の穴に詰まっている、「壊れた軸受の撤去」から作業が始まります。
石臼の中心の穴に詰まっているものを取り出すと、錆ついた金属の心棒と、
これを支えていた木製の軸受が出てきました。
心棒は先がとがり、和釘状で木製軸受に打ちつけられていましたが、赤錆にまみれ、
とても使用できる状態ではありませんでした。
②次の行程は「軸受作り」です。
新しい軸受を作り、下臼の穴にはめ込みます。
心棒にはステンレス製のネジを、木材には桧を使い、壊れにくい軸受を目指しました。
心棒は金属用のこぎりを使い、事前に計っておいた長さ(下臼から1.5㎝出る)に切断しました。
桧は必要な分だけ切断し、穴の内径(2.87㎝~3.19㎝)に合わせるために、
角材を鉈と金づちで裂き、それでも足りない部分はノミなどで削り、丸く成形していきました。
資料館の皆さんから多大なる助力を得て、長い時間をかけて進めていきました。
③下臼の穴に木材をあてがいながら成形を進めていき、入ったら完成です。
心棒が中心から若干ずれてしまいましたが、ぴったりとはまる軸受が出来上がりました。
しかし、ここで問題が…。
実際に粉を挽いてみると、手応えがあまり無いことが判明しました。
原因は「心棒が長い」こと。ここで、心棒の長さを調整しました。
心棒を金ヤスリで削り、短くしていきます。
徐々に削っていきましたが、非常に時間が掛りました。
8月30日(木)。
④この日は、「石臼表面の調整」を行いました。
修理が終わった石臼でしたが、実際に粉を挽くと、上手く挽けないことが分かりました。
原因は「下臼の表面が平坦でない」こと。均等に粉が挽けるように、表面の調整をします。
計ってみると、かなり傾きがあることが判明しました。
まずは、チョークで表面を塗り、石臼を空挽きして、当たっている部分を見つけ、
その部分に印を付けます。
そして、出っ張っている部分をサンダーで削ります。
「チョークで印を付ける→削る」この一連の作業を、表面が平坦になるまで繰り返します。
平坦になったことを確認して終了です。
⑤次に「石臼の目立て」を行います。
ノミと金づちを用いて、外側まで溝を作り、目安が出来次第、ノミで削って溝を深くします。
⑥最後に石臼を実際に挽き、米粉を作りました。
最初は力が要るため、手で石臼を掴んで回し、馴れてきたら取っ手を掴んで回します。
完成した米粉がこれです。
○団子作り
石臼で挽いた米粉を使って、団子を作りました。
米粉に水を混ぜ、手で練って、成形します。
団子を茹で、醤油と砂糖で作ったみたらし団子のたれをかけて出来上がりです。
講座にすることを目指して粉を挽き、団子を作りましたが、石臼の粉のようなものが入って
しまいました。講座にするレベルに持っていくには今後の研究が必要、という結論が出ました。
まとめ
私は今回の博物館実習を通し、利用者として来館するだけでは知り得なかった、学芸員として、
博物館職員としての業務がどれほど多くあり、いかに大切かという点に気付く機会を得ました。
また、自分の知識がいかに少ないかという点について、改めて考えさせられました。
特に印象に残っているのが「石臼の修理と表面の調整」で、事前に調べて臨みましたが、
実際に作業してみると、非常に時間がかかり、手間取ってしまいました。事前の研究がどれほ
ど重要かを学びました。今回の石臼の研究のように、自分なりにテーマを設定して、何か一つ
のものを探求していくのも面白いのではないかという発見をしました。
様々な体験をすることができ、非常に勉強になりました。