今年の「フェスタサマーミューザ」(於ミューザ川崎)、
<東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
藤岡艦長が誘う、「惑星」への旅 〜ホルスト生誕150年〜>を聴きに行く。
プログラム:
ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第3番 ニ短調 op. 30
ホルスト:組曲『惑星』op. 32
指揮はサッチーこと藤岡幸夫氏。
ソリストは、務川慧悟さん!
ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第3番 ニ短調 op. 30
ホルスト:組曲『惑星』op. 32
指揮はサッチーこと藤岡幸夫氏。
ソリストは、務川慧悟さん!
サッチーは、憧れの指揮者♥
関西でのお仕事が多いので、なかなかチャンスがなく
ようやくの機会に、ずっとドキドキ期待は高まるばかりだった。
その想いは裏切られず、
サッチーのプレトークから本当に楽しんだ。
そんなマエストロ・サッチーのお話をまとめておきたい。
わたしはラフマニノフのピアノ協奏曲なら、断然2番!
今回は、なんで、3番なのかなぁと、正直ため息をついていた。
ところが、サッチーによると、
2番と3番が人気なのだけれど、近年は3番の人気が高まったのか
演奏回数が多くなっているらしい。
「ぼくは断然3番の方が好き。ソリストの務川くんも3番が好きで
彼の演奏は、すばらしいですよ。」
・・・その通りだった!
実は、わたしの2番好きは中山七里『おやすみラフマニノフ』(宝島社)に
始まり、アンチ3番wは恩田陸『蜜蜂と遠雷』の影響が大きいw
『蜜蜂と遠雷』は、本選前にこんな会話がある。
「ラフコンの3番はピアニストの自意識ダダ漏れの曲」だから
冷静な頭が必要云々。(467頁下)
もちろん務川さんは冷静に盛り上げてくれた♫
おかげで、3番への妙な偏見は消えている。
しかもっ!
「3番」の初演はアメリカ、NY。
ニューヨークフィルでタクトを振ったのは、
なんと若き日のグスタフ・マーラーだったという。
後に大作曲家として知られる彼の若き日は、指揮者だったのだ。
このとき、ラフマニノフの前衛的な新しいコンチェルトに、
団員はぶうぶう・・・
マーラーは、それを静かにたしなめ「傑作だ」と言い切ったそうだ・・・
ラフコンをマーラーが初演する・・・
ああ、そんな時代に居合わせてみたかった・・・
時は1909年、第一次世界大戦の始まる前・・・
世の中が平和だった、古き良き時代かもしれない。
もうひとつ。
グスターヴ・ホルストの「惑星」。
作曲されたのは1914年から1916年だという。
こちらはラフマニノフ3番から、少し後、
第一次世界大戦開戦から戦争中のこと。
本国イギリスで大人気を博すも、
当時は前衛的な音楽がたくさん出た時代・・・
いつしか忘れられていたのだそうだ。
十代の頃、わたしは、この曲を吹奏楽の曲として知り
たちまち魅了された。
同世代のサッチーは、その頃、
「ぼくは、ずっと冨田勲先生の作曲だと思ってました」と、笑う。
1976年冨田勲のシンセサイザー音楽のアルバム「惑星」が発売され
夢中になったのだそうだ。
サッチーによれば、今回、冨田勲盤を聞き直してたところ、
ホルストの原曲を、ものすごく研究していたことが
よくわかるとも続けられた。
冨田勲「惑星」に先立ち、
1961年に、ヘルベルト・フォン・カラヤンが
ベルリンフィルハーモニーで演奏している。
久しぶりの「惑星」の演奏は大評判、レコードも発売され、
ホルストの再評価につながったそうだ。
つまり、冨田勲の「惑星」も、わたしが魅了された吹奏楽の「惑星」も
カラヤンさまの賜物。
もしも、カラヤンが発掘してくれなかったら
平原綾香さんの「ジュピター」も生まれなかったわけだ。
あらためて、カラヤンの偉大さを知る。
サッチーはおっしゃる。
「ぼくらは、『スターウォーズ』も知っているし、
宇宙がどんななのかも知っている。
でも、当時1914年の人たちは、宇宙がどうかなんて想像もできない。
それにあの曲をつけていったんだから・・・
ホルストは、すばらしいですよ」
ああ、おっしゃる通り!
帰宅後、あらためて「惑星」を聴く。
もちろん、ずっと聴いてきたカラヤン盤♫
そうそう、サッチーはこうもおっしゃった。
「若い頃は、『惑星』は『火星』と『木星』ばっかりだったけれど、
年齢と共に、『金星』や『土星』の良さもわかってきた。
若い頃はわからなかったんですよね」・・・同感!
「金星」は「平和をもたらす者」のサブタイトルがある。
ガザやウクライナだけではなく・・・
嫌なことの多い時代だからこそ、
なおさら平和への祈りが心にしみるのだと・・・
「土星」は「老いをもたらす者」・・・
サッチーもわたしも還暦超え。
もうシニア世代だもんね、
この曲に込められた「老い」へのリスペクトも
理解できるようになったのだ。
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おつきあいいただき、どうもありがとうございます。
藤岡幸夫氏のプレトークから、まとめました。
わたしの記憶違いや勘違いはお許しを。